ストーリー2:失敗の末路
登場人物
乗組員ボウドン(おバカ3人組ビットンの兄)、オペレーター数名、
ブロント長官、ルード本部長、シャガン副本部長、ラムル
時節はストーリー1より以前、
とある惑星の衛星軌道上。惑星No.B3022。
そのNo.B3022からの攻撃を受ける乗組員ボウドンの宇宙船バードック。
乗組員ボウドン「チッ、俺らと変わらぬ文明の規模だったとは……調査不足か……ステルスがさっぱり効果無しとは。」
追撃が続く宇宙船バードック。
ボウドン「まさかここまで敵対するとはな。失敗だ。……このままノアーナまで追ってこなければいいが……。」
惑星ノアーナRJ計画管理本部。
管理本部オペレーター「どうなっている!ステルスはどうした⁉︎……バードック、詳細を乞う。危険であれば帰還せよ。繰り返す、バードック詳細を乞う。危険であれば帰還せよ。」
通信音に爆発音が混ざって聴こえてくる。
ボウドン「3022はどうも敵意のある惑星らしい、ステルスを見抜かれている。全く効いていない。我々と同等の文明の模様。しかしながら私は上陸には至っていない。衛星軌道ギリギリまで接近したところで攻撃を受けた。」
ノイズ混じりの通信だ。
オペレーター「了解、そのまま帰還。帰還せよ。」
ボウドン「了解した。帰還す…(爆発音)…う、うぁぉ〜(悲鳴)…」オペレーター「バードック、応答せよバードック。……バードック!」
奥にB3022、手前で消滅する宇宙船バードック。
オペレーター数人「長官!」
複数のオペレーター席に向かい、落ち着いている声の長官のoff「位置を確認後、直ちに対策軍を3022へ向わせろ!」
声の主はラムルの父ブロント、そして惑星ノアーナの最高権力者でもある。多くの部下から長官と呼ばれている。
RJ計画管理本部、ブロントの座席。その両サイドにはルード本部長とシャガン副本部長が立っている。
ブロント長官、オペに向かい「3022は運良く規模が小さい。このまま壊滅させる。残念だがな。」
オペレーター(off又はon可)「対策軍旗艦、B3022はこれを以って管理対象外、壊滅。管理対象外、壊滅。」
別オペ「壊滅命令。予備軍AからCの攻撃開始。」
憂いのある表情のブロント長官、「我々の惑星と変わらぬ規模の惑星。残念だ。」
立ち上がり、長官はオペに向かって「他にRJ計画の宇宙船をチェック。厳重な調査の上で行動する様伝えろ。」
ルード本部長小さくつぶやく、「しばらく平和な時間が流れていたが……。」
シャガン副本部長、小声で応じ、「やむを得ません、残念です。」
ブロント長官「2人とも、後程連絡しろ。あとは頼む。」
長官、ドアを出る後ろ姿の画。
ルード本部長(独り言)off「争いをしないノアーナであっても、この様な事態になって壊滅までするのは本末転倒……嘆かわしいな……。」
若干の時間経過……。
長官のいつものスペース(長官室)
ホログラムモニターがon、呼び出し音。
長官はモニターにタッチし、「私だ。ああ、ルードか。……うむ。……終わったか……よし、それではシャガンとこちらへ来たまえ。」
モニターoffにする動作。
長官の憂い顔「壊滅……か……。」
RJ計画管理本部オペレータールーム
モニターには帰還する対策軍艦隊、No.B3022の残骸、その他周囲の映像、慌ただしさから一転して落ち着いていく様子の画。
ルード本部長とシャガン副本部長の前シーンのリピ
2人の声は聞こえずにフリのみの会話の画のみ。
しばらくして本部長が副本部長を促し退室……。
長官室に場面が移る。
ソファーに長官……。
長官ごし、小さなモニター(ドアホンと同様)が起き上がる(onになる)
長官モニタータッチ、画像はラムル。
ラムル「父上、お話が。」
長官「すまんが今忙しい。ルード本部長らを呼んである。少し時間をずらしなさい。」
Offにすると同時に再びon、ルード本部長画像に変わり、
本部長「ブロント長官、伺いました。」
長官off「入れ」
入室する2人for row-pan
長官「座りなさい。」
2人「失礼します。」
遠目からの3人の画。
ブロント長官、静かに「こちらの被害はどうだ……?」
シャガン副本部長「はい。巡洋艦2隻が軽度の損傷。既に修復手配しました。負傷者はいません。」
長官「往復のステルスは抜かり無いな。」
ルード本部長「それは問題有りません。損傷した艦に関してもオールグリーンにて帰還中です。」
長官「うむ。良かろう……。」
少し間……の後、
ブロント長官「我々はな、他の如何なる惑星とも交流を持たない。先人達も全てそうしてきた。」
ここで回想を挟んでも可
長官「宇宙に争いは不要。そして先人は決意した。RJ計画によって叡智を与え、たとえ離れていても、同じ時間を共に過ごせるようにと。敵対する惑星は破滅しか呼ばぬ。我々はそれに対策を講じて他の惑星を守っていく。それがたとえ壊滅せしめる結果になろうともな……。」
壊滅のB3022の回想、星ごと赤色矮星の様に膨れ上がり消滅するシーン。
ブロント長官「君たちも知っているだろう。惑星ノアーナの双子星リターナの最期を。今もその亡骸が我々の惑星の小さな衛星になってしまったのを。今の若者達は先人を忘れ、RJ計画には消極的、だからこその法規制緩和となったはずだったが、安易にRJ計画を実行に移し帰らぬ者となる。……今一度、若者達にはRJ計画の指導を徹底しなければならなくなりそうだ。」
ルード本部長「はい、その通りです。以後は惑星ノアーナ中の学術部に徹底させましょう。」
長官「君たちにはその連携をしっかりな。よろしく頼んだぞ。軍のステルスの機能向上も必要になってきた。これも頼むぞ。私からは以上だ。」
2人「かしこまりました。抜かりなく。」
部屋を出る2人。外で待っていたのかラムルが居る。
すれ違い、そのまま入室するラムル。
ラムル「父上、お話が。」
ブロント長官「よろしい、今済んだところだ。待たせたな。……座りなさいラムル。どうしたんだ。話とは……。」
場面転換カットの後、序章のシーンのリピ画
ソファーの所に2人。
ラムル「父上、カーレイ家が気に留めている、かつてRJを行った水の惑星、私も見てみたい、出来れば近くまで行ってみたいのです。」
ブロント「いやラムル、水の惑星のRJ計画は当時既に完了した。お前が向かう必要もない。あの惑星は既にRJ計画管理部門下で管理されている。閲覧も出来ん。これは決まりだからな。」
ラムル「見に行くだけでも……RJの成果を知っておく為にも。」
ブロント「いや、もう時が経ちすぎている。もしや、その惑星は日ごと発展し、既に我々を超える知恵を持っているかも知れん。我々に敵意を持たれては危険だ。もうノアーナからのRJの役目はとっくに終わっている。」
ラムル「分かったわ。でも、私は、父上の話を聞く限りとても魅力的に感じる惑星の様だし……。今まで惑星探しで見たこともない。だからこの目でひと目見たかったの……。」
部屋を出て行くラムル、リピ画ここまで。
再び場面転換、ブロント長官のモニター操作。
RJ計画完結リストの画、1つのデータを呼び出す。
次にパスワードを求める画面が出る。
長官の手が一瞬止まる(ためらう様子)、そしてパス入力。
映し出された画面、B4571 (水の惑星の管理番号) の文字
水の惑星、やや遠目にみる。水の惑星という様に青い星が映る。
暫く映ると完結のメッセージが表示される。
長官呟くoff「平和に発展していれば良いが……。」
続いてナレーション
「カーレイ家代々のRJ計画の内、この水の惑星だけが発展を確認出来ず、代々の当主が気に留めている歴史があった。それはブロント=カーレイの代でも同様なのだった。」