第三十二話 合崎未来の初彼氏!?初々しくてとっても可愛い私の彼氏!!
前回までのあらすじ
いやっさー!川島玲斗と入れ替わってる合崎未来だお!いや〜、入れ替わって同居し始めてから半年以上経っててビビるんだけど〜!そんなことはさておき、私!孤高の王子様こと川島玲斗と両思いになりました〜!やっとラブコメらしい展開になったね!第二十九話からの玲斗視点の話も見てから本編を見たほうがいいよ!それじゃあ、本格的にラブコメスタート!!
「あっ、起きた?」
「…………」
目を覚ました玲斗は私の手を握ったまま動かない。
手をじっと見つめている。
嫌だったかな。
私は玲斗の手から自分の手を離そうとした。
玲斗はそれを察知したのか、一層強く私の手を握った。
「何で離すの?」
「え?嫌だったんじゃ」
「一言も言ってないだろ」
「そうだね」
「しばらく繋いでてくれ。まだ現実かわかってないんだ」
現実かわかってない?
夢だと思ってる?
何で?
「本当に、俺のことが好きなのか?」
「好きだよ?」
「はぁぁあああ」
玲斗はため息をつきながら、顔を布団にうずめた。
心なしか耳が赤いような……。
「恥ずかしいことを言っている自覚を持て」
「素直でいいでしょ?本当に好きなのかって不安になるよりいいじゃん」
「……そうだな。助かる……」
「……っ」
玲斗は顔を上げてやさしく笑った。
ん?
私と玲斗って今両思い判定だよね?
じゃあ、カップルってこと?
うーん……。
「考えごとか?」
「あ、まぁ、うん」
「何?」
「いや、大したことじゃないから」
「……………………素直に言って欲しい。かっ、かかかっ彼氏なんだ……し……?」
びっくりした。
カカシって言い出したのかと思った。
それよりも。
「あ、彼氏だったんだ」
私が言うと、玲斗は「あ?」と言って放心状態になった。
しばらくしてから玲斗は我に返って私の肩を思いっきり掴んで、すごい形相で睨みつけてきた。
「未来、俺のこと好きか?」
「好きだけど……。付き合ってくださいとは言われなかったからさ」
「……わかった」
玲斗は私に正座で向き合って、少し顔を赤らめていった。
「合崎未来さん、好きです。付き合ってください」
「…………いやって言ったらどうする?」
「泣く」
「そっか。うるさそうだから受けるね」
私がそう言うと、玲斗はふっと笑った。
そして、本当に愛おしいものを見るような目で私を見た。
「ツンデレか」
「さっきからデレてたでしょ?」
「そうだったな」
◇◆◇
そうして、私達は晴れてカレカノになったのである。
家に帰って霧やんに報告したら、安心したように「やっとか」と言った。
「長かったぁ」
玲斗がソファーに寝転んで伸びた。
私はそんな玲斗の横に座った。
玲斗は何か期待したのか、私をじっと見ている。
私はポケットから玲斗の部屋で見つけたものを笑って見せた。
それを見た玲斗は青ざめて固まった。
「訊くの忘れてたけど、これなぁに?」
「え?なになに?」
霧やんが見える位置に移動して写真を見た。
その瞬間、霧やんが珍しくドン引きした。
「うわっ、玲斗、これは流石に……」
「これ何なの〜?隠し撮り〜?」
それは気持ちよさそうに教科書を下敷きにして眠る私の隠し撮りだった。
玲斗はかなり合わせて噛みっ噛みで否定し出した。
「ちっ、違っ。こっ、これは、カメラ……。カメラが!カメラがかっ、勝手に!」
白々しすぎるだろ。
霧やんが玲斗の肩に手を置いて遠い目をして言った。
「正直に言いなよ。気持ちよさそうに眠る君が可愛くて写真を撮りましたって」
「誰が言うか!」
「え?違うの?」
「いや、そう……だけど……!」
玲斗は少し口ごもった。
「うわっ、ちょー女々しい反応でウケる〜」
「おい霧やん、いつか殺してやる」
「照れてるの〜、もう!照れ屋なんだからぁ」
「もういい、今殺す」
玲斗は立ち上がって霧やんをぶっ叩き始めた。
……にしても彼氏かぁ。
何回か告白されたことはあるけど、その気がないのに受けるのは失礼だと思って断り続けてたんだよね。
恋愛漫画とかはよく読むけど、好きって感情がいまいちわからなかったから。
今もまだこれが恋愛かってハッキリとはわからない。
けど、これから分っていけたらいいな。
◇◆◇
――翌日
「えぇぇえええ!!」
愛華の絶叫に思わず耳を塞いだ。
私だけじゃない。
玲斗も霧やんもだ。
「やっと付き合ったんだ!おめでとう!」
「ありがとう」
「ほら、負け組の千佳も祝福してあげなよ!」
おい愛華。
貴様にはデリカシーと遠慮ってものがないのか?
千佳は少しうつむいてから、少しだけ笑った。
「おめでとう、未来」
「ありがとう」
千佳は少しためらいつつも、祝福はしてくれているようだった。
無視とかされたらどうしようかと思ったけど、大丈夫そうでよかった。
「ねぇねぇ、公表とかするの?」
愛華がわくわくした様子で聞いてきた。
公表か。
「す――」
「しないかな。女子に敵視されるのは嫌だし」
「確かに未来はそう言うと嫌そう」
愛華が苦笑しながら言った。
さすが、よくわかってる。
あれ?
なんか違和感が……。
横にいる玲斗を見ると、なぜかいじけたような顔をしている。
「どうしたの?玲斗」
「別に?」
「……もしかして、朝ご飯のお皿の裏にGのおもちゃ貼り付けたこと気づいちゃった?」
「何だよそれ!初耳なんだけど!?」
「気づいてなさそうだったから言わなかった」
「……なんか皿の底がゴツゴツしてるなとは思ったけどな!!手洗ってくる!」
そんなヤケクソみたいに言わなくても……。
玲斗くんのゴキブリセンサーが反応していい悲鳴を上げてくれることを願ってたのになぁ。
「ねぇ、川島くんのあれって……」
「あーあ、ハッキリ言わないと未来には何も伝わらねぇのになぁ」
「全くだ」
愛華と霧やんと千佳が後ろで何かヒソヒソ話し始めた。
何なんだ一体。
愛華が「あ!」と声を上げて笑顔でこっちを向いた。
「来週末体育祭あったよね?」
「あー、本当は九月上旬にやる予定だったのが雨続きで文化祭の後になったやつね」
「そう!私、体育祭実行委員じゃん?しかも借り物競走担当!」
愛華が借り物競走担当?
絶対ろくでもないやろ。
「絶対失礼なこと考えてるよね?未来?……で、借り物競走担当は借り物競走のお題を決めていいの!」
はい、ろくでもない可能性百パーだね。
私は千佳を見た。
千佳は「言い出したら聞かないから」と目で訴えてきた。
愛華は呆れる私達なんて気にせずに続けた。
「私!好きな人ってお題を書いたの〜!」
はい、退散退散。
愛華が立ちあがろうとした私の手をしっかり掴んだ。
そして、恐怖を感じる笑顔を浮かべた。
「まだ序盤だよ?」
「お、おう……」
「私ね、好きな人がいるの」




