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Endless Story 番外編 ~コラボ&小話集~  作者: 楠木 翡翠
第2章 たった数日間の転校生 ~Endless Story×不思議な事件が起こる学校で~
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第2話 ようこそ、我が校へ!

 ゆかり達は夏になると緑が増え、自然が豊かになるであろう校内を見回しながら、職員玄関らしきところを探していた。

 しかし、奥の方に行くにつれて建物はあちこちにあったとしても彼女ら以外は人気のないところが多い模様。


「職員玄関はここかな?」

「多分……」

「き、君……」

「く、栗原くん?」

「ここは違うんじゃないですか?」

「適当に答えて間違いだったら恥ずかしいからね!」

「分かってるよ」


 ベルの問いに栗原くんがある建物を指差して答えた。

 他の女子生徒の冷たい視線が突き刺さる中、彼は曖昧(あいまい)な答え方をしているため、()()()()()()()()()()分からない。


「栗原先輩、分かってて答えたんですね?」

「全く、栗原くんったら」

「広瀬さんと上原さん、なんだか酷い……」

「君、わざとらしい言動はいけないよ? 分かっているね?」

「……ハイ……」


 ベルが栗原くんに説教じみた口調で話している時、見慣れない男性が近づいてきたが、彼らはその人物の姿には気づいていないようだ。

 その時、彼は声をかけるタイミングを測っていた。


「おやおや、みなさんお揃いで!」

「「お、おはようございます」」

「おはようございます。私はこの高校の校長です!」

「「こ、校長先生!?」」

「ええ、そうですよ。みなさま、ようこそ我が校にお越しいただきました!」

「「あ、ありがとうございます……」」


 この高校の校長である男性が彼女らを出迎える。

 彼女らは声をかけられるまで、その人物が何者なのか分からなかったため、彼のテンションの高さに少し引いてしまった。


「ところで、みなさまは職員玄関を探しているみたいですが、私が案内しましょう!」

「すみません」

「「ありがとうございます」」


 ゆかり達は校長のあとに続いて職員玄関へ歩を進めている。

 彼が言うには彼女らがいたところは建築関係の専門棟付近であったため、職員玄関(そこ)に行くには正反対だったようだ。


「栗原くん、全然違うじゃん」

「ごめん」

「ははは……この高校は敷地だけでも広いので、迷子になっても仕方ないですよ。徐々に慣れていくしか方法がありませんのでね……」

「そうでしたか……」

「私も赴任したての頃は学校内を案内してもらいましたが、実際に自分の足で何度も行かないと迷子になってしまいますし……」

「校長先生もいろいろと苦労されているのですね?」

「ハイ。あ、そろそろ職員玄関に着きますよ」


 校長はある建物に指をさした。

 その建物は校門に近く、建築関係の専門棟よりも高さや広さがあり、まだ生徒達が登校している様子が窺える。


「と、いうことは……」

「栗原くん?」

「どうしたの?」

「ぼ、僕達はかなり奥に向かって歩いてたということですね!?」

「そういうことになりますね」


 ようやく自分達が今まで全く異なる場所にいたことに気がついてしまった栗原くん。

 驚きを隠せないでいる彼を校長はにこやかな表情を浮かべながら答えた。


「だから、どんどん人気のないところに入ってたんじゃん!」

「そういう上原さんも分からなかったくせに!」

「まぁ、そうだけどさ……」


 まさりと栗原くんが言い合っている。

 留美が溜め息混じりにこう口にした。


「でも、無事に職員玄関に着くことができたんだからいいんじゃないですか?」

「そうだね」

「うん」

「「あははは……」」


 校門にはちらほらと生徒達が校門を潜っている中、職員玄関は穏やかな空気が流れていた。

2018/08/24 本投稿

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