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第二十話   一生震えが止まりません!!笑顔がとっても怖い村瀬さん!!

前回までのあらすじ

みなな怖いよぉぉぉおお!!合崎未来だよぉぉおお!!色々あって孤高の王子様と称される川島玲斗と入れ替わって同居を始めた私ぃぃいい!!デパートで仲良くなった霧山瑠輝も同居の仲間入りしたりしてたんだけど、文化祭準備がまさかの玲斗に告ったことがある村瀬恵麻と同じ班なんだよぉぉおお!しかも笑顔が超怖いぃぃいい!!誰か助けてぇぇぇええ!!

「玲斗、言いたくなさそうだし無理に訊くのは良くないよ!」


玲斗がフォローを入れてくれた。

村瀬さんは一瞬びっくりしたような顔をした。

そして、一瞬私の身体を強く睨みつけた。

私の身体に背を向けて、さっきと同じ笑顔で私に頭を下げた。


「……そうだね。ごめん。変なこと言っちゃって」


や、優しい……!

けど笑顔の裏に何かが見えたような気もするけど、気のせいだよね!?

そうだよね!?


「じゃあ、準備、頑張ろっか」


村瀬さんはスッと離れていった。


「し、死ぬかと思った……」


霧やんが可哀想なものを見る目で私を見てくる。

その哀れみが傷口にしみるぅ。


「玲斗。ナイス判断だったよ!私もう、喉まで『中身違いますぅ!』って出かけてた」

「全然ナイスじゃないからな!?すっごい怖かったからな!?村瀬さん、最後ちょっと目が笑ってなかったからな!?」


霧やんだけが、肩を揺らしてクックッと笑っていた。


「君達、楽しそうで何よりだね」

「「お前は黙ってろぉぉぉ!!」」


私と玲斗が一斉にツッコんだ。

いや、マジでまずいかもしれない。

うーん。

行き当たりばったりでなんとかなるかな?

ならないよなぁ。


「玲斗くん。こっちだよ。橋本くんと百均で買うもの決めよう」

「あ、今行く」


私が村瀬さんのもとへ行こうとしたら、玲斗が私の手を掴んだ。

振り向くと、玲斗は心配そうな顔をしている。

心配してくれているのか。


「平気だよ」


私は笑って玲斗の手を振り払った。


「……未来」


そう言って私は背を向けた。

村瀬さんのもとへ歩いていくその途中、ほんの一瞬霧やんと目が合った。

……目が笑ってなかった。

おい、やめろ。

お前まで深刻な顔すんな。

そう思ったけど、何も言えずにそのまま進んだ。


「お待たせ」

「ううん、全然。こっちこそ、ごめんね。……色々、言いすぎちゃって」

「気にしてないよ。文化祭の準備、進めよ」


そう言って買い物リストを広げる。

村瀬さんも頷いて、表面上は何もなかったかのように話し始めた。


「黒い布が三枚追加で必要なんだって。橋本が確認してくれた」

「なるほどね。……じゃ、百均で見てこようか」

「あと、このドッキリシールも追加で欲しいって。メイク道具も追加で二ついるみたい」


私達は自然なふりをして準備を始めた。

私はメモ用紙にメモしながら村瀬さんの話を聞いた。


「川島!村瀬!提灯とかも欲しいみたいだ!メモしとけ!!」


あいつ、見た目の割によく働くな〜。

橋本くんは私の首に腕を巻いてくっついてきた。


「離れろ。暑苦しい」

「いーじゃねぇか。俺達友達だろ?」

「友達になった覚えはない」


マジでこいつセクハラと暴力とかで訴えられないかな。

橋本くんは私の抗議なんか聞こえんと言わんばかりに、腕を肩にかけてぐいっと引き寄せてくる。


「おい……」

「そこまでにしときなよ橋本くん。玲斗くん、本気で嫌がってるよ」


村瀬さんの声が、意外なほど冷静に鋭く響いた。

橋本くんの腕が止まる。


「えっ、村瀬。おまっ、こわ……てか、なんでそんな怒ってんの?」

「別に怒ってなんかないよ。ただ、人が嫌がることを冗談でもしちゃ駄目ってだけ」


口元は笑っているのに、目はまったく笑ってない。

怖すぎる。

橋本くんも気づいたのか、腕を外して頭をかいた。


「う、うっす。了解っす……」


そそくさとその場を離れていく橋本くん。

……村瀬さんって意外とああいうのにはっきり言えるタイプだったの?

ちょっとびっくりして、私は無意識に彼女の横顔を見つめてしまった。

すると、気づいたのか、村瀬さんがふっと私を見て柔らかく笑った。


「……玲斗くんはああいうの、苦手でしょ?」

「う、うん……ありがとう」


小さな声で礼を言うと、村瀬さんは頷いてから再びメモ帳に目を落とした。

だけどさっきからずっと思ってた。

村瀬さんの優しさには、どこか計算が混じってる気がする。

言い換えるなら意図がある優しさ。

たとえば今みたいに。

私を守ってくれたのは事実だけど、その行動の裏に別の動機が潜んでいるような。

そんな感じ。


「玲斗くん、ドッキリシールってこれで足りるかな?」

「あっ、うん。……多分」


私は内心のざわつきを押し殺してそう返した。

さっきのあの視線。

村瀬さんは、確かに私の身体を睨んでいた。

中身の玲斗に対してじゃなくて、多分私に対して。

あの瞬間、何を思っていたんだろう。

怒ってた?

傷ついてた?

疑ってた?


「ねぇ、玲斗くん。これどう思う?」


突然話しかけられて、私はハッと現実に引き戻された。

村瀬さんが、小さなパッケージを手にして私の方へ差し出している。

中身は、ハロウィン仕様の傷メイク用シールだった。


「え、ああ……いいと思うよ。リアルっぽいし、安いし」

「だよね。じゃあ、これにしよっか」


そう言ってまたメモに商品名を書いた。

笑顔は柔らかい。

声も穏やか。

でも、心の奥のどこかがずっとざわついてる。

マジでこの人、何を考えてるんだろう。


◇◆◇


「怖い!!」

「おー、早速未来が音を上げたぞ」


家に帰った私は叫んだ。

霧やんがすかさずナレーションを入れた。

マジこいつ殴っていい?

私は近くにいた玲斗の胸ぐらをつかんで揺さぶった。


「まだ遅くない!元に戻ろう!」

「今更すぎんだろ。俺は絶対に戻らないぞ。たとえ戻れたとしてもまた入れ替わる」

「命かけ過ぎで草」


玲斗の野郎!

自分が村瀬さんと気まずいからって私に全振りしないでよ!

マジでカス!

何で村瀬さんはこんなやつに告ったんだよ!!


「そういえば、何で玲斗は村瀬さんのことを振ったの?」

「……何考えてるかわかんないし怖いから」

「あー」


理解できるのが悔しい。

霧やんが玲斗の近くに行った。


「それだけじゃないだろ?」

「おい霧やん、洗面所に来い」

「絶対やだ。何されるか分かったもんじゃないし」

「お前の鼻にシャンプーと洗顔とボディソープと歯磨き粉を詰める」


え?

ちょっとやめてよ無駄遣いは。


「やるなら玲斗の家でやって」

「止めろ!!」

「ていうか、怖い以外の他の理由って何があるの?」


玲斗の目がスッと泳いだ。

泳ぎすぎてたぶん今、心の中で太平洋を横断してる。

ん?

おいおい、絶対なんか隠してるな?

その目線、嘘ついてる金魚と同じ動きしてる。


「あ〜、分かった。好きな人がいるんでしょ〜!」

「ゲッホゲホッゲホッ!!」

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