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赤いコート

作者: 高野敢太

某県K市の市街地の一角にこじんまりとした公園があった。

その辺りは繁華街から距離があり、夜10時ともなると人通りは減るのだが、

遅い帰宅をするサラリーマンや近くのコンビニを利用する人がいて、

深夜でも全く人気ひとけがないというわけではなかった。


ある年の6月、その公園で深夜、奇妙な女を見たという人が次々と現れた。


女が公園にいるというだけなら何でもないのだが、

その女は、気付くと目の前を歩いていて、すべるように公園に入り、

そこを素早く横切り、忽然と姿を消すのだと言う。

そして、目撃者全員が口をそろえて「女はコートを着ていた」と言うのだ。

梅雨時だからレインコートを着ていても不思議はなかった。

だが、晴れて星が見える夜でもコートを着ているのが目撃されていた。

後ろ姿のみで、女の顔をはっきり見た人はいなくて、背格好も見た人によってまちまちだったが、

話を総合すると、「コートの色は赤」「公園の端にあるトイレに入っていくこと」が更に共通点として浮かび上がった。


そのうち、公園で女に追いかけられたとか、女が刃物らしきものを持っているのを見たとか、

「あなたもしてみる?」と売春を匂わせる言葉をかけられたとか、トイレで覚醒剤の売買をしているらしいとか、

犯罪めいた話が多く聞かれるようになった。


こうなるとさすがに警察も無視するわけにはいかず、

深夜、2人の警官が公園の中や周囲を警邏けいらすることになった。

女性用トイレを調べる場合に備えて1人は女性警官だった。


警邏が始まって何日か後、公園前にパトカーを停めた男女の警官の前に、

多くの目撃情報と同じように、コート姿の女が突然現れ、公園を横切り、トイレへと消えていった。


2人の警官は急いで彼女の後を追い、トイレの前で互いの顔を見てうなずくと、

男性警官はトイレの入り口に立ち、女性警官は女性用トイレへと入って行った。


「ちょっと、いいですか」「出て来てください」「警察です。少し話を伺いたいんですが」

などと言う女性警官の声がドアをノックする音と共に聞こえていた。


しかし、2、3分経つ頃には、声も音も聞こえなくなった。


不審に思った男性警官が、女性用トイレに入っていくと、

床の上に赤いコートを着た女がうつぶせに倒れていた。


だが、それは女性警官だった。

刃物でめった刺しにされた背中から溢れ出た血が、警官の夏の制服を赤く染めていた。

まるで赤いコートのように。


一命を取りとめた女性警官によると、

背中にとてつもない痛みが走る直前に、

後ろから「あなたも着てみる?」という女の声が聞こえたという。


犯人は見つからなかった。

そして、その事件以後、赤いコートの女は現れなくなった。


ただ、後に、都市計画でその公園が取り壊されたとき、

トイレがあった場所から、女性の白骨が出てきたそうだ。


−−−−−−−−−−−−−

ありがちな話で済みません。

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― 新着の感想 ―
[一言] 辛口評価になってしまいスミマセンm(__)m読んでいて、赤いチャンチャンコの話を思い出しました。読みやすかったです。話の流れも良いですね。ただ、やや文章が単調で盛り上がりに欠けていると思われ…
[一言]  三人称で書いているのに一人称のような作品。故に読んでいて違和感があり、よくあるストーリー云々に関係なく作品に入り込めない。 「?だそうだ」「?という」という伝聞を多用したいのなら一人称で書…
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