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あれから簡単な夕食(トマトとチーズのパスタ!)を食べて、さっさと入浴を済ませ、私たちは早めに休んだ。

不思議な事に、たしかにお母さんが言う通り、電気も水道も使える。そしてガスも使える。

ここは異世界だという事だけど、何がどうしてそうなったんだろう。

私はコロンとベッドの上で寝返りを打ってスマホをいじっていた。

このスマホも、不思議だ。

なんで使えてるんだろう?

そしてなんで微妙に仕様が変わったんだろう?

待ち受け上にあるアイコンを眺めていると、ひとつ、見慣れないものが目に入った。

「ガイドアプリ?なんだこれ。」

ツン、とそれをクリックしてみる。

《ガイドアプリへようこそ!》

ポップな感じの画面が広がり、チュートリアルの文字が浮かぶ。

画面の下の方には《次へ》の表示。

タップしてみると、画面が切り替わる。

《初めてのユグドラニア》

やはりポップなその画面に、ごくりと唾を飲み込む。

ユグドラニアって、確か、お父さんが話してた時に出てきたような…。

私は若干震える指で画面をタップした。

《ユグドラニアへようこそ!このアプリはユグドラニアへ転移してきたあなたへこの世界でこのスマホを賢く使うためのお助けツールです!》

その説明書きに目を見張る。

なんだこれは?!

今度は迷う事なく《次へ》を押した。

《このスマホは、ユグドラニアに転移してきたあなたへのギフトです。バッテリーはこの世界に存在する魔力を変換するため無限です。そしてアプリへのアクセスはギフトの能力で常時可能です。》

先を急ぐように、《次へ》をタップする。

《例えば、お買い物アプリ。これは今まであなたが利用していたサイトがそのまま利用出来ます。商品は地球の物を扱っているほか、ユグドラニア製のものも取り揃えています。商品はアップデートされます。》

《お買い物には、料金が発生します。料金は銀行アプリから引き落とされます。今回は初回ご利用特典としてあらかじめ100万リルがチャージされています。チャージの方法は銀行アプリを開き、入金をタップしてください。》

そのあと、ためしにやってみよう!と画面が切り替わる。

ホーム画面になり、いつのまにかダウンロードされていたATMと書かれたアプリが点滅していた。

「……大丈夫なんだろうか」

思わず一気読みしてしまったが、正直ツッコミ所が満載だ。

しかしここまで読んでしまったのだ。

やるしかない。

莫大な不安が残るが、操作を続けてみる。

すると、預け入れ、引き出し、残高照会というおなじみの文字が現れた。

預け入れ、をタップ。

《お金を置いてください》

コンビニのATMでよく聞くあの声でアナウンスが流れた。

お金を?置いてください?

どこに?

あわあわしつつも、とりあえず100円玉を…だからどこに置くんだ?!

半ばやけっぱちでスマホの上に載せてみた。すると。

フォン。

と画面から光が広がる。

ワンピースが出てきた時と同じ光だ。

そしてその光とともに100円玉がスマホに吸い込まれてしまった。

うそ…。

ありえない出来事に唖然としてしまう。

ただ、瞬きも出来ずスマホを眺めてると、また画面にメッセージが流れた。

《残高を見てみよう!》

こうなるともう、言われるままだ。

残高照会をしてみると、100万100リルと表示された。ということは、1リルは1円ってこと?

これはわかりやすい。

が、貨幣価値がどんなかわからない。

すると次のメッセージが流れてくる。

《お買い物をしてみよう!》

今度は私がよく使うショッピングサイトのアプリが点滅している。

とりあえず、何か買ってみなくてはならないらしい。

でもなー。

何を買ったら…うーむ。

「飲み物でも買ってみるか?」

食品カテゴリーから、飲料を選ぶ。

ズラリと並んだそれは日本で売られているペットボトルだった。しかし。

「ちょ!待てよ!」

思わず呆キ◯タク的に声をあげてしまった。

一本10リル、だと…?

てことは、貨幣価値は日本の1/10!

え、初回特典でいっせんまんえんそうとうもふりこまれたの?!

愕然としてしまう。

だ…大丈夫だろうか…?!

詐欺的な何かにあってないよね?

不安はピークだが、とりあえずよく飲んでいるアイスティーを選んでみた。

すると。

フォン。

再び画面が光り、ポン!と光の中からアイスティーのボトルが飛び出てきた。

おおう。ちゃんと冷たい…!

せっかくなので落ち着く為にも飲むこととする。ゴクゴクゴク。

続けて表示通りに残高を確認してみると、確かに100万90リルと表示されている。

そのあとも色々と気になってしまい、

私はまるで初めてスマホを与えられた子供のごとく、丹念にアイコンのチェックを行った。

便利そうなのが地図アプリ。

見てみると、自分のスマホの位置と、周辺地図が表示されている。

拡大してみると、このユグドラニア全域の地図らしきものが広がった。

ここから市街地までは20キロほどだろうか。お父さん、馬車で2時間くらいっていってたよね?

って事は、馬車って時速10キロくらい?

遅!

車なら20分弱の距離だ。

あと、特に気になったのが、tokikoと書かれたアプリ。

なんだこれは。

恐る恐るタップしてみると、

浅葱(あさぎ) 斗季子(ときこ)20歳

HP 500

MP 500

称号  銀狼将軍の子 転移者

    ユグドラシルの愛し子

とある。

HP…!MP…!

ゲーム世界の何か…!

嫌でも再認識させられる事実に本日何度目かの愕然モードになり、しばしフリーズする。

「……寝よう。」

昼間に気絶という名の昼寝をしてしまったので、そこまで眠くはないが、私は現実逃避の為に眠る事にした。


ありがとうございました。

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