表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/138

6


「結論から言うと、ここはオルガスタ領の領都の外れだ。領都までは馬車で2時間ってとこだな。」

無事に弟も目を覚まし、私たちはダイニングの食卓に集合した。

「なんの結論だよ!なんだよオルタンシアって!領都ってなんだよ!」 

侑李がダン!とテーブルを叩いた。

そりゃそうであろう。

巨豚に襲われて、失神して安らかに眠り、起きたら父親がこの発言。

激昂するのも頷ける。

お父さんにお姫様抱っこされた件は黙っておいてやろう。

「オルガスタ、な。」

お父さんが律儀に訂正した。

「不思議な事に、温泉は今まで通りに出るし、電気も水道も問題ないのよ。テレビはつかないんだけど。」

お母さんが頬に手を当てるおばさんポーズで首を傾げる。

「不思議といえば、軽トラとワゴンのガソリン、無限大表示になってたな。なんだ?ありゃ。」

お父さんも続けた。

無限大。

まさにその事などなどを話そうと思っていたところだ。

「そういえばさ、ちょっとこれ見てくれる?」

私は自分のスマホを差し出す。

「バッテリーのとこ、無限大マークなの。あと、ここ。」

私はひとつひとつ指を差しながら自分のスマホについて説明した。

お父さんはふむふむと真剣に聞きながら、じっと何かを考え込む。

「ちょっと、貸してみてくれ。」

お父さんに言われてスマホを渡す。

お父さんは怪訝な顔でスマホをいじっていたけど、やがて首を傾げた。

「斗季子、何も反応しないがロックかけたままか?」

お父さんに言われて私も首を傾げた。

「いや、外してると思うんだけど…。」

確認のため、スマホを受け取ろうと手を差し出すと。

ぽん。

………。

スマホが、瞬間移動した。

……なんだ今の現象は。

自分の手の中に収まったスマホを凝視。

「……え?」

唖然としてお父さんを見る。

「おいおい。こりゃすげぇな。斗季子、今度はロック外して持ったままこっちに向けてみてくれ。」

お父さんに言われ、スマホの画面を向けた。

お父さんはスマホに触って目を見開いた。

「斗季子。このスマホ、お前しか操作出来ねぇぞ。それにおそらく斗季子が欲しいと思えば戻ってくる。」

感心したように言ってお父さんは手を引っ込めた。

なんですと?

それじゃあ、もう「私のスマホ、どこいったー!」と慌てる事が無くなると?

ありがたい状況に思わずニンマリとしてしまう。

「待ってくれよ!父さんも母さんも、ねーちゃんもさ!なんで落ち着いてるんだよ!なんなんだよこの状況!いったい何が起きてるんだよ!」

とうとう侑李が爆発した。

テーブルに手をつき、鼻息も荒くブルブルと身体を震わせている。

「なんか、状況が異常過ぎて一周回って落ち着いた。」

私が答えると侑李はグ、と口籠る。

お父さんとお母さんは互いに顔を見合わせて、改まった様子で私たちを見た。

「斗季子、侑李。」

お父さんに声をかけられて、2人して顔を向ける。

「実はな。2人に話さなきゃなんねぇ事がある。」


ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ