真っ赤なスープ
「太ったら、消える、、」
「シャル、貴女は私と同じ匂いがするから、だから消えて欲しくないの。」
アナスタはシャルを心配そうに見つめた。
「ありがとう。私は大丈夫。」
二人で話していると遠くから、ソフィーの声が聞こえた。
「二人ともー、早く早くー。ご飯が冷めちゃうよー」
ソフィーが食堂の前で両手を振っている。食堂に向かおうとした時、アナスタが耳打ちした。
「今晩、12時に食堂に来て。見せたいものがあるの。」
「分かったわ。」
二人は秘密の約束を交わし、何事も無かったかの様にソフィーの待つ食堂へと向かった。今晩、ソフィーには早く眠ってもらわないと、、、考えながら、席に着くと美味しそうな匂いのする料理が所狭しと並んでいた。相変わらず豪華な料理だな。隣を見ると、ソフィーは犬の様に料理を前によだれを垂らしていた。
その光景を見るとゾッとした。シスターカミーユを見ると、ソフィーを見て
「あらあら、そんなにお腹が空いていたの?」
そう言って笑った。シスターカミーユの笑顔は、何処か不安に感じた。
ジッと見つめて、違和感の原因が解った。目が笑っていない。口から出る言葉も、笑い声も何処か違う。目は瞳孔が開ききって、白目は赤く血走っている。
早く食え。そう言っているようだった。
シスターカミーユの変わりように料理に手を付ける気なれず、目の前のスープをかき混ぜ持ち上げた。血の様に赤いスープ。
「美味しそうな色でしょ?いいトマトを頂いたのよ。人の血みたいに真っ赤でしょう?」
シスターカミーユが私の方を向いて言った。
「もちろん、ただのトマトだから気にせず召し上がれ。」
先程の不気味な笑みを浮かべた。




