第三話 イメージ崩壊の次はプライバシー崩壊!?入れ替わり同居地獄!!
前回までのあらすじ
こんにちは!合崎未来です!なんか色々あって入れ替わってしまった美少女と孤高の王子様こと川島玲斗!状況確認をして授業に戻ると質問されるし、その次の授業では玲斗が英語ズタボロなことが発覚!家でもお互いの演技をしないといけないなんてそんなの無理!そう思った私は玲斗に同居を提案することにしたの!検事はいかに!!
「同居しない?」
玲斗がピキッと音を立てて固まった。
え?
なんかおかしいこと言ったかな?
「お前は馬鹿か!?」
「はぁ?失礼な!英語ボロボロの玲斗に言われたくない!」
「うるせぇ!BBA溶液が言うな!」
「忘れろ!」
「……で、マジで同居とか言ってんのかよ」
玲斗が呆れたように眉をひそめた。
本気だったんだけどな。
「だってさ〜、毎日演じて生活すんのめんどいじゃん?だったら一緒にいた方が効率良くない?」
「いや、効率の前に問題ありすぎだろ!」
相変わらずキレッキレのツッコミだな。
そもそも問題ってなんだ?
「例えば?」
「親!あと生活習慣!風呂とトイレと着替え!!」
「あのねぇ、そのために同居するんでしょ?流石に男子に全裸は見られたくないよ」
「はぁ?どうするんだよ」
あれ?
こんな単純なことにも気づかないのか?
「玲斗が目隠しして私が着替えさせる!みたいな感じだよ。そしたら見えないでしょ?」
玲斗はハッとした表情をした。
やっぱり気づいてなかったんだ。
「親はどうするんだよ」
「ふふん、そこは全部考えてあります!」
私は胸を張って親指を立てて笑った。
「そのポーズやめろ」
「まず、私の両親は海外出張でいないの。だから祖母と二人暮らし。で、おばあちゃんは遠くの病院に入院中。だから誰もいません!」
「なるほど。そのポーズやめろ」
「玲斗が来ても問題なっしんぐ!」
「そのポーズやめろ」
ずっとポーズを指摘してくるな。
そんなにおかしいポーズはしてないけど。
「てか俺の親は?」
「あ゙っ」
考えてなかった〜。
そもそも玲斗の両親ってどんな人かな。
「私が適当に言い訳する!」
「…………分かった信用する!」
すんごい間があったけど……まぁいいか!
◇◆◇
「ここ、俺の家」
私はその後、玲斗に連れられて玲斗の家に行った。
一軒家で割と綺麗。
「部屋には入るなよ?」
「ん?何?聞こえなーい」
「おい」
私は服のポケットに入っていた鍵でドアを開けた。
私の姿の玲斗には外で待っててもらうことにした。
「あら、おかえり玲斗」
「母さん!俺!好きな人ができたんだ!」
「まぁっ!」
「だから今日から同居する!」
こんな感じでいいかな?
玲斗のお母さんもウェルカムって感じだし。
「ちょぉっと待てよぉぉぉおおおお!!」
いきなりリビングに私の姿の玲斗が入ってきて私を羽交い締めにした。
なんでいるの!?
「未来てめぇ……何勝手なこと言ってんだよ」
「あれ?口実的にはいい感じじゃなかった?」
「どこがだよ!お前は俺の名誉をズタズタにしたいのか?」
「失礼な!名誉を守りつつ完璧な言い訳をしてたでしょ?」
私達は忘れていた。
玲斗のお母さんが目の前にいることに。
玲斗のお母さんが「あのぉ……」と言ったことにより私達は我に返った。
「あなた……誰?」
「のぉぉぉぉぉぉおおおおん!!」
やってしまった〜!!
◇◆◇
「ふぅ……。で、階段から落ちてきた未来さんを玲斗が受け止めようとして、そのまま中身が入れ替わったと……」
玲斗のお母さんが額に手を当てて、呆れたように言った。
「……何で」
それが分かったらこんなに苦労してない。
私も玲斗も同じ事を思っただろう。
入れ替わっちゃったもんはしゃーないって乗り切ってたけど、実際そうは行かないんだよねぇ。
「色々試行錯誤したんですけどね」
「例えば?」
玲斗のお母さんが聞いてきた。
「頭をぶつけたり、保健室の先生に色々聞いたりしたんですけど、無意味でした」
まぁ、頭を思い切りぶつけたから小さいたんこぶが両者の頭に出現するという自体になってしまっているけど。
強い衝撃を受けてもなんともなかった。
つまり簡単には元に戻らないんだろう。
「それじゃあ、どうするのよ」
「今はお互いの生活を演じながら、元に戻る手がかりを探してるところです」
「大変ね」
さすが玲斗のお母さん。
理解と飲み込みと判断が早い。
「でも、問題がありまして」
「何?」
「私と玲斗はできる教科が異なるんですよね」
「ブフォ!」
出された麦茶を飲んでいた玲斗が吹き出した。
「BBA溶液……」
まだ言うかこいつは!
私は笑う玲斗の胸ぐらを掴んで揺さぶった。
「いい加減飽きろ!」
「無理」
「あ・き・ろ!」
「こんな無理ゲー他にない」
「もっとあるわ!」
笑いながらそう言う存在感薄めが売りだったとは思えない。
というか存在感が有り余ってるだろ。
私は気を取り直して玲斗のお母さんに向き合った。
「そんなこんなで、お互いの尊厳を守るために一緒に暮らしたほうがいいという判断をしました」
「なるほど。私は別に構わないけど、未来さんは大丈夫なのかしら?」
「ええ、両親は海外出張、祖母は入院していて、私は実質一人暮らしなので」
「大変ね。未来さんがいいなら、玲斗をお願いするわ」
「じゃあ……」
私は玲斗の方を見た。
玲斗は顔を真っ青にして肩を震わせた。
「おい……。まさか……」
「準備をしようか。玲斗さん?」
「いぎゃぁぁぁぁああああ!!」
「部屋はどこかな?」
「ぜっっっっっっったいに入るな!!」
「一人でやるからいい!!」
「そう言わずに〜」
玲斗は瞬間移動したんじゃないかってスピードで私のそばから離れた。
そして部屋まで猛ダッシュした。
「待ってよ〜!!」
私は急いで玲斗を追いかけた。
何かいかがわしいものでもあるんじゃないのかな。
絶対見てやろ〜!
「……あの子があんなに素を出すなんて。びっくりだわ……」
◇◆◇
「ねーねー。聞いてるのー?」
私は帰り道、玲斗にちょっかいをかけていた。
玲斗の身支度は済んだけど、気になる事がある。
「俺の体でそんな声を出すな」
「ねぇ、さっき何を隠したの〜?」
玲斗の部屋は至って普通だった。
けど、玲斗は光の速さでなにかを隠したんだ。
写真くらいの大きさの紙を。
めちゃくちゃ気になる。
「気にするな。ただの写真だ」
「写真を光の速さで隠すやつがどこにいるの?」
「ここにいいる」
うん、まぁ言いたくないってことは分かった。
無理に聞き出さなくていいか。
どうせ幼少時代の玲斗だろうし。
「あっ、ごめん玲斗」
「あ?」
「迷った」
私がそう言うと、コンマ何個分かの間が空いた。
そして、玲斗が声を上げた
「は?はぁぁぁあああ!?」