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第一章 ②

ものっそいお待たせしました。

……戦闘はまだ待って!

  Ⅳ


 主にラッチとナマケモノによるバカ騒ぎに和査が巻き込まれていると、急にナマケモノに通信が入ってきた。

 それによれば、既にかなりアメリカに近づいており、あと二十分程で到着するのだという。時間が無いため和査はひとまず(ラッチを拘束、というか監禁しナマケモノに説教をかます方向で)場を収めた。

 ラッチを収容してある空き部屋の前で、予想外の重労働にぜーぜーと肩で息をしながらも和査は先ほどの疑問点をラッチに問い正す事にした。

「はぁ、はぁ……なあ、ラッチ。何者なんだ、お前は……」

「まー落ち着けよ。はいはい皆さん手振りを付けてしんこきゅー」

 すー。

 はー。

 すー。

 はー……。

「どうよ治まった?」

「治まる訳ねえだろうが!! それよりお前っ、どうやってあの手錠(手作り)外した!?」

 しんこきゅーにより更にイライラ度合いを上げている和査に、ラッチは犬歯をギラリと光らせた。

「ふっふっふー、甘いぜカズサ。あの程度の手錠なんぞこのサーレットさんの手にかかればちょちょいのぱーだぜ! 手錠だけに!」

「それを言うなら『ちょちょいのちょい』、だ……。何故パーにする。あとそんな上手くない」

 そんな事を言ってやると、ラッチは「ちぇー……」とふてくされていた。まるでどこぞの小学生の様だった。

 兎にも角にも、速く仲間と合流しておきたい、と考える和査は再びラッチを拘束し始める。先程の三割増しで。

「なあ、さっきカズサはアメリカに向かってるって言ってたよな」

「ああ、正確にはお前もな。そいつがどうした」

「いやさ、おまえ等は何もんだろーと思ってさ。今世の中じゃあ、バグズに『占領』されたオーストラリア・アメリカ・カナダは立ち入り禁止、国連が監視してるって話じゃないか。そんな国際法違反なんて、アフリカとかヨーロッパのヤツらでも知ってるぜ?」

「ああ、正確にはお前、その国際法違反をしている訳なんだがな」

「あ。…………ハッ!!」

 顔全体が驚愕の色に染まっていく。今さら過ぎるリアクション。

 なんだかなー。間抜けっていうか、何というか……。ともう残念な子供を見る目になりつつある和査は、ひとまず質問に答えを聞かせてやる。

 手錠の方はと言えば、八割がた完成し、今は壁に繋いで手首と指がちゃんと動かないよう試行錯誤している所だった。時折ラッチの痛んだり耐えるような声が『ィだあ!?』『ふっ、ふーっ! ふぅーぅ!!』などなど聞こえるが、そこはシャットアウトなのだ。

「俺達は、その国連様に仕えてる調査隊って訳だ。認可を受けてるから、他の警備は素通りさ。……どうした?」

「……え、Sなの? カズサさんはSな方なの? さっきからおれの悲鳴を笑顔でスルー! ちょっとは民間人代表選手のおれを気遣ってみようか!」

 完全に涙目になっていた。

「俺達も武力行使が認められてる軍隊だ。一応な。つまりはお前がいると危険、正確に言うと邪魔無駄ウザイの三拍子が揃う。黙ってここにいろ」

「だ、だからと言っておれに、それもおれの手首に対してピンポイントで武力行使せんでも……」

「そりゃあ……お前が悪い。ようし、完成。これで指も手首も動けまい。うんうん、自分ながら傑作が出来た」

「ねえさ、おまえ今大作の出来上がった画家みたいな事言ってるけど、これ手錠だからね!? 人縛る為の物だからね!? バインドバインド! わかってる!?」

「はっは、……うるせえよこの密航者」

 ピィイ!? とラッチがまたも奇声をあげた。和査さんから不気味すぎるオーラが出ていたからだ。

 嫉妬に燃えるロング髪の女の人とか格ゲーのラスボスとか冷酷な殺し屋が備えてる、いわゆるっちゃう系の、アレ。

 小動物みたく小さくカタカタ震えるリスラッチを尻目に、和査さんはゆらりとオーラをその場に残して去っていった。

 こういう時に限って空気の読めない小動物としては、なぜ唐突に和査さんがブチ切れ格ゲーオーラを発し始めたのかがわからぬままに、膝を小刻みに振動させるままだった。

 一方その格ゲー和査はといえば、

「あ゛ー、疲れるっ……。なんだアイツ、小学生みたいなテンションだな。付き合ってたらアメリカ着く前にぶっ倒れちまう。……いやぶっ倒れちまったらマズいんだがなぁ」

 そんな言葉と共に、ため息を一つぽろりとこぼす。

 勿論これ以上ラッチに付き合っているヒマはないので、和査は足早にその場を去ることにした。

 あのナマケモノはどうせまた、適当な部下にだらだらと自分の愚痴をくっちゃべってるのだろうかと、和査はため息と一緒に新たな懸念を口に出したのだった。

 


  Ⅴ


 無事に和査が自らの仲間と合流する頃には、既にアメリカの大地が眼と鼻の先に有るほどに接近していた。

 小さな港に大きな船体を擦り付け、船が着港する。

 元々ただの漁港だった港はアスファルトが割れ、雑草が道の真ん中で堂々と自己主張しており、対照的に隅では黄色い花が咲いていた。基地はそんな植物のナワバリと化しつつある海岸沿いの住宅街に作られており、中には廃墟をそのまま再利用した建物もあった。

 兵達がぞろぞろと降りてゆき、荷物が運び出され、あっという間で現場の『空気』に馴染んでゆく中に、和査とひょろ長い体躯の少年、麦谷はぎゅうぎゅうに食料やら武器装備やらが詰め込まれた灰色のボックスを両手に抱えて運び出していた。

 といっても、この二人に限っては、他の人員のように少し緊張した顔でばたばた動いている訳でも、敵地とはいえ久しぶりの大地に足をつけたことを、背伸びしたり体をほぐしたりして実感している訳でもなかった。

 ぎりぎりと奥歯を噛み締め、誰が見てもイライラモードな和査と、幾らかの緊張をほぐしてきたにも関わらず、隣の和査から発せられるイライラ成分に、先ほどまでとは異なる原因で体を硬くしている麦谷は、足元の雑草を踏み潰しながら難民キャンプのような基地を歩いていく。

 話題は勿論、今話題(のせいで和査の頭が)沸騰中の、密航者である。

「……あの野郎、許さん……もっぺん殴る……殴ったる……」

「ま、まぁまぁ。いくらその密航者が物資ばらばらにしてたからって、そこまで殺気を放たんでもええんとちゃうん? 確かに面倒やったけども」

「実際に片付けやらされたの俺達だがな!! しかもあの野郎、食料つまみ食いしたりしていやがった!! やつのバッグには得体の知れない手作り爆弾入ってやがるし、もぅぅぅ……!! とんだ迷惑だっ!」

「面白そうやねー、そっち。こっちは基地周辺の地形叩き込んだり無駄に武器の手入れしたりでまぁーつまんないことつまんないこと」

「こっちはテロリスト紛いとナマケモノのお世話だよ! 軍人のやることじゃねえ!!」

「まあその後は比較的ゆったりしてたけど」

「代われ!! 今すぐ俺と代われぇ!!」

 あっはひっひと笑い続ける麦谷とはまるっきり対照的に、和査の周辺には暗い何かが漂っていた。ボックスを受け取った若い女兵士が唇の縁をひきつらせていたが、おかまいなしに和査は知り合ったばかりの密航者の顔を思い出しては額に血管を浮かばせる。

 今の段階でも、和査には十分すぎるほどに精神的疲労はあるようだった。

「あー面白い。一度会ってみたいもんやなー」

 やめておけ、と和査は言いかけたが、やめた。もうこれ以上ラッチの話はしたくない。いや、やはりこいつに全て押し付けるか、いやいやそれでは動物園の中がより賑やかになる恐れが、では……と算段を立てながらボックスを運び終え、今だにニヤニヤしてこちらをつっつこうとする麦谷を、気が散らないよう眼中にねじ込む事無く頭を抱えていると、無線が入った。

 ナマケモノからだ。

『兵士諸君皆々様ー。これからロシアサマとご一緒に作戦前ブリーフィング、略してさくブリだぜ。至急集まるように! あとお国を越えたケンカはおやめ下さいね☆』

 上から目線なのか下から目線なのか、イマイチ判断に困る雑な連絡であり、かつ恐らく今最もロシア側に手っ取り早くケンカを売った宣戦布告文を聞き取ると、和査は心の中で小さく舌打ちして、ボックスからロシア製のレーションを一つ取り出し食べる。

 一口食べて顔をしかめると、再び麦谷に愚痴と文句と罵詈雑言をぶつけつつ、集合場所に足を運ばせていった。



 と、和査が意識をラッチから(本来の)仕事に向けている時、和査がたった今離れた船から一つの人影が現れた。

 和査にとって目下最大の厄介者かつ話題沸騰の密航者、ラッチである。

「うわーお。めっちゃいるなぁ、こりゃ……多くて二、三百ぐらいと思ってたら、なんだ六百人はいるんじゃあないか?」

 自分が船の外に出ればまた和査が頭を抱えることを完璧にわかった上で、ラッチは船の外へと足を踏み出した。その顔には夏休み辺りのやんちゃ坊主に似た所があるだろうか、にいっと口を歪ませている。

 と言っても、ラッチは密航の身である。大手を振って基地を散歩なんぞしてみれば、次はどうなるかわかったものではない。隠れていく必要がある。(そもそも犯罪を犯しているのだから、船の中で大人しくしていなければならないことはわかりきったことなのだが。)

 そのため、当然ラッチは戦場を生業とする、本物の兵士達の目を潜り抜けて進まねばならないのだが……

「(なんだなんだ、五感の優れた歴戦の兵士っ! って感じだったからすぐにバレるかと思ったら、案外誰も気付きやしねえなあ。まーあんな長期間密航してても気付かなかったんだから、そりゃそーかっていやあそりゃそーなんだけどな)」

 基地の中、人が行き交い話を重ねるその横を、ラッチは蛇の如くすり抜けていった。僅かな物陰や、人影を踏む程の近距離を通り抜け、やんちゃ坊主は兵士達の備品や食料を盗んでいく。ちなみに、和査達がブチブチ文句を連ねながら運んだボックスの中身も盗んでいたために、後々バレた時に血を見ることになりそうなのだが、本人はそこまで思考出来なかった様だった。

 そのうちに小さな倉庫の様な、医療品などが入っている場所に行き着いた。ラッチは倉庫の中で、棚の裏にある僅かな隙間へと忍び込み、どっかりと居座る。

 今まで誰にも見られていない、更に盗みまで軍隊相手にした(罪状増)上出来な結果に、思わず声を出す。

「(ふあーははははは‼︎ おいおいいくら実戦少ない今の世の中っつったって、おれ一人の存在を認識できぬとは腑抜けた兵士(笑)だなぁ聞いて呆れるぜーっ‼︎)」

 兵士といっても、今は作戦前ブリーフィングで多くの兵が会議に出ている他、ここにいるのは大半が補給や救護を担当する兵の内、作戦に参加しない駐留する者のみであり、実際に戦地を潜り抜けていく者というのは、今この場所には殆どいなくなっている。

 つまり、ラッチがこうして気付かれずに済んでいるのは、そういった背景もある、ということなのである。

 だが、そんな軍隊側の事情など知る由もないサーレット・デイムライド素人代表選手はバカ丸出しで調子に乗っていくもので、小声で無理矢理高笑いをした結果、素人代表選手は一人咳込んでしまった。

 それがまずかった。

 咳き込んだ事で、今まで隠れられていた状況が変わり、誰かが倉庫の中に入って来たのだ。

(あ。やっ、やばっ……⁉︎)

 慌てて平静を取り戻そうとするも、時、既に遅し。倉庫の中に入って来た何者かは、ラッチが出す僅かな声や気配に気付いたのか、ラッチが隠れる隙間に顔を覗かせた。

 女の子だった。戦地の雰囲気とは大きくかけ離れた宝石の如き輝きを持つ長い黒髪に、赤味を含んだ茶の眼がこちらを見据えていて、滑らかな肢体には一つも傷は無かった。こんな美術品みたいな人っていたんだなー、と状況を瞬時に忘れて見惚れていると、女の子が眼をぱちくりとさせながら話しかけてきた。

「あれ。どうしたの? こんな薄暗いトコで」

「え、あ、あーっ、っと……」

 勝手に密航して国境を越え接近禁止なアメリカに到着し、挙句あなたのお仲間を全力でバカにしてました、とは口が裂けても言えない。言ったら多分、和査達の今夜のスペサル食材と成り果てる事だろう。

 本場の軍人をもすり抜けた蟲取り少年は、ものの数秒で全身汗だくにしながら、呆気なく網にかかることとなった。


 Ⅵ


「ほら、そんな薄暗いとこ居ないで。こっち来れば? はいはい手掴んで」

 そういってかなり強引に棚裏から引き上げられたラッチは、辺りにあまり人がいない事をしっかり確認してから、策を練る。

 何とか見逃してもらうか、

 何らかの言い訳をでっち上げるか、

 ……どちらをとってももう手遅れな気しかしないのだが、ズルがバレた小学生が必死に嘘を並べるのと同じように、段々と後に引けなくなってきている(しかし原因は自業自得)心境なのだった。

(……見逃して貰おうかなあ。一人だけ小汚いし、何より戦場とはいえこんなちゃんとした状(・・・・・・・・・・)況に北欧人がいたら不(・・・・・・・・・・)自然すぎる(・・・・・)。んー、いいや、ハッタリかまそ)

 そんな事を考えながら女の子が用意した簡素な椅子に腰掛けると、お互いの自己紹介となった。

「私は雨梨。雨梨あまなし優羽香ゆうか。キミは?」

「あー……ラッチでいいよ。本名長いし」

「ふうん。いつか教えてね。でさ、ラッチ君、まずは確認になるんだけど、キミはこの部隊の人なの?」

(うっぺー、やっぱ部外者かどうか疑うかー……)

 ラッチは疑われぬよう、今まで兵士達から寄せ集めた情報を重ね合わせ、慎重に答えていく。

「んー……と、そいつについちゃあノーと答えさせて貰うぜ。と言っても、完全な部外者ってんじゃなくて、おまえのお仲間さんから頼まれて来た、いわば臨時さ。そいつの名前も言っとく?」

「ううん、だいじょぶ。それにしてもさ、ラッチ君て日本語上手いんだね。日本に住んでるとか?」

「いんや。親戚に日本人がいただけだよ。で、教えてほしいんけどさ、ここにいるAPSCって何なのさ? 国連に認められてる云々っつう話だったけど、いきなりアメリカに乗り込んで虫退治ってなんじゃそら、だぜ?」

 ラッチは椅子をカタカタ揺らしながら小石を蹴り飛ばし、自分の記憶の中にある『景色』と(素人からみて)平穏にも見えるこの前線基地を見比べる。

 少しの胸糞悪ささえ覚えてしまう程だった。

「そっちに行くんだったら、ヨーロッパに寄越してくれってんだ。ったく」

「む、聞いてないの? あれぇー……? そんな事情を知らない人を呼んだのかな、その人は。そもそも、私達は蟲退治をしに来てるわけじゃないよ。あくまで偵察、研究目的なの」

「あん?」

 雨梨の言葉に、思わずラッチは眉をひそめる。APSCという軍(?)は、国連に認められてバグズをフルボッコしにアメリカに来たのではないのだろうか? と、そこまで考えてカズサがちゃんと『調査隊』と格好つけて言っていたのを思い出す。

「調査、研究ねえ……。科学者だの研究者っぽいのはいなかったけどな?」

 いぶかしむような目線に、雨梨は頬を緩ませてはにかんだ。その万人がドキリと胸を鳴らすであろう笑顔に、ラッチは内心ゥヒャッホォゥ! と大声を轟かせるが、そんなことはおくびにも出さない。

 まあ、口の端はギリギリと、ギリギリと喜びを表現しようと躍起になってはいたが。

「本職の人たちは、ほぼ全員来なくてね。来たのは一人だけ。でも、さすがにその人だけじゃ調べきれないし、知識にも限度がある。から、工兵の人とか、あとは私みたいな衛生兵メディックも、何人か。みんなバタバタしてるよ」

 今は間を縫って休憩中かな? と言う雨梨の言葉。続けて質問を投げかける。

「じゃあ、一体何を調べるんだ? こんなとこに危険を侵してまで、基地を建てているんだろ、長期的に調べなくちゃいけない事なのかよ?」

「そうだねー、バグズを含めたアメリカの生態系や環境の変化とか、行動パターンの観察、新種がいるかどうか。後は……」

「『侵略行為』をするかどうか、とか?」

「あ、それ! よくわかったね!」

「まあ二十一年も活動範囲を広げずにずーっと北米とオーストラリアうろうろしてりゃあわかるわな」

「変だよねえ、最初はあんな勢いだったのに、今はぱったり、音沙汰なし。残った三大陸の混乱を収められたのは良かったけれど」

 そんな言葉に適当にあいづちを打ち、ラッチはおそらくナマケモノのものであろう(盗み取った)チョコバーの封を開け、一口食す。ぼんやりと小屋の外を眺め、雨梨も同じように首を動かした。

 話しこんでいたうちにそれなりの時間が経っていたのか、空はどんよりとしたグレーの雲に覆われ、薄暗くなっている。

 ふらふらぶらぶら視線を移していると、恐ろしく低い鬼神みたいな声が小屋に響いた。

「……………………おい」

「びぎゃぁ!?」

 その一言でラッチが体を震わせ汗を垂らし、雨梨が「うひゃあっ!?」と悲鳴を上げ、小屋が一気に張り詰めた処刑場のクウキになった事から、誰が来たのか、いや来訪なされたかはわかるだろう。

 来訪者はもうなにかしらの超常現象でも起こしかねないぐらいに怒り狂っていて、それだけでラッチの体ぐらいだったらばっさり切り落とせそうだった。

 だが、ラッチはホルマリン漬けになりたくはない。ので全力で説得にかかる。

「ちょい待ちカズサ。まずは、そうだ冷静になろうじゃあないか。……って待て、なんだその斧は!? おいおい、それ大昔の処刑用とか言わないよな! ちょい、カズサさーん!?」

「最後の言葉はソイツデイイカ?」

「最後の方完全に片言じゃねえか!! ……せ、せめて情状酌量の余地ぐらいは……!?」

「ねえな」

「だからって首をはねんでもいいじゃないかっ! 江戸時代の自己中武士かよ!? っつかこんな会話ちょっと前にもあった気ぃするし!! おい、待」

 B級映画みたいな、コミカルにぶちのめされる音が小屋に響いた。

 まあ、やんちゃな蟲取り少年は、決まって母親の制裁をうけるものである。

 読了していただきありがとうございます。

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