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0.プロローグ

リゼット一行が、『自警団』の活動中遭遇したのはアルベリック王太子率いる騎士団、つまり敵。

なんとかその場は逃れるも、リゼットは動揺を隠しきれないでいた。

だって、王太子殿下その人は、彼女の勤める店の常連客であり、想いを寄せる人だったから。




⭐︎

数年前に投稿した未完結小説「天秤は傾かず」を再度推敲し、投稿しなおしました。最後までどうぞお付き合いください。

ーーーー星空と月だけが見守ってくれている。








いつものごとく魔物退治に励む私たちの眼前に、騎士団を率いる彼が現れた。


「なんでこんなところにいるんだ……」


吐き捨てるように悪態をついたのは、我らがリーダー。

その言葉には非常に同意。

私たちはじりじりと後ずさりを始めたが、馬上の美しい彼は私達をひとにらみした。


「こんなところで何をしているんだ、『自警団』」


人を制圧することに慣れた怖い声だった。

仲間と共にずりずりと後退しながら、私は心の中で泣いた。


「ふん、そんなこともお分かりにならないとは、ぼんくら王太子だという噂はどうやら本当のようですね」


リーダーの不敬な言葉にも、美しい王太子様は軽く眉をあげただけだった。


「それにしても、たかが魔物一匹仕留めるのにやたらと大所帯なことで。使えない騎士に、貴方のお世話係に、連れてこなければならない者は多いですからね」


この状況で追い詰められているのはどう考えてもこっちだ。向こうが大所帯というのは、つまり敵の人数が多いということ。それに、挑発のためにああ言っているけれども、王国騎士の強さといったら、化け物並みで、対するこっちはなまくら手にした少数『自警団』。

どちらの分が悪いかなんて、火を見るより明らかだ。


ようやく動揺から立ち直った私は、周りにいる仲間たちに小さく目くばせをした。じりじりと後ずさるふりをして、仲間の背後に隠れる。相手側から私が見えないことを確認して、手のひらを口元に寄せ、小さくつぶやく。


「こんなところで何をしてるかだって?我々の目的など、ご存じのはずだ!知っていてなお、貴方方が動かないのはどういう了見か、知りたくもないですがね!」


リーダーの時間稼ぎのおかげで、準備は完了した。

私の周りに仲間が集まっていることを確認して、最後の詠唱をする。その刹那‐‐‐


「うわっ!」


強烈な光が私たちを覆う。私が詠唱して発動したのはここにいる仲間を丸ごと転移する魔法。

その光の向こうで見えたのは、まぶしさに目を細めるあの人。



あなたがまさか、敵なんて。























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