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ロールド  作者: ハム
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第1話

消されたんで一から投稿します☆

一切の光が入らず、人自体が何年も踏み行ってない部屋があった。段ボールや機材、塗料等の様々な物が雑然と置かれている。滅多に使わない物をしまっているこの部屋は物置として使われて居るのだろう。その部屋にこれから向かおうとしている三名、作業服を身に纏い、防止を深々と被り、手には軍手と言った身成だ。

彼らが居る建物は地上二階建て、地下一階と言う作りになっており、建築年数は40年は経っているだろう。


『次は地下か…』


三人の内のリーダー各が呟いた。


『せんぱーい、少し休憩しません?俺もうくたくたっよー』


三人の中で一番下っ端と思える20代前半の軽薄そうな若者だ。


『お前は大した事もあまりしてないだろ?疲れるの早過ぎ!』


三人の中で中堅と言った感じの20代後半の体育会系の男が言う。


リーダー各の男が二人の間を取り持つ様に言葉を発する。


『まぁまぁー…確かに大野の言う事も一理ある。作業は順調に行ってるし、このままでも予定より早く終わりそうだから、少し休憩しよう』


『おっ!流石、田沢さん話が分かりますねー』


『お前は調子良すぎだ!少し反省しろ!』


『まぁー良いじゃないか、大野、お前は他の連中にも休憩に入れと伝えて来てくれ、』


『はーい!行ってきまーす』


『全く調子良い奴だ…田沢さんも甘いですよ!』


『良いじゃないか向井、この仕事を継続出来る奴は少ないし、大野は貴重な人材だよ…さっ、一服しに行こう』


『はぁー、了解です先輩』


そう言うと二人は建物の外にある喫煙所に向かう、自販機で飲み物を購入し一服していると大野が他の者を引き連れて来る。


『田沢さん、皆連れて来ましたよー』

『おし、皆ご苦労様。ゆっくり休憩してくれ、』


『うーっす…』


肉体労働で皆も疲労の色が出ていた。田沢は大野、向井と雑談をしながら話している。


『田沢さん…それにしても、やっぱこの建物、不気味じゃないっすかぁー?』


『まぁ、築年数経ってるし、そう見えても不思議じゃないが、お客さまを前にしたらそんな事は言うなよ…』


『分かってますよー…でも研究所の引っ越しって予想外に疲れますね』


『まぁ、危険な薬品や特殊な機械も多いからな』


『でも大野、美術館とかだともっと大変だぞ!』


『マジっすか?…俺続けられるかなー?』


『心配するな、その時になったら俺や向井がちゃんと教えてやるから』


『そうっすね!了解っす』


『他のチームも殆ど終りに近い、後は地下室だけか、手の空いた物にも手伝って貰うから、今日は定時には上がれるかもだぞ』


『やった!今日は彼女と会う約束なんすよー!ヤッター!』


『大野、嬉しいのは分かるが仕事の手を抜くなよ!』


『分かってますって、向井さんはいっも厳しいなぁー』


『大野君…君は俺の制裁を喰らいたい様だねー』


『じょ、冗談っすよー』


『はははーお前ら良いコンビだよ!向井、お前も今日は早く帰れるから嬉しいだろ?』


『あっはい!』


『たまには早く帰って嫁さんと息子の相手してやらなきゃな』


『田沢さんはどうするんです?』


『ん?俺か?俺は普段通りだよ…』


〈馬鹿!大野!余計な事聞くな!田沢さんはなぁー…〉


〈な、何ですか?俺不味い事聞きました?〉


向井が言葉を発しようとした時、田沢が皆に休憩の終わりと、スタッフの仕事の進行具合を聞き、割り振りを始めた。


『じゃあ西山班は俺が手伝いに行く、その間、向井と大野には悪いが二人で作業を進めといてくれ、呉々も扱いの分からない物に自己判断な持ち出しはするなよ、分からない場合は所員に必ず訪ねる様に』


『はい、分かりました。』


『では怪我の無いように作業に当たってくれ、以上で解散!』


その言葉で皆は各々の持ち場えと向かって行った。大野と向井も地下に向かう。地下の階段を降りると通路には灯りすら灯っておらず、電気をつけるも薄暗かった。


『な、なんか嫌な雰囲気っすねー…』


『た、確かに其処は同意見だな』


『何か出るんじゃないっすか?…た、例えば、この奥に実験用の遺体安置所があったりとか…』


『…そ、そんなのある訳ないだろ!変な事言うなよ!』


『あれ?もしかして向井さんビビッテルんすかー?』


『誰がビビるか!ビビってるのはお前だろ!』


そんな事を話しながら奥へと進んで行く、他にも部屋があったが、他の部屋は数日前に他のチームが荷物を運び終え、残っているのは一番奥の部屋であった。二人が恐る恐る進んで行くと眼前に両開き出来る大きな鉄制のドアが現れた。向井がそっとドアノブを回したが、鍵が掛かっているのか開かない


『おい大野、誰か所員呼んできて鍵を開ける様に言ってくれ…』


『えぇー一旦二人で戻りましょうよー』


二人が言い合いをしていると、先程通ってきた廊下からコツコツと足音が近付いてくる。二人はその事に焦り息を飲む、徐々に近付いてくる音に冷や汗さえながしていた。

コツコツ…音は更に近付き大きさを増し薄暗い廊下でも、やっと黙視出来る位になり二人は安堵した。白衣を身に纏い赤いフレームの眼鏡を掛けた女性が二人の前に表れる。


『…全く、何で私が鍵を渡しに来ないといけない訳?しかもこんな薄暗い地下に!』


どうやら女性はかなり不機嫌な様だ。

『あっ!鍵無くて困ってたんすよー』

『業者なら普通鍵の確認位しとかない?こんな所まで依頼人側に足労させるって…馬鹿も良いとこよ!』


どうやら相当の高飛車か、引っ越し業者を馬鹿にした態度に大野は苛っとした表情を浮かべていた。


『す、すいまんせん態々ご足労願いまして、そちらの鍵で此処の扉が開くんですね』


向井も苛立ちを覚えたが、あくまでもお客様と言う事を前提に自分を抑え対応した。


『ただ鍵を持って来ただけだと思ってんの?一応監視よ、監視!全くこっちも暇じゃないんだから、さっさと終わらせて頂戴!』


上から目線の発言をしながら女性は不機嫌そうに鍵を開ける。

解錠されたトアを開く、何年も開かれて居なかったのかカビ臭い臭いがドアの向こうから漂う。薄暗がりの廊下のライトに照らされ内部の様子が少しだけ伺えた。向井は埃とカビ臭い室内に入り電気のスイッチを入れるとこの部屋の全貌が見えてくる。明かりに照らされ埃が舞っていた。


『うわぁー本当物置、こんなん居るんですかー?』


『資料や、使えそうな物は運び出しなさい。こんな埃っぽいとこに居たら私が病気になるかも知れないから早くしなさいよ!』


向井も苛立ちを覚えていたが、其処は年数をこなしているだけあって些細な事と自身の中で処理し、大野に指示し部屋に足を踏み入れ手前にあった段ボールを持ってきていた台車に乗せていく、流石に手慣れており次々と荷物を乗せると10分位で台車は満杯になり、一度階段まで荷を運び一階迄また荷を運びを繰り返す、その作業を繰り返していると二人のスタッフが応援に駆け付け作業効率が上がり、向井と大野の作業も倉庫から台車に荷を乗せるだけになっていった。一時間もすると殆どの荷を運び終え、肩で息をしながら部屋全体を見回すと奥に向かい合う様に扉が二つある事に気付く、ドアには〈関係者以外立ち入り禁止〉の文字、ノブを回すが鍵が掛かっており開かない

先程から廊下で不機嫌そうに煙草を吸いながら待っている女に向井が訪ねた

『あの奥のドアの鍵はありますか?』


『ドア?そんなもんあったかしら?』


鍵が幾つも束ねてあるホルダーをじゃらじゃら鳴らし面倒臭そうに女は部屋の奥にくる。こんな態度でなく、無言であればクールビューティーと言った感じの女なのだが、明らかに口が悪い女は持って居た鍵を照らし合わせて何度も試すが鍵は一行に開く気配はなく女にも明らかな苛立ちの気配が見え、持って居た鍵では開かないと分かると苛立ちは怒りに変わっていた。


『何なのよこの鍵!ちょっと待ってなさい!』


そう言い残し部屋から出ていった。向井はその様子を唖然として見ていたが大野は良い気味だと笑いを堪えていた。


『先輩見ました?あの女の怒りに満ちた顔!見てて気分爽快ー!』


『確かに…しかしお客である事に変わりはないんだから本人の前では失礼のない様にしろよ』


『分かってますって、それにしてもウケたー』


そんな会話をしている頃鍵の場所が分からない女は苛々しながら所長に電話を入れる


『トゥルルルルートゥルルルル…ガチャ…はい、横山だ』


『あっ、所長?矢上です。ちょっと伺いたい事があるのですが、今大丈夫でしょうか?』


『何だ矢上君か、どうした?もうすぐ会議が始まるから手短に頼むよ』


『引っ越しの件ですが、地下の物置奥にある扉の鍵をご存知じゃないかと』


『何?引っ越しは来週の予定じゃないのか?』


『何言ってるんですか、所長の出張中にありますと申し上げたじゃありませんか』


『そうだったか…物置奥の鍵だったね』


『はい…ご存知ですか?他の所員も知らない様なので…』


『あぁ…その鍵なら!…矢上君、さっき地下物置奥の扉の鍵と言ったかい?』


『そう申し上げたじゃないですか』


『あ、あの部屋の物は私と本島博士が移動させるから、他の者には触らせないでくれないか?』


『でも所長!引っ越しは今日で終わりなんですよ!本島博士も研究発表でアメリカですし、帰ってらっしゃるのは来週ですよ?』


『わ、分かった…こちらの会議が終わり次第、私はそちらに向かうから!誰も入らせない様に、絶対にだ!良いね?』


『分かりました!大体鍵が無いのに入れる訳ないじゃないですか』


『そ、そうだな…早く切り上げて帰るから宜しく頼んだよ。じゃあ…』


そう言って電話は切れたが、女は所長の慌てた口調が気になり、扉の向こうにある物に俄然興味を抱いた。

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