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転落事故で入れ替わり!  作者: 春咲菜花
入れ替わり生活編
16/45

第十六話   クラスメイトにカミングアウト!?私とあなたの大口論!

前回までのあらすじ

やっぽ〜!絶世の美女!合崎未来だよ!なんだかんだで学年で孤高の王子様と称される川島玲斗と入れ替わって同居を始めた私!参考書を買いにデパートに来たら同じクラスの霧山瑠輝がいたの!クソ痛いポエムを書いている霧山くんとカフェに入ってお互いの秘密を暴露することに!!私達は意を決してカミングアウトをすることにしたの!霧山くんの反応はいかに!!

「え゙?え゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙え゙え゙え゙!?入れ替わっ……え?待て待て、想像のはるか上の秘密を暴露されたぞ。……あっ、嘘か。うん、そりゃそうだよな。こんなベタな設定、現実にあるわけ――」

「嘘じゃないんだよね〜。これが」

「うわ、川島が女子口調なのキモッ」

「それな」


おお、ここにいたのか。

私の玲斗の顔が女子の口調で喋ってるのがキモいと思う仲間。

玲斗は怪訝な顔をしている。

いやいや、正直キモいから。

こんだけ整った顔した男子が「〜だよね」とか言い出したらキモいじゃん。


「い、いつから?」

「えぇっと、約一ヶ月前かな?階段から落ちたら入れ替わってたんだよね〜」

「お前ら嘘と演技うますぎないか?」

「それほどでも」


にしても、こうやって考えると意外と何とかなってるし、入れ替わり生活も本当に楽しいと思えるんだよね。

霧山くんは頭を抱えた。


「だからお前らの得意教科が真逆になったのか」

「おー、よく分かったね」

「川島はBTB溶液をBBA溶液って言ったりしない」


その言葉が私のメンタルを二、三年ほど研がずに使い続けた包丁くらい刺さった。

クッソ、最近玲斗が忘れかけてたのに。

またツボっちゃったじゃん。


「ククッ……BBA溶液……」

「それに、合崎は英語に日本語を混ぜたりしない」


玲斗は胸を抑えてそっぽを向いた。

……ノーダメージ風に見せかけた全ダメージだな。

あれは。

ていうか……。


「おいぃぃい!玲斗貴様ぁぁああ!!胸は触んなって言っただろ!」


私は玲斗が入っている私の体の胸ぐらを掴んで玲斗をどやした。

マジで最低!

絶対に訴える!

お前それ業だぞ、業。


「おい、落ち着け未来」

「だぁれが落ち着いてられるか!私達は某都会男子と田舎女子が入れ替わっちゃった~的なやつに対応してねぇんだよ!!」

「コンプラと著作権大丈夫か!?」

「今そんな事はいい!!私の巨乳を触った罪は重い!」

「正直に言うとお前別に巨乳じゃねぇだろ!平均よりも二、三ミリデカいくらいじゃないか?」


うわ、失礼すぎる。

女子に向かって平均よりも二、三ミリデカいだけとか!

平均より二、三ミリ……。

そのミリを信じて生きてきた女子の気持ちを踏みつける気か?


「そういうところだよ変態!こんなゲテモノと入れ替わるなんて最悪だ!」

「誰が変態でゲテモノだ!」

「玲斗以外に誰がいるの?こんなのが孤高の王子様だなんて落ちぶれたね!今に見てろ!明日にはゴシップ記事に乗るからな!!」

「いや乗らねぇよ!!何の肩書きもねぇ自意識過剰は黙っとけ!」


いやいやいや、多少自意識過剰な方が自分を保てるんだよ!?

それなのにこの馬鹿野郎ときたら!


「殴るよ!?」

「やってみろよひ弱!」

「上等だゴラ、やってやろうじゃねぇか!今の私は玲斗なんでね!力はありまっせ?」


私は拳を振り上げた。

この馬鹿を一発殴る!

何なら殺す!

私の腕を誰かが掴んだ。

誰だ!

私は腕を掴んでいる人を睨みつけた。


「それくらいにしろよ。合崎、川島」


霧山くんの馬鹿!

あとちょっとで殴れたのに!

私は勢いよく椅子に座り直した。


「こんな横暴な女子がいてたまるか」

「いや、今のは十分の十川島が悪いからな?女子に向かって貧乳とか言うのはデリカシーがなさすぎるからな?」


流石霧やん。

分かってる。

今私の中で君への好感度が爆上がりしたからね。


「霧やんの言い分が一番正しいよ」

「霧やんって誰だよ」


霧やんがツッコんだ。

霧やんは霧やんだろ。


「玲斗は帰ったらゴキブリの刑ね」

「名前出されただけでももう地獄なんだが」


私はスマホを取り出してGを調べた。

そして画像を見せた。


「ぎゃぁぁああ!!」

「あっれれ〜?玲斗くん、ここは公共の場だよ〜?迷惑になるような声は出さないようにね〜?」

「悪魔!人でなし!サイコパス!」


玲斗が目に涙を浮かべながら、スマホから目を逸らすように身をよじった。

うん、キモい。

私がじゃなくて、玲斗がキモイの。

女々しいな本当に。

ほら、霧やんも引いてるよ。

あれ?

私も引かれてる?

まぁいいか。


「ごめんね〜?でもさ〜?人の体で勝手にセクハラしたら、そりゃGの刑くらい当然でしょ?今に始まったことじゃないし?」

「開き直りすぎてもう悟りの域だよ……」


私が得意げに鼻を鳴らすと、霧やんが机に額を押し当ててぐったりため息をついた。


「はぁ……頼むから、俺の目の前で内臓が捻れるようなコントしないでくれ……」

「いや霧やん、それはコントじゃないよ。リアルな青春の葛藤と悲劇だから」


私は悟り開くように言った

というか、内臓がねじれるようなコントとは?

玲斗が小さく呟いた。


「……俺の精神が削れていく音、聞こえないのか……」

「聞こえるよ。キュイィィガッガガガッってね。刃物を研ぐ音みたいな」

「それは刃物を研ぐ音じゃない」

「いや、私の脳内ではそうだった。もう一回再生する?キュイィィィィガッガッガッガ」

「やめろ……本当に頭がキンキンしてくる……」

「へえ、玲斗でも頭あるんだね。てっきり筋肉詰まってるのかと」

「お前さぁ……!」


玲斗が唇を噛んで睨んでくるけど、私の顔でそれやるとなんか間抜けなのよ。

鏡持ってこようか?

とんでもなく間抜けな顔になってるから。


「なぁ霧やん、俺のこの屈辱わかるだろ……?」


玲斗が助けを求めるように霧やんを見たけど、霧やんは完全に諦めた顔で頭を抱えていた。

迷惑そうにしてるよ。

玲斗が変なことを訊くから。


「どっちもどっちだよ。てか、俺が一番被害者な気がしてきたわ」

「じゃあ胃薬持ってこようか?ついでにお経も流してあげる」

「殺すな!」


霧山くんはため息をついてドリンクを一口飲んだ。

そして、深刻な顔で私と玲斗を見た。

何なんだ。


「……お前ら、入れ替わってるってもっと深刻な問題じゃないの? なんでこんな軽すぎるノリでやってんの?」

「だって、意外と何とかなってるし? バレても『ま、いっか』くらいの反応だし」

「そうだったな!俺にもサラッと話したもんな!」


納得をしたかと思いきや、霧やんはワナワナと震えだした。

そして机に手をついて立ち上がった。


「いや普通もっとパニクるだろ!? 映画だったらもっと深刻な顔で感動シーンとか来るだろ!」

「感動……?」


感動ねぇ……。

私は玲斗を見た。

うーん。

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