戴冠
戴冠
ルルイエの儀式場で、私は歩く。
儀式場には魚人たちがひしめいている
彼らは皆金色の装飾具をつけている。
彼らはその瞼のない、丸くて真珠のような目でこちらを見つめている。
彼らは儀式場に立ち、見守っている。
私は暗い儀式場の中を歩いてゆく。
足音が儀式場に響く。
足音は暗い海中で響く。
私は歩いてゆく。
私は歩き、儀式場の中心まで来た
目の前には儀式に使う金色の冠や腕輪、ネックレスなどの装飾具や黒色の法衣を身に着けた魚人がいる。
彼は魚人たちの司祭だ。
私は、彼の目の前に立つ。
そして、祈りを捧げる。
「いあ いあ くとぅるふ るるいえ うがふなぐる ふたぐん」
声が反響する。
目の前の司祭が、私に金色のネックレスを手渡す。
私はそれを受け取る。
それは蛸に似た頭と羽を持った神がかたどられたネックレスだった。
次に彼はネックレスと同じ模様が描かれた杖を渡す。
私はそれを受け取る。
そして私はまた唱える。
「いあ いあ くとぅるふ るるいえ うがふなぐる ふたぐん」
周りで見ていた魚人のうち一人が言った。
「いあ いあ くとぅるふ るるいえ うがふなぐる ふたぐん」
もう一人の魚人も言った。
「いあ いあ くとぅるふ るるいえ うがふなぐる ふたぐん」
周り中の魚人が唱える。
「いあ いあ くとぅるふ るるいえ うがふなぐる ふたぐん」
「いあ いあ くとぅるふ るるいえ うがふなぐる ふたぐん」
「いあ いあ くとぅるふ るるいえ うがふなぐる ふたぐん」
「いあ いあ くとぅるふ るるいえ うがふなぐる ふたぐん」
「いあ いあ くとぅるふ るるいえ うがふなぐる ふたぐん」
私も唱える。
「いあ いあ くとぅるふ るるいえ うがふなぐる ふたぐん」
魚人たちがまた唱える
「いあ いあ くとぅるふ るるいえ うがふなぐる ふたぐん」
「いあ いあ くとぅるふ るるいえ うがふなぐる ふたぐん」
瞬く間に大合唱となる。
司祭も、私も、周りの魚人たちも、皆が唱える。
海底に沈んだ、日の光の届かないルルイエに声が響く。
それは反響し、浸透し、かき回す。
「いあ いあ くとぅるふ るるいえ うがふなぐる ふたぐん」
「いあ いあ くとぅるふ るるいえ うがふなぐる ふたぐん」
「いあ いあ くとぅるふ るるいえ うがふなぐる ふたぐん」
「いあ いあ くとぅるふ るるいえ うがふなぐる ふたぐん」
この光景はきっとおぞましいものであっただろう。
だが、私にとっては素晴らしいものだった。
偉大なるクトゥルーに祈ることこそ至高であり、狂気こそが真理である。
いあ いあ くとぅるふ ふたぐん。
祈りは永久に続く。
これは私が、狂気を知った日の話である。