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お読み下さりありがとうございます。


ご感想、ブックマーク、いいね、評価ポイントなど、いつも本当にありがとうございます。

とても励みになっております。


今、読み直したところ、昨夜の投稿で、どうも見直し前のものを投稿してしまったようで…。

編集し直しています。

申し訳ありませんでした。


公爵家での話し合いが終わった後、お父さん達は侑李を通じて王城へ連絡をとり、それから何日かして、私たちは王都へ向かう事となった。


王様にユージルの事と、ユグドラシルがもたらした今回の変化について報告するためだ。



王城にある例の公爵家の部屋、という名の屋敷に到着すると、さっそく侑李が屋敷に来てくれた。


そして侑李だけかと思ったら、レンブラント君やハルディア君に加え、アルベルト王太子やなんとマナミちゃんの姿も見える。


「ウォードガイア公爵様、お会いするのは夜会以来ですね。改めまして、聖女のマナミ=カジワラです。ユウリ様のお姉様が無事に戻られたと聞いて、安心しました。」


マナミちゃんはにこやかな笑顔でお父さんに挨拶する。


心配して、来てくれたのかな?


でも、マナミちゃんは今、王都での聖女フィーバーの中心人物のはずで、忙しいんじゃ…


わざわざ来てくれた事への申し訳なさを感じつつ、私はお父さんの隣に立って、挨拶を受けた。

「オルガスタ領公爵、ラドクリフ=ウォードガイアだ。ご挨拶、痛み入る。」

お父さんはにこやかに挨拶を返す。


「り…り…リリアンフィア・斗季子=ウォードガイアです。」

私も続ける。


そう!聞いてくださいよ!

私の名前は対外的にはリリアンフィアとなっていたんだけど、あまりにも私が嫌がった為、ミドルネーム的に「斗季子」を入れる事になったんだよ!


これでうっかり斗季子と名乗っても大丈夫だ!

なぜ早く思いつかなかったんだろう!


侑李は一瞬変な顔で私を見たけど、とりあえずドヤァしといた。


「侑李、こちらでは大変だっただろう。すまなかった。」

お父さんが言うと、侑李は安心したような笑顔を見せる。

「うん。でも、レンブラントやハルディア、それにアルベルト殿下がすごく力になってくれたんだ。本当に感謝してる。」

侑李は三人に視線を向けて、改めて感謝を伝えた。

三人もそれに笑顔を返している。

その様子にこちらも笑顔になる。


侑李にいい友達が出来て私も嬉しい!


「侑李。心配かけてごめんね?」

そういうと侑李は少し涙ぐんだ顔になった。

「ねーちゃん…。良かった。無事で。」

そう言われて、思わず侑李の頭を撫でてしまったけど、いつもなら照れて嫌がるのに、そのまま微笑んでいる。


よほど心配かけたらしい。


「みんなも、ありがとう。侑李をすっごく助けてくれたって聞いてる。アルベ君も本当にありがとう。」

友人達やアルベルト王太子にも声をかけると、それぞれ嬉しそうに笑ってくれた。


今度、うちの温泉に招待しよう!

お礼をしなければ!


「斗季子さん!アルベルト様は、王太子なんですよ!そんな言い方、おかしいと思います!」

侑李達とほっこりしていると突然、マナミちゃんが割って入ってきた。

正義感たっぷりな様子で言われて、私もはたと我に返る。


そうか、確か、アルベ君も人前では《王太子殿下》って呼んだ方がいいって言ってたよね。

ついホッとして、気が緩んでしまった。


「申し訳ありません。王太子殿下。侑李の助けになっていただいて、ありがとうございました。マナミさんも、教えてくれて、ありがとうございます。」

慌てて言い直し、頭を下げる。


アルベ君は困ったように笑っていたけど、一つ頷いてからマナミちゃんに向いた。


「マナミ殿、良いのです。これは、友人として私から姫にお願いしていることなのです。」

そう言って取り成したがマナミちゃんは首を左右に振り、強い視線でアルベ君を見上げた。


「でも、婚約者だからといって、そんな風に呼ぶなんて…。アルベルト様、いけませんわ!お優しくても、こんな甘えは許すべきではないと思います!」

フンス!と鼻を鳴らしてマナミちゃんは言った。


婚約者?

誰が?


ここにはいないはずの婚約者というワードに頭の上にハテナマークを並べていると、みんな諦めたような顔でため息をついている。


おおお…。これは。

もしかして、マナミちゃん、ずっとこんな感じなのだろうか…。


「とりあえず、お茶でもいかがですか?さあ、みなさん、どうぞ!」

なんだか気まずくなって、話を無理矢理変えて、侑李達を応接室の方へと促す。


「ユウリ様!行きましょう!」

マナミちゃんはさっきまで怒っていたのが嘘のように笑顔で侑李に擦り寄っていった。

そしてそのまま侑李の腕を取り、先導するお父さんの後を弾んだ足取りでついていった。


あれま!もしかして、うちの弟がモテてる?


密かにニヤつく私と対照的に、レンブラント君とハルディア君はあからさまにイラついた顔になり、アルベ君は困ったように笑った。


「……どうしたの?」


こっそり、聞いてみると、レンブラント君は小さくため息をついた。

「いえ、このところのマナミ嬢の行動に行きすぎなところがありまして。」

首を傾げていると、ハルディア君が続ける。

「《聖女の力》とやらが発現した時から、俺達のそばを離れないんです。特にユウリは付き纏われていて…。」


二人の様子からして、どうやらユウリにとっても喜ばしいものではないようだ。


なんだか微妙な気分になって、前方を歩く侑李とマナミちゃんを眺めながら、その後に続いて歩く。


応接室では、ユージルが待っていた。


「やあ!いらっしゃい!」

明るい笑顔でみんなを迎え入れたユージルは、侑李達を驚愕させた。


背後からの陽の光に照らされて、ユージルの美貌は輝くばかり。

まるで物語に出てくる天使か精霊のようなその姿にマナミちゃんは一瞬驚いたように目を見開く。

そしてキラキラと目を輝かせてユージルを見つめ始めた。


アルベ君達もユージルのありえない程の美貌に注目を集めていたが、お父さんがコホンと咳払いをすると、ハッとしたようにお父さんに視線を向けた。


「紹介しよう。信じられないかもしれんが、こちらが話していたユージル様だ。ユグドラシル、世界樹と言われているお方だ。ユージル様、こちらが息子の侑李、そしてアルベルト王太子殿下と、侑李の友人達です。」


お父さんの言葉にアルベ君達はすっと跪き、臣下の礼をとる。


「御前に目見え出来ました事、光栄の極みにございます。私は王太子、アルベルト=マクシミリアン。こちらは宰相の子、レンブラント=カーライル、そして騎士団長の子、ハルディア=バルザックでございます。あちらにいるのが、ウォードガイア公爵の子、ユウリと、王弟であるハロルドが聖女召喚により呼び寄せたマナミ=カジワラ嬢です。」


アルベ君が代表してそう自己紹介すると、ユージルはふわりと微笑む。

「うん。俺はユージル。よろしくね?斗季子からもラドクリフからも話は聞いてる。どうか、楽にして?」

自然な感じでユージルに言われて、緊張した空気がふっと緩む。


その後、ユージルは表情を真面目なものにして、マナミちゃんのもとへと歩いて行き、まじまじとマナミちゃんを見る。


ユージルに至近距離で見つめられたマナミちゃんは顔を真っ赤にして口をぱくぱくと動かして、言葉が出なくなってしまったようだ。


そんなマナミちゃんから視線を外す事なく、なおも見つめ続けてから、

「……なるほど。君は巻き込まれてしまったんだね。」

ユージルはマナミちゃんに対して申し訳無さそうな顔でそう呟いた。





お読み下さりありがとうございました。

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