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第二十八話  何がなんだか分かんない!?恥ずかしすぎる玲斗の秘密!!

前回までのあらすじ

やっほ〜!孤高の王子様と称される川島玲斗と入れ替わった合崎未来だよ!!入れ替わりから半年!元に戻る様子もなく、文化祭まで終えちゃった!打ち上げで幼馴染の斎藤千佳に告白されてから玲斗の様子が超おかしい!誰に相談しても「そのうち分かるから」って言われるばっかりで腹が立ってた時、親友の立花愛華が、同じく同居している霧山瑠輝、通称霧やんとデートすることを勧めてきたの!丁度見たい映画があったから映画館に行って映画を見てると、霧やんの頭にポップコーンの入れ物が!?

――ズボッ


私の真横にいる霧やんの顔に、ポップコーンの入れ物が綺麗にハマった。


「ブフッ」

「……エッ?」


◇◆◇


映画が終わってすぐ、霧やんはトイレに直行した。


「ねぇ、あの人かっこよくない?」

「誰か待ってるのかな?」


道行く人が私の顔を見て言った。

まぁ、今の私は玲斗だしイケメンって言われるのは当然か。

ファンサしとこ。

私は女子達にニッコリと笑って手を振った。


「はうっ」

「尊いっ」


二人は鼻血を吹きながら倒れた。

え?

え?


「きゃー!人が倒れてるわ!」

「あのイケメンの笑顔の破壊力すごいな」

「おい、そんなことよりこいつらどうするよ」

「……スタッフの休憩室に運んでください」


スタッフが数人やってきて、そのうちの一人が私の肩を掴んで言った。


「今回は厳重注意で済ましますよ?絶対に笑わないでください」


聞いたことねぇよそんな注意。

そんなこんなで霧やんがハンカチで顔を拭きながら出てきた。

げっそりとした顔で私を見るなりため息をついた。


「どう?ポップコーンの油取れた?」


私は霧やんの顔に触れて確かめた。

まだヌルヌルしてるな。


「ヌルヌルしてキモい」

「うーん、帰ったら顔を重曹で埋めてみる?」

「埋めんな」

「ていうか、ポップコーンってこんな油出るものなの?」

「知るか」


なんか霧やんがそっけない。

今日はもうやめたほうがいいかな。


「帰る?」

「それ以外に選択肢あるか?」

「ないね」


霧やんの言葉に苦笑しながら頷いた。

映画館を出て、私は霧やんと別行動することにした。


「私、寄りたい所あるから先帰ってて」

「ついていこうか?」

「いいよ。油ギッシュのままじゃ嫌でしょ?」

「まあな。じゃあ先帰るわ」


◇◆◇


私は霧やんと別れてから玲斗の家に行った。

インターホンを押すと、玲斗のお母さんが出てきた。


「玲斗?未来ちゃん?」

「未来です」

「あら〜、まだ戻ってないのね」

「すみません」


玲斗のお母さんは「入って」と言って、私を家に上げてくれた。

相変わらず整理整頓ができてる家だな。


「今日はどうしたの?」

「あ、玲斗の部屋にワークを取りに来ました。玲斗の部屋、入っていいですか?」

「いいわよ」


私は階段を登って玲斗の部屋に入った。

さて、この間「やっべ、家に一番わかりやすいワーク忘れた」って言ってたし、優しい未来さんが持って帰ってあげよう。

とりあえず、ここにおいてあるワークを全部持って帰るかな。

私はワークを大きめのカバンに詰めた。

ふと机に目をやると、鍵のかかった引き出しが見えた。

そういえば、玲斗が光の速度で隠したなにかって、この引き出しに入れてたような……。


「うーん、もういいや見ちゃお」


私は横の引き出しを開けて、小さい入れ物に入っていた鍵を取り出した。


「いやぁ、単純な鍵の隠し方で良かったぁ」


引き出しに鍵を挿して、回した。

「カチャ」という音がして、鍵が開いた。

鍵が開くこの音って意外といいよね。

私は引き出しを開けて中を見た。


「手紙……?」


中には大量の手紙があった。

うちの学校は、スマホは許可されてるものの、クラスのグループを作ることしか許されてない。

トラブル防止のために、もともと連絡先を交換していた人以外に、新しく連絡先を交換しちゃ駄目って決まりなんだよね。

学級委員がクラスの人達全員と連絡先を交換して、グループを作って連絡先を削除する。

そんなめんどくさいことをしないといけない。

だからメッセージで告白とかはできない。

これは玲斗へのラブレターかな。

私はそのうちの一枚を手に取って、宛名を見た。


『合崎さんへ』


「……?」


私は一度裏を向けて目を擦った。

そして、もう一度宛名を見た。


『合崎さんへ』


「……!?」


これ、私宛!?

ちょっと待って、嘘でしょ?

何度宛名を見ても私の名前が書いてある。

他のは?


『合崎へ』

『未来さんへ』

『合崎未来さんへ』

『未来へ』


全部私宛!?

しかも全部違う人からだし。

でも、何でこんなところに私宛のラブレターが?

私と玲斗の靴箱は間違えるような位置にはない。

合崎未来で出席番号一番の私。

川島玲斗で出席番号十一番の玲斗。

じゃあ、意図的に回収したってこと?

確かに最近ラブレター減ったけど!

あれ……?

これは……?

一枚写真のようなものが見えて、私はそれを手に取った。


「これ……」


――バン!


「未来!!」

「…………」


玲斗は私と開いた引き出しを交互に見て、青ざめた。

震える声で「未来……」と言った玲斗は今にも死にそうな顔をしている。


「ねぇ玲斗。これどう言うこと?」

「…………」

「言って」

「…………未来は、自分のことを超絶美少女って言うけど、実際その通りだ」


おっと、まさかの私を全肯定し出したぞ。

逃げるのか?

「正直、顔面偏差値は高いし、誰にでも分け隔てなく接するから当然モテる。だから俺は入れ替わる前までは、いつもお前が登校する時間よりも早く登校してラブレターを回収してた」

「何で?」

「…………」


私は玲斗に力強く歩み寄って胸ぐらを掴んだ。

そして、思いっきりブンブンと揺らした。


「玲斗のせいで中二まで彼氏できなかったじゃん!!何してくれてんだよぉぉおおお!!」

「いやキレるとこそこ!?」

「嫌がらせか貴様!嫌がらせだろ!!」

「お、落ち着け」

「これが落ち着いてられるかぁぁあああ!!」


◇◆◇


――数分後


「改めて聞くけど、何で私へのラブレターをこっそり盗ったの?」

「…………」


玲斗はうつむいたまま何も言わない。

全く。

都合が悪いとすぐ黙る。


「れい――」

「き、嫌いにならないでくれるか?」

「ねぇ、どうしたの?今日気持ち悪いくらいに女々しいけど」

「答えてくれ」


小刻みに震えながら言った玲斗は、何かに怯えてるみたいだった。

私はこれ見よがしにため息をついた。

玲斗がビクッと肩を震わせた。


「何で私が玲斗を嫌うと思うの?」

「……え?」

「私、知ってるよ。玲斗が理由もなくこう言うことする人じゃないって。嫌がらせじゃないことは分かってるから」

「………………未来に誰かと付き合ってほしくなかった」


長い沈黙の末、玲斗がうつむきながら小さい声で言った。


「それって……」


覚悟を決めたように顔を上げた。

かしこまっていて、強い意志を感じさせる瞳に、私は動けなくなった。


「好きだ」


ラブレターが?

そうふざけようかと思ったけど、こんな真面目な顔されたらふざけれないじゃん。

馬鹿。


「他に好きな人がいることは知ってる」

「え?」

「ごめん、斎藤との話、聞いてた」

「ちょっ、まっ」

「伝えたかっただけだから、こっ酷くフってくれ」

「玲斗氏、ちょっとまっ」

「早くしてくれ!期待はしてないか――」

「待てやぁ!!」


私がクソデカい声で言うと、玲斗はビックリしたような顔で私を見た。

こいつ、何も分かってないな。


「私の好きな人、目の前にいるから!」

「…………………………ファ?」


そんな「マ?」みたいに言われても。


「…………ファァァアアアアアッ!?」


この世のものとは思えないような叫び声に、私は思わず耳を抑えた。

人間からこんな声が出るなんて。


「いやいや、絶対同情だから。一時の同情に興奮するのは良くない。きっと二日付き合ってから『ごめん、あれ嘘』って言われるに違いない。未来が俺のことを好き?ないない。絶対にない。絆されるな俺。あの未来だぞ?あの未来が俺のことを好きなわけ……。でも本当だったら超嬉しい。いやいや、騙されるな俺。冗談だ。そうだ冗談。未来は冗談が好きだからな。絶対冗談だ。うん、ジョークジョーク。今日はエイプリルフール。あれ?今は九月だったような。いやいや、マイナス五したら四月だ。あれ?エイプリルフールって一日の午前までだったような。いや、気にするな。今日はエイプリルフールだ、エイプリルフール――」


尺長っ。

喋りすぎだよ玲斗。

ていうか私のことなんだと思ってるんだよ。

まだ喋ってるし。


「――いやよく考えろ。未来は決して俺が好きとは言っていなかったぞ。目の前、目の前……。あ、空気か。自分を生かしてくれている空気が好きってことか。うん、そうだな。未来は空気が好き、未来は空気が好き」

「玲斗」

「未来は空気が好き。未来ライク空気」


いや、それ「空気のような未来」になるから。

正式には「Mirai likes the air(訳:未来は空気が好きです)」だからね?


「玲斗、聞いて」

「いやいやいやいやいや。そぉんなわけないよな〜」

「聞け」


私は玲斗にビンタして落ち着かせた。

玲斗が高音ボイスで「ヒドイ……」と言っていたが、無視しよう。


「私は、玲斗が好きなの。今日はエイプリルフールじゃないし、ジョークでもない。私が好きなのは空気でもないんだよ。目の前にいるあなたが、玲斗が好きなの」


玲斗が目を見開いて、背中から倒れた。

どうやらキャパオーバーだったようだ。

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