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第三十三話  延期に次ぐ延期でやっと体育祭!?第一競技のクラス対抗リレー!!

前回までのあらすじ

やほほーい!川島玲斗と入れ替わった合崎未来だよぉぉおん!なんだかんだあって同居してるんだけど、そこにクラスメイトの霧山瑠輝も参加!賑やかな合崎家は今日も平和!しかも、私この間玲斗と付き合ったの!周りのみんなが背中を押してくれたんだ〜!でね、親友の立花愛華に好きな人がいるって言われたの!私何も聞いてないのに!そんなこんなで迎える体育祭!レッツ本編!

「私ね、好きな人がいるの」


私は愛華の手を振り払って、勢いよく愛華の肩を掴んだ。


「詳しく」

「あれ?言ったことなかった?」

「聞いてないよ?」


愛華は「やっべ〜」みたいな顔をしだした。


「……で、誰なの?」


私が睨みを効かせると、愛華は肩をすくめてニヤニヤ笑った。

あ、絶対言わない気だこの人。


「ふっふっふ……それはねぇ」


愛華は間を取った。

やたら長い間を。


「ひ・み・つ」

「ぶっ飛ばすぞ」


本気で拳を振り上げた瞬間、千佳が後ろから私の肩をポンと叩いた。

その顔はさっきよりも諦めがついている。


「やめとけ、未来。愛華はこういうとき、絶対最後まで言わないタイプだ」

「正解〜!だって今バラしたら体育祭で面白くないじゃん!私は借り物競争に出なけど、その好きな人は借り物競争に出るの〜!」


愛華はいたずらっ子全開の笑顔を浮かべる。

……嫌な予感しかしない。

さっきまでニヤニヤしながら話を黙って聞いていた霧やんが口を開いた。


「……もしかして、借り物競走で愛華の好きな人が引きそうな位置にお題を置いて、好きな人を把握してやろうってことか」

「もちろん!中学校時代の青春を棒に振るのは嫌だからね!!」


愛華は胸を張って言う。

隣りにいる玲斗が急に極悪人みたいな顔をし始めた。

え?

何?

怖いんだけど。

愛華は満面の笑みで言った。


「いや〜、本番が楽しみだなぁ〜」

「そうだなぁ〜」


私は玲斗と愛華の笑顔を見て、絶対こいつらを止めないと体育祭が地獄になる。

そう思った。


◇◆◇


――一週間後 体育祭当日


「がんばれー!!」

「がんば〜!!」


声援が飛び交う中、私は数日前の愛華の話に怯えまくっていた。

うちのクラスで借り物競争に出るのは顔見知りばかりだ。

安斎千佳、合崎未来、村瀬恵麻、橋本朝日、以上。

いーやーなーよーかーんーしーかーしーなーいー。

愛華が用意したとされるお題を、誰が引くかにもよるけどね。


「未来、めっちゃ顔こわばってるじゃん」


隣で準備運動してる玲斗が、落ち着いた声で聞いてくる。


「大丈夫なわけないじゃん。愛華のあの話が頭から離れないよ」

「まあ、俺達がターゲットじゃないしなぁ。考えすぎだよ」

「玲斗は考えなさすぎなの」

「さあ始まってまいりました、二年生競技、クラス対抗リレー!司会は不本意ながら、体育祭実行委員長、三年一組のモテ男こと松原楠雄(まつばらくすお)が担当させていただきます!!」


司会の人がノリノリで声を上げた。


「ノリっノリじゃねぇか」


玲斗がキレッキレのツッコミを入れた。

まぁ、私も同じこと思ったし。


「玲斗、知らないの?あの松原先輩、えげつないほどモテるよ」

「できれば関わりたくない」


先輩になんちゅうこと言うねん。

入場して、それぞれのスタート地点に立った。

そしてスタートが切られたタイミングで、選手が爆走し始めた。

私は軽く足のストレッチをした。

中盤になってから、玲斗が私のところに来た。

息切れしてないのは私の体の体力がすごいからかな。


「どうだった?」

「可愛かったよ?さすが私の体」

「お前なぁ」


玲斗が呆れたように私の頭を小突いた。

私はニヤリと笑って玲斗を見た。


「嘘、上出来」

「上から目線すぎんだろ。あ、そういえば、霧やんが泣きながら『無理!いや!俺走れないの!遅いの!行きたくない!!』って駄々こねてたけど、結局出てるじゃん」

「あー、無理やり連れてきたからね。あ、霧やんが走るよ」


丁度バトンが霧やんに渡った。

と思ったら一瞬でずっこけた。


「あらぁ」

「いや軽いな」


霧やんはすぐに立ち上がった。


「うぼぉぉぉおおおおおお!!」

「ブフッ!」


玲斗が霧やんの叫び声に吹き出した。

何笑ってんだこいつ。

私直伝の気合の出し方になにか問題でも?

霧やんは、顔を真っ赤にしながら必死でバトンを握りしめて走り出した。

「がんばれー!」とクラスメイトが叫ぶが、声に若干の笑いが混じっている。

霧やん、全力で足を動かしてるのに前進がスロー再生みたいだ。

でも必死さは伝わる。

……たぶん。


「どんなマジック使ってんだあいつ」

「ある意味才能だよ」


霧やんは次の走者である村瀬さんにバトンを渡した。

村瀬さんはすごいスピードで走り出した。


「お〜。流石陸上大会の常連さん」

「未来ぃ〜!」

「お〜、霧やんおかえり〜」


霧やんは私に抱きついてきた。

玲斗が眉をひそめて「おい」と言うけど、気にしないことにしよう。

霧やんは涙目だ。


「やっぱり駄目だったぁ〜!リレー駄目だったぁ〜!」


子供かよ。

そう思ったけど口に出すのはやめた。


「子供かよ」


おい玲斗空気読めカス。

ていうか何でそんなに不機嫌なわけ?

私は霧やんの頭を撫でた。


「大丈夫だよ、頑張ってたもんね」

「全力出したぁ〜!でも駄目だったぁ〜!!」

「大丈夫だよ、遅れた分、村瀬さんが戻してくれたし、他のみんなも頑張ってくれてるから」

「未来ぃ〜!」


玲斗、殺気を出すな。

なぜそんなにイラついている。


「でも、挽回はできてるけど、まだ三人前にいるか……」

「おい。次、未来だぞ」


霧やんは肩を震わせて、顔を上げた。

目は潤み、肩で息をして、「た、たのむ……」とだけ呟いた。

いや、命のバトンみたいに渡すな。

私はレーンに出てバトンパスの姿勢を取った。

一応私、意外と足速いから行けるだろう。

玲斗(私)は最終走者。

最終走者はレーンの半周で済んでいたものを、一周走らないといけない。

玲斗は結構体力あるみたいだし、ここで決める。

無理でも走る。

橋本くんが近くまで来た。

そして――


「川島!あとは頼むぞ!」


バトンを受け取った私は、そのまま全力疾走。

風が耳を切るように流れていく。

観客席のざわめきが遠くで波打って、足音と呼吸音だけが自分の中で響く。


「玲斗ー!行けーっ!」


霧やんと玲斗の声が聞こえる。

前方には三人。

距離はあるけど、背中がぐんぐん近づいてくるのが分かる。

私の足は軽く、肺は苦しいけどまだいける。


「残り半周です!」


松原先輩の実況が響く。


「二年二組のおそらく川島くん、スピードが上がっているー!これは追い抜けるかー!?」


観客席がざわつく。

まるでプロの試合か何かみたいなノリ。

さっきまでとは別人だな。

二人目を抜き、最後の一人に食らいつく。

あと数メートル!


「「「いっけぇぇぇぇえええ!!」」」


――パァン!

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