花を咲かせる魔法
初めて書いたので、お手柔らかにお願いします。<(_ _)>
手から顔をのぞかせた一輪だけぽつんと咲く花。あのとき僕は魔法を見た気がした。僕に気がついて微笑む。
少し春を好きになれた気がした。
春が来た。僕はあまり好きじゃない。花粉症だから。こんなにきれいに咲いている花も鬱陶しく感じる。入学式は冬にしたらいいのに。雪の方が断然好きだ。
「いったでしょー?今日は満開日和だって!!」
「咲の花予報さすがすぎっ。あの木めっちゃ綺麗~あそこで撮ろ」
「あっ」目が合った。
手を振られたから反射で振り返す。…知り合いだっけ?
「え、知り合い?」
「なんか目が合ったから…?」「よろしくね。」
「ども…」向日葵みたいに笑う女子に精一杯の返事。春と夏は苦手だ。きっと最初で最後の会話になることだろう。せめて笑い返せばよかったと思ったときにはもういなかった。
一年B組三十四番。窓際の後ろから二番目。マイベストポジション…。席替えが今から憂鬱だ。
「かなちゃんとクラス離れちゃったな~。て、あれ、入学式ぶりだね。」
フラグ回収早いって。
「わたし、藤野 咲。よろしくね。」
やっぱり人種が違いすぎる。僕はこんなに満開に笑えない。きっと一か月もすればクラスの中心に彼女がいるんだろうな。
「柚木 陽向。よ、よろしく。」
「陽向くんが教室にいてくれてよかった~。新学期楽しみで早起きしすぎっちゃったの。陽向くんも?」
「僕は…」人混みが苦手で。「まぁ、うん。」
「一週間後に遠足あるの知ってる?まどろみ公園にいくらしいんだけど、あそこたくさん花が咲いて綺麗なんだよね。」
満開の花、確か、「…似合いそう。」
「え?」
「いや、藤野さんは花が好きそうだなって。」
「咲でいいよ。わたしね、魔法使いなの。花が一番綺麗に咲くときが分かるの。きっと満開の花をみれるよ。」
その言い方はなんだか、彼女が花を満開にさせてるかのように聞こえた。
「それは楽しみだな。」こころにもないことを…。
でもせっかくだからカメラを持っていこうかな。
彼女が言った通り、今日の公園は満開の花に彩られていて。似合っていた。
「言ったでしょ?カメラわたしも持ってくるべきだったな。」
「貸そうか?」
「あ、じゃあ後で一枚撮ってほしいな。お昼食べた後時間ある?」
「いつでもいいよ。」
「じゃあ奥に木があるでしょ?そこ抜けたとこで待ち合わせね。結構穴場なんだよ。」
昼、どうしよう。誰だっけ、島野か島田みたいなぼっち仲間がいたはず。
一週間は早すぎだろ…。僕みたいなやつにとっては暇すぎる。――島田。友達いたのか。
公園ウォーキングでもするか。わいわいしてるのを背に一人飯する勇気はないから。
あ、やば時間だ。意外と公園が広かった。案の定、彼女は先についていた。
「ごめ…、え」
彼女の手から花が顔をのぞかせた。
「それ、君が…」咲かせたの?
あり得ないのはわかっているけど、花に囲まれた咲が特別に見えたから。
「どうしたの?」
「その花、咲が咲かせたのかと思ったから。」
「え。」「秘密だよ?」
咲が微笑んだ瞬間、花が満開になったような気がした。
「魔法使いだからね、なんてね。」
「そうだった。」
僕は今、魔法を見た。咲は本当に魔法使いだと思う。魔法をかけられた。春が咲いた。
誤字脱字の報告ありがとうございます!!!間違いすぎて恥ずかしい(т-т)助かりました!!