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第十八話   霧やんも仲間入り!?とっても賑やかな愛崎家!!

前回までのあらすじ

こんにちは!合崎未来でございまする!色々あって学年で孤高の王子様と称される川島玲斗と入れ替わった私!同居も始めたんだよね!入れ替わりから一ヶ月!同じクラスの霧山瑠輝、通称霧やんにカミングアウトして家でゆっくりしてた所、まさかの文化祭準備で入れ替わりがバレるかもと言われた!もしかして霧やんは何かしようとしてるの!?

「ぶっちゃけ、準備期間始まったらもっとヤバいこと起きると思うから、喧嘩してる場合じゃないって」

「……どういう意味だよ」


私と玲斗は同時に霧山をにらんだ。


「だってさ、川島in合崎は川島らしく振る舞い続けなきゃいけないし、合崎in川島は合崎らしくお化け屋敷の準備をまとめていかなきゃいけない」


霧山は、あきらかにニヤついていた。


「しかも、準備中って、みんなの距離がぐっと縮まるんだよなぁ~」

「………………」

「……それがどうした」

「つまりバレる可能性、大ですっ!!」

「なんで嬉しそうなんだよお前は!!」


玲斗と私は息ぴったりで霧山をハリセンで殴った。

霧やんは「思ったより痛い!」と言って座り込んだ。


「オタクに暴力ふるうとか人権問題だぞ……」

「知らんわそんな人権!オタク以前に人としてのラインを守れ!」

「霧やんが一番火に油を注いでることに気付け!!」


私と玲斗が声を揃えてツッコむと、霧やんは肩をすくめて「はいはい」と降参ポーズをした。

でも、今の話は確かにその通りだった。

準備中は、クラスメイトとの距離が物理的にも精神的にも近くなる。

誰かと組んで作業したり、最終下校まで残ったり。

イベントならではの非日常感で、普段話さない人と急に仲良くなったりもする。


「……マジで気抜けないね」

「ああ。変な言動は即アウトだ」


二人でソファにもたれて、ため息をついた。


「特に川島は一番気をつけないとだぞ?いつものお前の無愛想テンションで、合崎の身体動かしてたら絶対バレる」

「は?誰が無愛想だよ」

「学年で有名な塩対応男子が何を言う。そんなんだから孤高の王子様って言われるんだぞ」


玲斗は霧やんの言葉に眉をひそめた。

玲斗は孤高の王子様って言われるのは好きじゃないもんね。


「それより、未来だって気をつけろよ。男子って準備の時マジで雑用役やらされがちだからな。脚立運んだり、黒幕吊るしたり」

「それくらいならできるよ」


その瞬間、全員のスマホが鳴った。

クラスのグループチャットに何かが送信されたようだ。。


『お化け屋敷のチーム分け決めましたー!以下の通りです!』


私は一瞬で緊張した。

チーム分け!?

私、誰と組まされたの!?


《合崎未来、霧山瑠輝、片田杏子(かただあんず)(脅かし役第一グループ)》

《川島玲斗、村瀬恵麻(むらせえま)橋本朝日(はしもとあさひ)(小道具制作第一グループ)》


「……私、霧やんと同じチームかよ」

「お前の中身、俺だぞ」

「あっ、そうだった。……ややこしいわ!!」


玲斗は真っ青な顔をしている。

どうしたんだろう。


「……村瀬って俺に告白してきた女子じゃん」

「……は?」


あたりに一気に緊張感が走る。

私の口元がピクリと引きつった。


「待って、ちょっとそれどういうこと?」

「去年、手紙もらったけど断った」

「えぇぇええええええ!?」


やべぇ!

そんな状況、何一つ気を抜けないじゃん……!


「お前、明日からが本番だな。……恋愛バトルの」

「絶対違うだろそれ!!」


霧やんのにやけた顔をもう一発ハリセンで殴っておいた。

こうして、カオスな文化祭準備が幕を開けたのだった。


「あっ、そうだ。俺もこの家に住んでいい?」

「……えっ?」

「えっ?」

「ナンデカナ?」

「親が出張で遠くの会社に行くことになって、その期間が一年なんだよな」


つまり、帰ってくるのは三年生になると。

霧やんは困ったように笑った。


「俺、家事何もできないから困ってて」


うーん、部屋は玲斗と同じ部屋で良ければ別にいいけど。

私は玲斗の方を見た。

玲斗も考え込んでいた。


「俺はいいけど……未来は?」

「え?いいよ。玲斗とルームシェアしてくれるなら」

「マジ!?ありがとう!」


よし、もう一回言っておこう。

こうして、私の波乱でカオスな文化祭準備と同居人増量キャンペーンが幕を開けた。


◇◆◇


――翌日


目覚ましが鳴った。

私はベッドの上でガバッと起き上がった。

ん?

私はベッドの横を見た。

玲斗が……倒れてる。

私の身体で……。

まさかまた熱?

私は私の身体を揺すって玲斗を起こした。


「玲斗、玲斗」

「み、未来……だずげで……」

「何があったの?」

「霧やんが……」


私は急いで玲斗が使ってる部屋に行った。


「……ふごぉ……ふぉ……」


まごうことなき霧やんが気持ちよさそうに寝ていた。

デカいいびきをかきながら。

これで寝不足なのね、玲斗は。


「……なんで合崎家の布団に馴染んでるんだあの男……」


玲斗は頭を抱えていた。


「……俺、今日から寝不足確定だな……」

「百均で耳栓買ってきてあげるからそれまで我慢して」


私達は一階に降りた。

朝から目の下にクマを浮かべてソファに沈んでいる玲斗を横目に、私は台所で朝食の準備をしていた。

青色の味噌汁の香りが部屋に広がっていく中、霧やんがのっそりとリビングに現れた。


「おはよ〜。あ、みそしるいい匂い。食べていい?」

「まだできてないから待っててね。あと霧やん、イビキで玲斗追い詰めてたらしいよ?」

「えっ、マジで?俺イビキかくんだ……初耳」

「自覚ないのが一番たち悪いんだよ……!」


力なくそういう玲斗は哀れの他に単語が浮かばない。

可哀想とは思わないけどね。


「未来。お前、今日から俺の代わりに霧やんと寝ろ」

「やだよ。私を生贄にするな。あと私は女子だからな?」

「いいじゃん。身体は俺の何だし。青春イベントで男女が一つ屋根の下とか萌える展開!」

「やかましい!現実の同居生活は理想と違ってストレスだらけだわ!!」


朝から大騒ぎしつつ、私たちはそれぞれの制服に着替えて登校の準備を整えた。

そして、私が食卓にご飯を出すと、霧やんは眉をひそめた。

今日の献立!

味噌汁(青色)、食パン、ヨーグルト、麦茶、サラダ、以上!


「何で青色?」

「おしゃれでしょ?」

「……」

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