八話
※シャルロッテ視点
※甘さ強め
「ありがとう……」
最悪だ。なんて無様な泣きっ面を、彼の前で晒してしまったのだろう。
貸してくれたハンカチを返却しつつ羞恥心で赤くなる頬を抑える。
「……意外と涙脆いよね、シャルちゃん」
「うるさいですわ!悪かったですわね!子供っぽくて!」
人の弱点をついて、ニコニコと笑う彼。
普段大人しそうな割に意外といじめっ子気質なシロナ。
友達の、私にだけ見せてくれる、愛しい一面。
……でも、彼の本領は。
「ううん、情熱的って事だと思うよ。きっと、心が豊かで優しいからだろうね」
これ、だ。
殺し文句ばかり、平然と言い放つのだ、彼は。
……お陰で、すっかり陥落されたわけなのだが。
しかもこれ、狙って言ってる訳では無いのだ。
全て、本心から、言ってるそうなのだ。
……間違いなく、将来恐ろしい女たらしになるだろう。
きちんと言い聞かせておかなくては。知らない女の人を、口説いてはいけないと。
「……そういえば、授業、欠席してしまいましたね……」
「うん、まあ、いいんじゃない?あとでノート見せてもらったら?ノピス先生なら、補習してくれるかもだけどね?」
「……二人で、補習」
……邪魔者抜きで、二人の時間をたっぷり味わう、最高のチャンス。
ノピス先生?あの方は空気を読める方ですから、きっと離席してくださいます。
しなくても、させます。
「……あっ、そっか」
「どうかされました?」
「……ごめんね、シャルちゃん」
「え?だ、大丈夫ですわよ?私は、全然……」
「気が回らなかった。シャルちゃんも今後過ごしづらくなるかもだし、授業もサボらせちゃった。ごめん」
「……気にしないで、くださいませ」
申し訳なさそうに、肩を縮こませるシロナに。
私は、言い放つのだ。
「私達、友達でしょう?」
ニコリと、自分史上最大級の、笑顔で。
こちらを見つめた彼は、少し呆けた後、いつものように。
困ったように、笑うのだ。
「あ、でも、本当に反省してらっしゃるなら、補習の後に付き合っていただけますこと?」
「……僕でいいのなら」
「あなたがいいですわ!」
二人で顔を見合わせて、笑う。
ああ、なんて幸せなんだろう。
一年前には、考えられなかった、幸福な時間。
「どこに行くの?」
「街に降りてから、決めますわ!」
「りょーかい。さて、じゃあそろそろ教室戻る?」
「……授業途中から参加って、すごく入りづらくありません?」
「じゃあ、ここでもうちょっと、サボろっか?」
「そうしましょう!」
願わくば、この時間が。
ずっと、続きますように。




