第四十一話 川岸千草は極悪ストーカー!?プライバシー崩壊中の玲斗さん!!
前回までのあらすじ
みんな!久しぶり!合崎未来だよ!体育祭の集計中に現れた謎の女の子(自称ストーカー)の川岸千草ちゃん!なんと私の彼氏の川島玲斗のストーカーらしいの!大声で玲斗と口論し始めちゃって、ある人に入れ替わりがバレちゃった!なにしてんの〜!?体育祭は本当に波乱続き!誰か助けて〜!!
「バレたね」
「は?」
玲斗は冷静になって周りを見た。
その瞬間玲斗は「フェア?」と情けない声を出した。
視線の先にいたのは、玲斗のお母さんと見知らぬ男性だ。
体育祭は保護者も見に来れるからいるのは知ってたけど……。
もう一人は誰なんだろう。
お父さんにしては若いしなぁ……。
「あ、兄貴……」
あ、兄いたんだ。
「玲斗、おまっ、えぇ……」
「待て兄貴、これには事情が……」
「玲斗の不埒者!!女の子と入れ替わるなんて!!」
玲斗のお兄さんが声を上げた。
その声は高めだった。
「えぇぇぇええええ!?俺別に何もしてないじゃん!!」
「私はあなたをそんな子に育てた覚えはないわよ!!」
あ、心が乙女の方か。
玲斗が心底面倒くさそうな顔で私の方を見た。
「未来ぃぃいい!!お前のせいだろ!?」
「はぁ!?玲斗がデカい声で言ったんじゃん!」
「俺は悪くねぇ!!」
「いや悪いよ!?十ゼロで玲斗が悪いよ!?」
必死に言い合っているのに、周りからはニヤニヤ笑いが漏れている。
主に愛華や霧やん、嶺音あたりからだ。
千佳や村瀬さんは呆れたような顔をしている。
「ほら、あんた。玲斗にちょっかいかけてないで、知り合いの先生に挨拶に行くんでしょ?」
玲斗のお母さんがお兄さんの首根っこを掴んだ。
そして、引きずられるようにどこかへ連れて行かれた。
「玲斗っ!必ず!詳しく!後ででいいから!入れ替わりのこと!教えろよ〜!!」
「誰が教えるか!!てか帰れ!!二度と来るな!!」
酷い言いようである。
お兄さんが可哀想に見えてくるよ。
「ていうか、玲斗、お兄さんいたんだ」
私は小さな声で呟いた。
すると、川岸さんがドヤ顔で言った。
「私は知ってましたよ。玲斗くんのことならなんでも知ってます」
川岸さんはポケットから小さい分厚いメモ帳を取り出した。
何が始まるんだ?
「川島玲斗くんは //規制// 市 //規制// 町の三丁目に住んでいる」
「何で俺の住所知ってんだ!!」
「ストーカーですから」
川岸さんは玲斗のツッコミに冷静に答えた。
この人ただ者じゃないな。
川岸さんの丸メガネがキラリと光る。
彼女の手にした謎のノートには、玲斗の詳細な情報がびっしり書かれているらしい。
「好きな食べ物はいちご大福とミルクチョコレート。とにかく甘いものが好き。嫌いなものはトマトぐにゃってする食感が無理すぎる。趣味はゲームと得意教科のワークとかを解くこと。友達はそこまで多くない。ていうか全くいない」
「何でそこまで知ってんだよ!!てか友達いるし!!」
「え?俺?」
「嶺音以外」
嶺音がしゅんとした様子で座り込んだ。
あーあ、玲斗が嶺音のことバッサリ切るから拗ねちゃったじゃん。
ていうか玲斗、嶺音以外友達いないでしょ。
見たことないもん。
「玲斗、イマジナリー早めたほうがいいよ」
「イマジナリーじゃねぇよ!!五組にいるから!」
「またまたぁ〜」
私は冷やかすように言った。
玲斗がものすごい形相で睨んでくるから、そろそろやめたほうがいいかな?
にしても、嶺音以外の友達っているのかな?
「まだありますよ。ちなみに現在は合崎未来の自宅で同居中。住所は //規制// 市 //規制// 町の一丁目」
「さらっと人の住所を公開するな!!」
玲斗の顔が真っ赤になり、完全にパニック状態だ。
川岸さんはノートをパラパラめくり、得意げに続ける。
あのノート魔のノート過ぎない?
人の個人情報びっちり書いてあるんですけど。
「さらになんとぉ!!玲斗くんの靴のサイズは26.5cm、左足のほうが0.2mm大きい!そして、去年の文化祭中に渡すと永遠に結ばれると言われているハートの風船を持参してたけど、結局使わなかったよね??」
「うぉぉおおお!やめろ!それ以上喋るな!」
玲斗は頭を抱え、地面にしゃがみ込む。
オーバーキルじゃん。
ウケる。
霧やんの方を何となく見ると、案の定爆笑してた。
その他全員明後日の方向を見ている。
「川岸さん、なんでそんな情報まで…?」
私が恐る恐る尋ねると、川岸さんは胸を張って答える。
「愛です!愛!玲斗くんの全てを知りたい私の情熱が、このノートに結実したの!」
彼女はノートを高々と掲げ、まるで聖書でも持っているかのような神聖な表情だ。
実際は魔のノートを読み上げて、個人情報を暴露する悪魔だけど。
「情熱って言うなぁぁああ!!」
玲斗が地面に頭を打ちつけてジタバタ暴れる。
その姿はもう孤高の王子様どころか、近所の子供が駄菓子をねだってるようにしか見えない。
孤高の王子様とは思えないなこの姿。
「玲斗、落ち着いて!頭打つとバカになるから!英語音痴悪化するよ!?」
「もう十分英語音痴だろ俺はぁぁああ!!」
「自覚あったんだ」
「うるせぇ!」
川岸さんはまだノートをめくっている。
そのページは付箋やインデックスでカラフルに整理されていて、もはや研究論文のよう。
「ちなみに玲斗くんは、夜寝る前に必ずスマホで――」
「やめろぉぉおおおお!!!」
玲斗はかなり精神的にやられているようだ。
「もう無理……俺のプライバシー、尊厳、メンタル、全部死んだ…」
「元々あってないようなもんじゃん」
私が半笑いで言うと、本気で睨まれた。
「死ねよ」
言いすぎだろ。
「このノート、俺の人生丸ごと書いてあるとか怖すぎるだろ。次は何だ?俺の寝言まで暴露する気か?」
川岸さんはニコニコしながらノートをパラパラめくり、意味深な笑みを浮かべる。
「ふふ、寝言……面白いキーワードね。メモっとこ。」
「やめろ!!メモすんなって!!」
玲斗の叫びはもはや悲鳴に近い。
可哀想に見えてきた。
私はため息をついて、川岸さんに訊いた。
「川岸さん、あなたは玲斗のことが好きなの?」
「いいえ?」
全員の口から「は?」「え?」「あ?」「お?」「ぶっふぉ!!」といった声が漏れる。
最後の「ぶっふぉ!!」は当然霧やんである。
ていうか待って?
この人今間違いなく「いいえ」って言ったよね?
「な、何で玲斗をストーカーしてるの?」
「私にとって玲斗くんは推しです!」
推し……。
「推しにガチ恋?するわけないじゃないですか。それに、ファンクラブも怖いですし」
「おい待て、何だファンクラブって」
「非公認であることは確認済みです!」
「そうじゃねぇ!!」
玲斗が女子に人気なのは知ってたけど、ファンクラブまであるのか。
私は玲斗をジトっとした目で見た。
全力で首を振って否定する玲斗さん。
正直いつか浮気しそうで心配だ。
「ちなみに、ファンクラブ会員は恋愛禁止なのでご安心下さい。それに、合崎未来との交際発表があったため、ガチ恋勢はだいぶ減りましたよ」
タブーでもガチ恋勢いるんじゃん。
ていうか、借り物競争で発表されただけなのに、熱愛報道されたみたいに言うのやめてよ。
川岸さんはメガネをクイッと上げた。
「ただ一つ問題があります」
「今度は何だ」
「合崎未来のファンクラブはガチ恋OKなんですよ」
おいちょっと待て。
みなさんこんにちは!夏課題を後回しにしすぎて、自分の首を締めまくった春咲菜花です(笑)!おまたせしてしまって申し訳ありません!お陰様で無事に終わりました!さて、裏話に行きましょうか!
今回の物語では、玲斗のお兄さんに入れ替わりバレしましたね?実は学校全体に入れ替わりバレする予定だったんですよ。でも、流石に収集つかないし、非常にネタ切れを起こしそうだったのでやめました!




