アダムとイブ
横のソフィーを見ると、ソフィーは犬の様にスープ皿に顔を押し付けて貪りついていた。自分の分が無くなると、私の分を横取りして咀嚼音だけが聞こえていた。目の前でスープを食べている者が、ソフィーだとはもう思えなかった。
「あら、シスターシャルロット。全然食べていないじゃない。」
シスターカミーユがワイングラスに赤い液体を注いだ。ワイングラスを回して、囁くように言った。
「アダムとイブが誘惑に負けちゃうのも頷けるわね。こんなに美味しそうなもの飲んでみたくなるわよね。エデンを追放されたとしても、、、」
シスターカミーユはワイングラスに口をつけて喉を鳴らして飲み干した。
「貴女も、いい加減素直になったら?」
目の前のワイングラスに赤い液体を注ぎながら、シスターカミーユは高笑いをした。ワイングラスから溢れ出した液体が、白いテーブルクロスを赤く染めた。
「何の事ですか、シスターカミーユ。私には意味がよく分からないのですが、、」
私の言葉にシスターカミーユの目がどんどん吊り上がっていく。微かに震えながら、息が荒くなってきた。
「時間が無いのよ、、時間が、、、早く、目を覚ましなさいよー!」
錯乱状態になりながらシスターカミーユはテーブルに頭をぶつけ始めた。