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第一話

  吉地(よしじ)村は周囲を山に囲まれた小さな村である。厳しい自然にさらされながらも、人々は作物を育てて日々を暮らしていた。


 佐山源三は その日家にいた。主だった刈り入れも終わったので家でわらじや縄を作っていたのだ。風は秋の涼しさに冬の冷たい空気を少しずつ含ませるようになってきた。こんな日は家で出来ることをしていようと源三は思った。


 昼間を過ぎた頃である。戸の外に人の影が見えた。


「誰かね」


 源三が大声でそう聞くと、 人影は返事もなく戸を開けた。


「なんだ、喜介じゃないか」


「しばらくだな、源三」


 喜介と呼ばれたその男は源三に向かって親しみのある表情を投げかけながら玄関へ入ってきた。


「どうだい、役場の方は忙しいかい」


「ぼちぼちだな。上がらせてもらうよ」


 喜介はそう言って大儀そうに体を動かした。




 しばらく他愛のない世間話が続いた。作物の出来、台風について、役場の様子、川の増水 、後家さんの噂 ……。


 ひとしきりの話が済んだあと、喜介は 源三のいれた茶をすすりながら、こう切り出した。


「なあ源三、お前さん、子供を引き取るつもりはないかね」


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