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第二十二話  めちゃくちゃ怖いお化け屋敷!?やっとの思いで迎えた文化祭!!

前回までのあらすじ

よっ!みんな大好き合崎未来だよ!なんだかんだで孤高の王子様と称される川島玲斗と入れ替わった私!今は玲斗と霧山瑠輝も一緒に同居中!入れ替わりから半年ほど経ってるけど元に戻る気配なし!そしてやってきた文化祭!玲斗の好きな人が暴けない、しかも玲斗に告ったことのある村瀬恵麻と同じ班で文化祭の準備をすることに!ビビりながら迎えた文化祭は一体どうなっているのか!!

――数カ月後 文化祭当日


ピリピリしていた前日とは打って変わって、クラス内はちょっとした緊張感とワクワク感に包まれていた。


「おっばけや〜しき〜!怖いよ怖いよ〜!絶賛営業中です〜!」


橋本くんが道端でゾンビのコスプレしながら無駄にいい声で呼び込みをしていた。

というか、その恥を知らないテンションはどこから湧いてくるのか本気で謎だな。


「……橋本って、なんだかんだ一番文化祭楽しんでるよな」

「うん。ちょっと見習いたくなるほどのメンタルの強さ」


私と村瀬さんは、朝から設営やら小道具の手直しやらでクタクタだった。

クラスの出し物はお化け屋敷だけど、私達の班は演出と誘導がメインで、中に入ってお化け役をするのは別班。

玲斗や霧やんがメインだ。


「次のお客さま、こちらで〜す!」

「ほら行くぞ、ビビってんじゃねぇよ、遥斗」

「うう……怖いよぉ……」


お客さんは、誰かの小学生兄弟とお父さんの二人組。

うちのクラスの出し物「大絶叫!学園おばけ屋敷!」は現在絶賛・混雑中である。


「いってらっしゃいませ〜」


橋本くんが笑顔で誘導したその直後。


――ギィィィ……


中から鳴る、重たいドアのきしむ音。

間を置かずに悲鳴が上がる。


「おおおぉぉおおおおお!!」

「でたあああ!!」


おー、ゾンビ霧やんが登場したのかな?

私は物陰からこっそり様子を見た。


「ねぇお母さんお母さんお母さん!!」

「だぁぁあああああ!!」


すげぇ。

あいつ、演技に一切のブレがない。


『川島、そろそろ悲鳴の効果音を』


無線で誰かが私に言ってきた。


「りょーかい」


――イヤァァァァァァアアア!!


「ぎぃやぁぁぁあああ!!」


効果音の悲鳴よりも客の悲鳴が怖いんだが。

客は猛ダッシュで霧やんから逃げた。

でも残念。

その先にいるのは玲斗だよ。


「あ、前の人!良ければ一緒に行きませんか?」

「…………」

「あのぉ……」


玲斗はゆっくり振り向いた。

その顔は傷だらけで、口は裂けていた。


「私で良ければぁ」

「い゙や゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」


客は全速力で逃げ去って行った。

私はガチ演技をしている玲斗に若干引きながら流していた音響を止めた。


「うーわ、ガチ演技じゃん。そんなことしてて楽しいかよ」


霧やんが私よりもドン引きした顔で言った。

玲斗はその顔を見て不気味に笑った。


「お化け屋敷はこういうやつだろ?」


その顔の邪悪さやドS度マシマシな玲斗に私達はさらにドン引いた。

できれば『ドS王女とドN王子様の政略結婚』(第五話参照)のドS王女として出てほしいな。


「でも、霧やんも大概だよね」


そう言うと、霧やんは首をかしげた。


「え?俺が?どこが?」

「いやだって、さっきの無言でぬるっと背後に立って耳元で囁くやつ。あれお化け屋敷っていうより都市伝説だったよ」

「あれは演出だよ。音のない恐怖っていうテーマでやったの」

「それに、さっき俺たちの前にいたお父さん、帰り際にこれが令和の貞子か…って呟いてたぞ」

「え、それはちょっと嬉しいかも」


なぜ誇らしげなんだコイツは。


「ちょっと大変!」


クラスの女子が慌てた様子でこっちに来た。


「うちのゾンビがいなくなったの!!」

「は?」

「どうしよう。橋本くんが衣装のまま消えた。最後に残した言葉が『命を取り戻しに行く』だった」

「痛々しい言葉」


橋本ってさっきから道行く美女にナンパしてたよな。

まさか、ナンパに答えた女子でも現れたのか?

仕方ない。


「俺行ってくる。衣装班はウィッグを貸してくれ。長いやつ」


◇◆◇


――十分後


えっと、橋本くん橋本くん。

あっ!

いた!

私は女の人に挟まれて鼻の下を伸ばしているきっもち悪い橋本くんを発見した。

さっきから視線を感じながら探したかいがあった。

よく分かる。

玲斗の顔にロングはよく似合ってたから。

そう、私は衣装版から借りたウィッグを被っているんだ。


「朝日くん!」


私は玲斗の身体でできる限りの高音ボイスを出して橋本くんに話しかけた。

橋本くんは振り向いて私を見た。

私は橋本くんの腕を掴んで上目遣いをした。


「朝日くんってば酷い!」

「え?」

「私と回るって言ってたのに、他の人と回るなんて!」

「え?君だ――」

「もう!この浮気者!」


私は橋本くんの両端にいる女の人を睨んだ。

女の人達は「何この子」と言ってどこかへ行った。


「こんな可愛いこと約束なんてしたっけな……。まぁいいや。どこから回る?」

「二年三組のお化け屋敷行きたいな」

「よし分かった!俺のクラスだから案内は任せとけ!」


私は橋本くんを連れてクラスに戻ることができた。

事前に「橋本くんが見つかった。脅かすから準備して」って言っておいたから、お化け屋敷に入った瞬間に橋本くんはしばかれてた。


「な、なぁ。俺と一緒にいた女の子は……?」

「え?何言ってんだお前」

「橋本くん一人で入ってきたよね?」

「……エッ?」


◇◆◇


私達は午前の部だったから、もう文化祭を普通に歩いても構わないらしい。

ただ、こいつらと一緒は嫌だなぁぁああ!!

私の両横には口裂け女(玲斗)とゾンビ(霧やん)がいる。

なんでだよ。

なんで誰も「一回メイク落とそう」って言い出さなかったんだよ。

ていうか何で二人とも、この姿で普通に歩けると思った!?


「おーい未来、早く来いって〜!焼きそば買うぞ、焼きそば!」

「俺はチョコバナナ行きたい。あとスーパーボールすくい」


強靭な精神をお持ちのようで。

霧やんがチョコバナナを売っているクラスに入って、かすれた声を出して言った。


「ぢょごばななをみっづぐだざい」

「ヒェ……ッ」


受付の人が命の灯火が消えたような顔をして、霧やんからお金を受け取った。

そしてチョコバナナを渡した。


「あど、うぢのグラズのおばげやじぎにぎでぐだざい」

「ハイ……」


その様子を教室の外で口裂け女と見ていた。

あんなんやられたら私は逃げるな。

よく耐えたよ受付の人。


「玲斗と未来の分も買ってきたぞ〜!」


霧やんがいつも通りの口調と声で教室から出てきた。

受付の人や、教室内でビビり散らかしていた人達は、「ん!?」という顔で霧やんを見てみた。


「ありがとう……?」

「さ、行こう」


霧やんは笑顔で私達の手を取って歩き出した。

玲斗も少し困ったような顔をしているが、満更でもなさそうだ。

これが孤高の王子様だなんてね。


「そういえば玲斗。せっかく私の姿で好きな人と過ごせるチャンスなのに、私達と一緒にいていいの?」


霧やんと玲斗がピキッと音が鳴りそうな感じで固まった。

そして霧やんが呆れたように言った。


「玲斗、まだ言ってなかったのか?」

「いや、いつ言うんだよ」

「え?え?」


え?

霧やんって玲斗の好きな人知ってるの?


「未来もそこまで鈍感だとは思わなかったな」

「私が察しが悪いのなんていつものことでしょ?それに、鈍感なのは玲斗も同じでしょうが」

「え?」


玲斗と霧やんが首を傾げた。

まぁ、私が気づかれないようにしてたっていうのもあるんだけど。

玲斗が唾を飲み込んだ。


「み、未来……。それって……」

「うん」


私は玲斗に歩み寄った。

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