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幻想  作者: 場合 照美
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危機

 久しぶりに父親の出て来る夢を見た。私はずっと父親のことを憎んでいて、殺してやると思っていたけれど、勝手に死んでしまった。直接の死因は脳溢血か何かだったけれど、八十を超えていたから大往生だろう。その後しばらくも、殺せなかった悔しさに苛まされたけれど、もう忘れてしまった。昔からよく夢の中で喧嘩したものだが、そんなこともなくなっていた。

 父親が帰ってきた荷物の中に私のジャケットが入っていた。しかし、取り出してみると、酒粕のようなものがこびりついている。濁り酒を呑みながら帰ってきたので、その零したものがかかったのだ。しばらく何のとやり取りがあり、これもすでに死んでいる母親がシミをとろうとしているので、お前がやれと言って、水道に頭を突っ込ませ、そのあと殴る蹴る。夢を見た後で、ああこれは父親のことではないな、自分だなと思った。私は酒を吞む自分を責めているのだった。私は外で酒を呑むとよく失敗をした。失敗と言っても、すべて自損で、喧嘩などはしなかった。階段でこけて怪我をしたり、眼鏡を壊したり、それで顔に傷が出来たりと言うことだ。パンデミックになって外で呑まなくなって、そういうこともなくなった。家で吞んでいると、酔っぱらったら寝るだけだ。ただ、仕事のない日は朝から吞んでしまうので、二日酔いになってしまう。やめたいとおもうのだけれど、どうにもできないのだ。それでこんな夢を見たんだろう。

 パンデミックはまだ終っていないのに「パンデミックを経て」などと言う言説が聞かれる。「経て」などいない。真っ最中だ。こないだまで、コンヴィニがドアを開け放していたと思ったのにもうしていない。スーパーは籠をいちいち消毒していたのをやめてしまった。自分でやれということで、除菌ペーパーは置いてあるけれど。対策としてやっているのはマスクくらいだけれど、老人を中心にマスクを着けていないものが増え始めている。これでは多分いつまでも「経る」ことはできない。

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