第二十四話 文化祭二日目も大盛況!!私と村瀬さんの本気の演技!!
前回までのあらすじ
やっほほーい!なんか孤高の王子様と称される川島玲斗と入れ替わって同居をしてる合崎未来だよ!入れ替わりから半年!霧山瑠輝こと霧やんも同居の仲間入り!そして迎えた文化祭!玲斗に告った女、村瀬恵麻の笑顔に恐怖を覚えながらも、何とか文化祭を迎えた私!玲斗と霧やんと文化祭を回ってると、村瀬さんが「合崎さんに話がある」と玲斗を連行。私達は別行動を取り、合流した場所はまさかの「スーパーボール救い」!?私達は挑戦してみるけど、どうなるのか!!
玲斗は立ち上がって一年生に向かってポイを投げた。
「アホかー!!」
「何すか!?」
一年生が戸惑ったように言った。
おい二年生、一年生には優しくするんだよ。
「何でポイがオブラートなんだよ!」
「スリルを味わうんですよ!」
「救う前に破れるわ!スリルもクソもねえし!てかなんだよ!スーパーボール救いって!」
「印刷担当がミスったんですよ!いいじゃないですか!」
「よかねぇよ!」
私と霧やんは何を見せられているのだろうか。
「元々はスーパーボール救いじゃなかったんですよ!別のものを救う予定だったんですよ!!」
あれ?
じゃあ「すくう」じゃなくて「救う」の表記はあってるのか?
何も分からねぇわ。
「ん?じゃあ何救いだったの?」
霧やんがふと冷静な声で問いかける。
一年生は笑顔で言った
「金魚です!」
「おい、命の重み全然違うだろ!!」
玲斗がまた叫んだ。
確かに。
というか、どういう変換ミスでそうなったわけ!?
「き」がスーパーボールになるわけないだろ。
何でそうなったのか聞いてみたいわ。
「それで!?オブラートで!?金魚を!?救うの!?」
「いや、そもそもポイが届かなくて……急遽、家にあったオブラートを……」
「雑!」
「ていうかなんでオブラート家にあるんだ?」
玲斗のツッコミに、一年生は「おばあちゃんが薬飲む用に……」と小声で答えた。
「家庭の事情がリアル!てかおばあちゃんが困るだろ?」
「いえ、おばあちゃんは震えながら頷いてくれました!」
「震えてるだけー!それ震えてるだけー!」
「やめてあげて玲斗、これはもう文化祭の闇だよ」
霧やんが玲斗に言った。
文化祭の闇ねぇ……。
「とりあえず……もう一回やってみるわ」
玲斗が意地でも救いたいのか、二枚目のオブラートを手にして構えた。
「無理だって……!」
「今度はそっとやる。こいつは繊細なんだ。よし、ポイを水に沈めて……ボールの下に……そっと入れて……」
水面に漂うカラフルなスーパーボールたち。
その中に、玲斗の真剣な顔が映ってる。
「……っ、よしっ、今だ!」
玲斗が勢いよくポイを持ち上げた。
分かってはいたけど、オブラートはもうすでに溶けていた。
霧やんが完全に芸人ノリでツッコんだ。
「……未来、俺、やっぱ才能ないかも……」
「いや、あったら怖いわ。オブラートでスーパーボール取れたら新聞載るよ」
そんなバカみたいなやりとりをしてる私達の後ろでは、他のお客さんがポイの薄さに絶望して次々に撤退していた。
一年生たちは困った顔で、「ありがとうございました……」と頭を下げていた。
「これ、あとで教師にバレたら怒られるんじゃ……?」
「未来、それは後で考えるのが正しい中学生だ」
「なるほど、流石だよ霧やん」
玲斗は床を叩いて悔しそうにしていた。
最近こいつキャラがブレブレだな。
◇◆◇
――文化祭二日目
「いらっしゃい。本日は何名様ですかァ?」
昨日は脅かし役の人達が客を脅かして、裏方担当が案内、効果音などを鳴らしていたけど今日は逆だ。
つまりは、私も脅かすんだ。
「あらァ、三名様ですねェ。こちらへどうぞォ」
私はロッカーの影から半分だけ顔を出して、笑った。
案内される中学生らしき三人組のうち、前を歩く子の肩が、ピクッと跳ねたのが見えた。
おっ、効いてる効いてる。
「マジでこわい……」
「だ、大丈夫……ホントのお化けじゃないから……」
ふふふ、そう思っていられるのも今のうちだよ。
そう、このお化け屋敷には、演技力が半端ない人がいる。
そろそろかな?
――ギィィ……
仕掛けた自動ドアがわざとらしく軋む音を立てて開くと、ちょうどタイミングを見計らって、村瀬さんが床から這い出てきた。
最恐の演技力を発揮していて、もはや人間の動きじゃない。
「うわあああああ!!」
中学生三人組は、すぐ叫び散らかして逃げた。
一人なんか、靴脱げたまま猛ダッシュして行った。
私はその後をゾンビのようにゆらりと歩き、首を傾げながら一言。
「お靴、落としましたよォ……?」
中の控室から無線が入る。
「村瀬やっば。めっちゃ怖い。あれ本気で泣かせにいってるよな」
「違うよ。プロ意識だよ」
「いや、もはや悪霊だよ……」
案内係に戻っていた玲斗の声が、半笑いで震えていた。
私はククッと笑って、自分の髪を直した。
文化祭二日目、開幕早々、大盛況。
でも、私はまだ本気を出してない。
『次のお客様、ご案内いたしま〜す』
案内係の霧やんが、外で待機する客の列を見ながら、私に無線で知らせてきた。
「了解」
私はロッカーの影に隠れながら、音響係に目配せをする。
今日の音響係は玲斗だ。
効果音用のスマホには『無音→突然の悲鳴』ボタンがスタンバイ済み。
同時に霧やんの声が無線に入る。
『今入ったの俺の友達な。全員ビビり度A判定。』
……なにその独自指標。
「や、やばい緊張してきた、心臓止まったらどうしよ……!」
「大丈夫って、霧山のクラスだよ?怖いって言っても作りもんだし」
「むしろ楽しもうぜ!」
聞こえてきた。
会話が近い。
私は息をひそめ、真っ暗な通路の突き当たりで立ち尽くす。
音響、今!
――イヤァァァァアアアアア!!!
「ぎゃあぁぁあああぁぁあああ!!」
悲鳴が悲鳴を呼ぶ奇跡のハーモニー。
私は客の後ろに回り込んだ。
「こんにちわァ」
「どわあああああああああぁぁぁぁぁああああああ!!」
私、ついに客をジャンプさせたぞ……!
最恐演技はYouTube動画の説明で習得済みだ。
「ヤバい未来、演技力がプロの領域……」
近くから玲斗が小声で言ったのが聞こえた。
そのあとも大盛況で、午前中の来場者はすでに予定の2倍。
令和の貞子とガチのゾンビが出るという謎の噂が拡散され、私の出番のたびに悲鳴が上がる。
ちなみに貞子は私で、ガチのゾンビは村瀬さんだ。
「なぁ未来……その演技、もし将来やりたいことなかったら、マジでホラー系テーマパークで就職できると思うぞ……?」
玲斗が昼の休憩時間に、ぼそっと言った。
「褒めてるのかディスってるのか微妙だな?」
「褒めてる。あと若干引いてる」
「失礼な!!」
霧やんは私の肩をぽんと叩いて笑った。
「ま、お前のお化け適性はガチだよな。前世お化け?」
「ん〜、ある意味?」
人間って死んだらお化けになるって本当かな?
だったらある意味そうだよね。
「緊急事態!小道具部のテープが消えた!ついでに橋本も消えた!」
「「またかよ!!」」
クラスの大半の人が声を上げた。




