表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転落事故で入れ替わり!  作者: 春咲菜花
入れ替わり生活編
10/45

第十話    夏風邪は馬鹿がひくもの!?病弱少女の体調不良!!

前回までのあらすじ

こんにちわっしょい!合崎未来ですぜ!なんやかんやあって孤高の王子様と称される川島玲斗と入れ替わりまして、同居をはじめまして、いろんなゲームをしまして、ご飯を食べました!!でも、ご飯中にGが登場して大戦争!Gは普通に平気だけど。か弱い女子を演じてみたら、まさかの玲斗のほうがGが苦手って発覚!!何とかその場を切り抜けたけど、翌日新たな問題が!?

「ねー、玲斗。起きてよ〜」


私は時間になっても起きてこない玲斗を起こしに、玲斗の部屋にいた。


「未来……。頭痛い……」

「えー、着色料入れすぎたかな?」

「なら腹にくるだろ……」


元気がなさそうなのにちゃんとツッコミをする玲斗にはさすがとしか言いようがない。

私は一階から体温計を持ってきて、玲斗に渡した。


「三十八度六分か……。熱だね、玲斗」

「うぅん……」

「まだギリ夏かな?じゃあ、玲斗は馬鹿だ」

「お前には言われたくない……」


今日も今日とてツッコミが健在の玲斗さんだ。

心なしか元気がないように見えるけど。


「今日は学校休みな〜。私も休むから」

「いや、お前は行け」


玲斗はまっすぐ真剣な眼差しで言った。

まぁ、そうか。


「じゃあ、行くね。くれぐれも無理はしないようにね」


私は玲斗に忠告をして家を出た。

大丈夫かな……。


* * *


苦しい。

暑い。

未来が学校に行ってからどれくらい経った?

分からない。

俺は体を起こした。

未来が用意してくれた氷枕はすっかり溶けている。

変えに行かなきゃ。

俺は階段を降りて一階に行った。

キッチンまで、あと数歩というところで目がかすんで倒れてしまった。


「うぅ……」


氷枕がぶちまけられた。

拭かなきゃなのに体が動かない。

体におもりがあるのではというほど重い。


「全く、言わんこっちゃない」


誰かが俺の目の前に立っている。

呆れたような声が聞こえるけど、頭に響いて誰の声か分からない。


「私の体なんだから、大事にしてよね」


◇◆◇


俺が目を覚ました時、俺はなぜかベッドの上にいた。

あれ?

さっき氷枕を変えに行ったはずだけど……。

俺は氷枕を触った。

冷たい……?

なんでだ?

左手が温かい気がして、俺は左手を見た。


「未来!?」

「んっ……」


俺がでかい声を出したせいで、未来は驚いたように肩を震わせた。

未来は布団に顔を埋めて寝ている。

その手にはタオルがあった。

今は一時。

未来が学校から帰ってくるには早すぎる。


「おい!未来!未来!」


俺は未来の体を揺すった。

未来はゆっくりと目を開けた。


「あぁ、玲斗おはよ〜」

「おはようじゃない!何でいるんだよ!」

「早退した」

「……は?」

「五、六限は自習だったから、今預かってる知り合いの子が熱出してるって言って帰ってきた」


未来はあくびをしながら呑気に言った。

こいつは何もわかっちゃいない。

自分の成績が下がる可能性も、次のテストで点数が下がる可能性も。


「ほんっとに馬鹿だな」

「はぁ!?夏風邪引く馬鹿な玲斗には言われたくないんですけど〜!」

「いや、お前の方が馬鹿だよ」


俺はその時初めて、未来の前で本当の笑みを浮かべた。

未来は驚いたように目を見開いてから俺に微笑んだ。

俺の顔だけどその笑みは未来のものに見えた。


* * *


――数時間前


「うぅ……。心配だ……」

「川島くん!!おはよう!」


愛華が私の体こと玲斗の体に抱きついてきた。

愛華って人との距離感バグってるんだよね。


「はよ」


私は玲斗みたいにぶっきらぼうに返事した。

愛華と千佳は隣同士だから、よく二人でいる。

愛華は千佳が好きらしいけど、正直千佳が愛佳をどう思ってるかわかんないんだよね。

あんまり喋んないし。


「あっれぇ〜、未来は?」

「風邪だってさ」

「そっか、心配だね」

「あぁ」


三日で玲斗の演技を叩き込めた私はもう、女優なれるんじゃないかな?

口に出して言ったら、玲斗のツッコミが飛んできただろうな。

私は愛華と千佳と学校に行った。


「おはよ〜」

「おはよう」

「あれ?未来は?」

「本当だ」


クラスメイト達はすぐに私がいないことに気がついた。

いや、私はいるけど私の体がいない。


「夏風邪ひいたって〜」

「えー、じゃあ未来馬鹿じゃん」

「病人に向かってその言い方草生える」

「まぁた未来に馬鹿の称号がついたよ」


おい待て、なんだ馬鹿の称号って。

またって言った?

いつもつけられてるってこと?

ほぉう?


「ねぇねぇ玲斗!合崎さんがいないここで聞く!最近どうなの!?」

「さ、最近……?どうって……?」

「なんかあった?」


もしかして同居のことがバレてるのか?

私は背中に冷や汗をかき始めた。

友好関係があんまりないって言ってたくせに、クラスの大崎理恵さんとは仲良いのか。

そこら辺も教えてくれればよかったのに!

というか、最近どうって聞かれても困る。


「ほら、最近得意だった理科が苦手になったでしょ?得意だって言ってた中和実験の内容まで危ういなんて、絶対なんかあったでしょ」


中身が入れ替わってます。

とは言えなぁい。


「そういえば、未来も様子おかしかったよね」


さっきまで黙っていた愛華が口を挟んだ。


「確かに得意の英語のスピーチボロボロだったよね」


愛華のその一言に、私はビクッとした。

バレてる?

流石にできる教科が変わりすぎてる?


「二人とも恋でもしたの?」

「は?」


とっさに返したその一言が、思いのほか鋭すぎたのか、周りの空気が少し凍りついた。

やば、玲斗って普段からこんな感じで話してたっけ?

ちょっとトゲ強すぎた?

うぅ……。

難しいよぉ……。


「そんなに否定しなくてもいいじゃん。図星かと思ったじゃない」


大崎さんが茶化すように言った。


「もしかして、合崎さんと付き合ってたりして」


私は「そんなわけないでしょう!玲斗と付き合うとかそんなわけないから!」と口から出そうになった言葉を飲み込んで、玲斗のフリをした。

私は玲斗、私は玲斗。


「なんもねーよ」


低く短く答えた。


――キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン


チャイムが鳴ったから、私は急いで席に着いた。

先生が入ってきて連絡を始めた。


「今日は時間割通りだが、五限の社会は担当の先生が体調不良でお休みということで自習になった。六限も予定通り自習だから、この二時間を有効に使えよ。じゃあ、一限の用意しろよ〜」


午後の授業がなくなったのか。

私は立ち上がって、先生のところに行った。


「先生」

「おう川島」

「俺、午後に帰ってもいいですか?」

「何でだ?」

「実は、今知り合いの子供を家で預かっているのですが、風邪を引いてしまって……。親は出張でいないし、心配で……」

「それは心配だな。午後は授業がないし帰っていいぞ」


よっし、言質取った〜。

ゆるい学校で良かったぁ

その後、私は四限までの授業を終えて、急いで家に帰った。

鍵を開けて中に入った。

荷物を置きがてら玲斗の部屋に行ったのに誰もいない。

リビングにいるのかな?

私はリビングに行った。


――ドサッ


そんな音が聞こえて、急いでリビングに入った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ