第三十九話 怒った村瀬さんは超怖い!!なんやかんやで始まった大玉転がし!!
前回までのあらすじ
延期に次ぐ延期でようやく始まった体育祭を全力でエンジョイしてる合崎未来だよ!!中身が入れ替わってる彼氏の川島玲斗と喧嘩したりしたけど、いつも通り野菜花の良いカップルに戻った私達は、次の競技、大玉転がしの準備をしようと観客席に戻ったの。いつメンのみんなと合流したら、そこに玲斗の数少ない友達の紅木嶺音が来て場の空気がなんかおかしくなっちゃった!!嶺音はクラスメイトで玲斗に告ったこのとある村瀬恵麻の元カレだったことが判明!!どうなっちゃうんだ体育祭!!
「嶺音。テメェふざけとんのか?あぁん?」
「人相悪っ」
思わずそう言ってしまうほど、村瀬さんはブチギレていた。
顔は般若のようになり、声はドスが効いている。
正直、怖い。
「アノ……。エット……。エマ……」
「ああ?」
「サン…………」
呼び捨てにしようとした嶺音を睨みつけてさん付けさせる村瀬さんは、温厚で優しくてみんなの憧れの村瀬恵麻とは思えなかった。
誰だろこの人。
村瀬さんの迫力に負けた嶺音は、腰が抜けたのか地面に座り込んだ。
無理もない。
超怖いから。
「私達が付き合ってたってことは言わない約束だったよね?」
「…………ハイ」
「声が小せぇんだよ!!」
「はいィィ!!」
え?
こっわ。
誰この人。
私以外のみんなも全員引いている。
「俺、あんなのに告られたの?」
玲斗がすごい青ざめて、震えながら言った。
私の両手をガッチリ掴んで離すまいとしている姿は可愛い。
でも村瀬さん怖い。
「お前は口が軽りぃんだよ。もっと堅く出来ねぇのか?ああん!?」
「ごべんなざい!!」
「いてこますぞボケナスが」
「ずびまぜんでじだぁぁあああ!!」
全力で謝る嶺音の頭を、村瀬さんが片手で押さえつけた。
ええ……。
そこまでするぅ?
嶺音が真冬の吹雪の中に半袖半ズボンで外でいる人なみに震えてる。
小六になっても一人はいるんだよねぇ。
絶対半袖半ズボンマン。
鳥肌立ってたり、鼻水出たりしてるのに「寒くないし」とか言う人。
村瀬さんは地面に座り込んでる嶺音と目線を合わせた。
「私はね、すみませんは求めてないの」
「…………え?」
「正式に謝罪するときに使うのは、『すみません』でも『ごめんなさい』でもないよね?」
「…………」
「『申し訳』?」
「ございませんでしたぁぁぁああああ!!」
嶺音は思いっきり床に頭を叩きつけて、お手本のような土下座を披露した。
「よろしい」
村瀬さんは立ち上がった。
そして、震え上がりドン引きをしている私達を見て、我に帰ったかのような顔をした。
「えっとね。これには事情があって……」
事情……。
私達は土下座した状態で震え上がって、今にも死にそうな顔をしている嶺音を見て、事情もクソもねぇなと思った。
◇◆◇
「さて始まってまいりました!大玉転がし!これは全学年参加してもらうので運動場がパンパンですね!もちろん私も参加しますよ〜!」
大玉転がしは一般的な競技だよね。
ただ人間の上を大きい球を転がすだけなんだから。
「さて、ルール説明です!これは奇数偶数対抗となります!一、三、五組と二、四、五組のチームです!二年生の五組は半数に分かれて偶数チームに行ってもらうので、奇数贔屓とかはありません!!」
あー、実行委員も考えたな。
去年は奇数チームの方が一クラス多くて、体育祭後に偶数チームからブーイングが来てたんだよね。
だからこその二年生の分裂だろう。
そもそも四クラスだけの学校だったらこんなことにはならなかったんだろうけど。
点数配分はどうなるんだろう。
「点数は偶数チームが勝ったら二、四組に点が入ります!奇数チームが勝ったら一、三、五組に点数が配分されます!」
そこはそのままなんだ。
まあ、偶数チームが負けたら五組は点数がもらえないのね。
なるほど。
「それでは玉が入場します」
聞いたことないセリフ出てきた。
運動場の端を見ると、クソデカい玉があった。
「え?あれ……ではないよね?」
「いやまごうことなくあれだろ」
「マジでぇ〜?デカくねぇ〜?」
「ギャルになるな」
デカいと思ったのは私だけではなかったようで、至る所から「デカっ!」「え?あれなの?」みたいな言葉が飛んでいる。
「みなさん気づきましたか?あの玉、去年の十倍の大きさです!!」
ほぼ全員が思っただろう。
「いらねぇ……」と。
「あ?あれを転がすの?潰れない?」
玲斗がツッコミを入れた。
いや、頑張ればあるいはあるんじゃね?
私はガッツポーズをとって玲斗に言った。
「玲斗!私達ならできるよ!!」
「そうだよ玲斗!俺達を信じてよ!!」
「何でそんなやる気なんだよ!!」
そんなこんなで始まった大玉転がし〜!
一年生はかなり手こずりながら二年生に玉を渡した。
まあ、そうだよね。
初めてだし手こずるよね。
さて、私も後ろに渡すかな?
「は?」
玉に触れようとしたら、手が思いっきり滑って玲斗の頭をぶっ叩いてしまった。
え?
え?
「おい!なんで殴った!?」
「なんかこの玉!滑る!」
「おい!!偶数組の野郎が俺らの玉にローションを塗りたくったらしい!」
奇数組の人の誰かが叫んだ。
そんなのあり!?
いや、スポーツマンシップに則ってないよね?
「クソ!偶数チームの野郎どもは順調じゃねぇか」
どうやら叫んだのは先輩のようだ。
何?
奇数組に親でも殺されたの?
目の敵にしすぎじゃね?
「奇数組のみんな!俺が行くからもう少し耐えてくれ!」
「何に耐えろって言うんだ」
いや、マジで同感だよ玲斗。
先輩は列から外れて、偶数チームの方に行った。
偶数チームは三年生まで玉が渡っている。
そこに奇数組の先輩が乱入し、玉を一年生の方に蹴り飛ばした。
「「はぁぁああああああ!?」」
「そんなのあり!?」
「いやなしだろ!!校長が許さねぇよ!」
私達はヌルヌルのポールに触れながら校長の方を見た。
校長は「まあ、いいよね」と言わんばかりの顔をしている。
校長ぅうぅぅう!!
「選手宣誓の意味は!?」
「校長のいる意味は!?」
「「どうしてこんなことに!!」」
私と玲斗の声がハモった。
しっかし、偶数チームの玉が振り出しに戻ったとはいえ、私達の方が圧倒的に不利なのは変わらない。
「みんな!!ハンカチを使えぇぇぁええ!!」
霧やんが叫んだ。
確かにハンカチなら滑らなそう!
私は玲斗のお気に入りのハンカチを取り出した。
「は?ちょ、おまっ」
「えいっ!!」
私が玉を吹き飛ばす勢いで上に上げると、三年生の方まで飛んで行った。
そして、先輩方もハンカチを使って玉をゴールまで運んだ。
「大玉転がしは奇数組、一、三、五組の勝利です!!」
私は玲斗に「やったね!」と言おうと、玲斗の方を見ると玲斗はブチ切れていた。




