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幻想  作者: 場合 照美
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だんだんバカになる

 小さいころ、かわいくて賢かった子供が、大きくなるにつれてだんだんバカになる。

 物語を読み、レコードで童謡やクラシックを聴き、クイズ番組で正解をしていた子供が、まず最初にバカになる原因は学校だ。同化し、あるいは空気を読み、思考力を失っていく。私は、孤立を選ぶことで、どうにかその危機を乗り越えたように思う。それでも、高校生のころには、多くの友達ができて、それらと遊ぶことで、読書の時間が削られていった。

 次の原因はテレヴィだ。子供のころは、アニメや特撮を見ていた。あれらはまだ、作者たちに心があったから、それなりに倫理観を得ることができた。よくないのは、野球中継やニュース番組だ。野球自体は、それほど悪いとは思わない。ただ実況のアナウンサーや解説者たちの言語は不明瞭で紋切型で誤謬だらけだ。「見送れば空振り」と言ったのは、まだ気持ちはわかるし、笑えるからいいのだけれど。何人もの解説者が、効果的と有効を混ぜて友好的と言うのはうんざりだ。ニュースも非道い。嘘ばっかり言っている。テレヴィの人物たちは、みな英語の発音がおかしい。どうやったらあんな発音ができるのか。日本の人たちが英語が出来ないのはあらかたテレヴィのせいだ。

 とどめは、アルコールだろう。私は大学に入って、煙草やビールを飲むようになった。本を読まないで、ギターを我鳴りながら、毎日酒を飲んだ。あれから何十年。煙草は辞めたけれど、アルコールは殆ど毎日呑んでいる。休肝日なんて、数年に一度あるかないかだ。煙草をやめたのは税金が高いからだった。それでも、多くの人たちが辞めないのは、よその国に比べたら安いからだ。アルコールはどうだろう。バブル景気のころは、わたしも羽振りがよかったから、一本一万円のウィスキーを飲んでいたっけ。関税が安くなったので、今では同じ酒が半額以下で買える。千円未満なので、このごろは泡盛ばかり飲んでいる。これらがすべて一本数万円になってしまったら、酒をやめるだろうか。いや、破産するまで飲み続けるだろう。

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