第二十七話 どうして私が霧やんとデートを!?様子が変な玲斗さん!!
前回までのあらすじ
やあ、みんな!孤高の王子様と称される川島玲斗と入れ替わって同居してる合崎未来だよ!入れ替わりから半年くらい経つけど全然戻らなくて、同居仲間(霧山瑠輝)まで増える始末!文化祭も終わって、なぜかうちで打ち上げをする斎藤千佳(幼馴染)と立花愛華(親友)と村瀬恵麻(玲斗に告った人)!修羅場になると思いきや、まさかの入れ替わりバレてる宣言!?なんだかんだで玲斗と村瀬さんが人生ゲームし始めたの!僅差で玲斗の勝ち!罰ゲームは「勝った方は負けた方の言うことを何でも聞く」だから、玲斗が村瀬さんに質問したの!「村瀬、俺に告った時のお前の心境を聞かせてくれ」って!デリカシーなさすぎない!?で、なんでか千佳に廊下に連れ出されて、一緒に私の部屋に行ったんだけど、告白されちゃった!?夢なの!?現実なの!?もうわけわかんない!!
「未来が、俺の名前を守ってくれたあの日から……俺は未来のことがずっと、ずっと好きだった」
一瞬、時間が止まったみたいだった。
「…………」
どれだけ考えても、千佳と付き合う未来は想像できなかった。
それに私は……。
「ごめん千佳。私、好きな人がいるの」
千佳は悲しそうに俯いた。
しばらくしてから顔を上げた千佳は、切なそうな顔をしていた。
「知ってた」
◇◆◇
――数日後
「おかしい……」
私は弁当を食べながら霧やんに言った。
この学校は給食制ではなく、弁当持参制である。
ちなみに今日の当番は私だ。
「え?『美味しい』?未来の味付けはいいもんな」
「味付けはって言うな」
「冗談冗談。で、何がおかしいの?」
「玲斗だよ、玲斗」
私が玲斗の名前を出した瞬間、霧やんが首が取れるんじゃないかって勢いで顔を逸らした。
怪しい。
「ねぇ、絶対何か知ってるよね?」
「いやぁ〜?何も知らないなぁ〜」
「じゃあ何であいつはこの場にいないのかな?」
「し、知らないなぁ〜」
私が言うと、霧やんは小刻みに震えながら言った。
この野郎。
意地でも言わない気か。
「愛華に聞いても、村瀬さんに聞いても、千佳に聞いても、『ああ〜、うん、そのうち分かるから』って言うばっかなんだよ!?」
「そのうち分かるから」
「もうその答えは聞き飽きた!まともに答えろすっとこどっこいが!」
「溜まってるね〜」
霧やんはまるで他人事かのように言った。
殴りそう。
いつもはこの空き教室で玲斗と霧やんの三人でお昼を食べてたのに、打ち上げの日から玲斗は別の人とお弁当を食べるようになった。
入れ替わってからずっと一緒だったから変な感じ。
「未来も大概鈍感だよねぇ」
いきなり横からニュッと顔を出してきた愛華に腹が立ったから、私は愛華の顔面を手の甲で殴った。
「あー、蝿がいるー(棒)」
「いっだぁ!」
愛華は私が殴ったところを抑えて、悲劇のヒロインポーズを取った。
「霧山くんっ!未来ってば酷いのっ!……って、あれ?それ、未来の料理じゃん」
愛華が霧やんの持っている弁当を見て言った。
今日の献立〜!
ミニハンバーグ(紫色)、白米(青色)、ミニサラダ(赤色のドレッシング掛け)、ミニ唐揚げ(緑色)、トマト、ブロッコリー、煮物(青色)以上!
「相変わらず狂った色してるね。こんなの食べてる霧山くん、不憫だなぁ」
「なー」
「じゃあ食うな。ていうか、何しに来たの?愛華」
私が訊くと、悲劇のヒロインポーズをやめて、普通に座った。
そして、満面の笑みでピースをした。
「川島くんに千佳を取られたから、未来のところに来た!」
「お出口はあちらです」
「まあ待ってよ。君に私はヒントを与えに来たのだよ」
私は気にせずに出口を指差した。
愛華が「待てや!」と声を上げたけど、愛華からまともな情報をもらえるとは思えない。
だって愛華だよ?
私の親友の愛華だよ?
まともなわけないじゃん。
「失礼なこと考えてるよね」
「なぁんで分かったの?」
「はぁ、まぁいいや。未来!超絶ヘタレな川島くんがよそよそしい理由を知りないなら、次の土曜日に霧山くんとデートしなさい!」
私と霧やんは愛華の言葉に硬直した。
え?
私は霧やんを見た。
霧やんも私を見た。
「「…………はぁぁあああぁあぁぁあああ!?」」
「何でそうなるわけ!?」
「霧山くんなら分かるはずだよん」
「俺じゃなくてもいいだろ!」
「じゃあ何?千佳に頼む?可哀相な千佳。振られたばかりで、フォークで何度も刺されてあまつさえ抉られた傷がまだ癒えていないのに」
「リアルな表現やめろ!!」
「そんなこっぴどく振ってないよ!!」
愛華は立ち上がってニヤリと笑った。
そういえば愛華は変なところで強引だったな。
◇◆◇
と、いうことで映画館に来た。
「いやぁ、丁度見たい映画があったんだよねぇ〜。付き合ってくれてありがとう!霧やん!」
「それはいいんだよ。でもさぁ、何で男と見る映画が『キラキラプリティ学園Ⅰ!〜世界が滅びようとあなたを離さない〜』なんだよ!!」
「おー、さすが霧やん。マイナーな乙女ゲームを知ってますね」
「いや、それは……妹が持ってただけで……」
「はい、言い訳タイム入りました〜!プレイしてました〜!!」
「ち、違ぇし!俺はただ主人公の幼なじみルートがバグってるって話を聞いて調べたかっただけで!!」
「なるほど。調べたのね?全ルートを?」
「うるさいわ!!」
映画館に入ると、案の定観客は女子ばっかり。
しかも半分コスプレ勢。
「見ろよ……この状況……。完全に俺がイケメンを連れ回してるオタクの図だぞ……」
「大丈夫、私は霧やんのために今日だけ推しのためなら死ねる系男子を演じるから!」
「やめてくれ頼むから!いらん演技力発揮しないで!」
なんだかんだで着席。
前列の女の子達が入ってきたガチコスプレイヤーを「キャー!シオン様ァァァァ!」と出迎えた瞬間、霧やんの魂が抜けかけた。
そして映画開始。
画面の中で、美形生徒会長シオンが「この命に代えても、君を守る!!」と名台詞を言った。
「うぉおおお!!」と館内のどよめき。
「おい、これ本当に映画か?」
「声優陣、製作陣、イラストレーター陣全てがオタクの大好物だからね〜」
「怖すぎる」
そして、スピーディーに物語が進んでいった。
「わー、ポップコーンがー」
どうやら後ろの方で誰かがポップコーンをぶちまけたようだ。
珍しいな。
男の声だ。
乙女ゲームの映画化であるこの作品は、当たり前のように女子しかいない。
でもまぁ、私達には関係ないよね。
――ズボッ
私の真横にいる霧やんの顔に、見事に被さったのだ。




