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新入生を獲得せよ!

「我ら科学部!」の続編です。

時間が変わり、春になりました。

この片菜高校へんなこうこうにも春がやってきました。


春と言えば出会い。


そう、新入生が入って来る!


この我らが科学部も、さすがに新入生が入ってこないのならば死活問題である。


「部長!ほら!勧誘行くよ!ビラ持って!」


そう叫んだのは俺、毎度お馴染の岡品谷津おかしなやつです。このたび副部長(名目だけ)になりました。


で、部長ってのは野御丸仁のおまるじん


「え~…。俺はここ(化学室)でのんびりしてたんだけど…」


やる気の無さは未だ健全の部長。


「はぁ?あんたが来なきゃ始まんないでしょ!」


「だってぇ~…」


副部長に怒られる部長って見たこと無いな…。

部長がこんなにやる気がないのには理由があった。


実は本日、6時間目の授業で部紹介をやった。


体育館の舞台でうちのバカ部長はコーラにメントスを入れて噴射させる実験を行った。


すると、あふれたコーラが舞台上で大変なことになってしまった。


で、進行役の先生に大目玉を喰らったうえ、新入生が見ている前で叱られながらモップを手に掃除をしたのである。


「あんなことがあったから…ビラとか配りにくいし…。というか人前に出たくないし…」


「自業自得なんじゃ…?バカなの?液体窒素とか定番のにしておけばよかったのに…」


「それこそ液体撒くじゃん!」


「はい?あれは濡れないじゃん。すぐに蒸発するし」


「そうか。でも、あんまり高いもの使わないで安上がりに抑えたかったんだよね」


「あ~。部費が減らされたもんね」


部費が減らされた…。

これも部長の所為。


生徒会に会計報告をした時のこと。


「会計報告を提出しに来ました」


俺は部長と一緒に生徒会室へ。


「はい。確認します」


生徒会役員はそう言って報告書に目を通した。

すると、表情が変わった。


「もっと具体的に部費の使い方を書いてください。それに、もっと科学部らしいことに部費を使ってください!よって、来年度の部費は減らします。部員一人当たり1000円です」


そんなことを言われてしまったのである。


この会計報告書…。


書いたのは部長である。


「何書けばいいかわからん」の一言で凄いことを書き始めた。


液体窒素購入・るつぼ購入・お菓子購入・カップ麺購入・炭酸ガス購入・片栗粉購入・ブルーシート購入

・その他適当に使えそうなもの購入


そんな感じに書いてあった。


「まぁ、あれじゃさすがにね。適当すぎたな」


「ちゃんと書いたのにな…」


「いや、お菓子って…。買ったけど書いちゃダメ!あとその他いろいろって…」


「だって、液体窒素の実験で使ったお菓子だし、良いかなって…。後は何買ったか忘れちゃってさ…」


「そんなんだからダメなんだよ…」


そんなことを言いながらも、一年生の下駄箱の前で二人でビラを持って待機。


現在一年生は校庭で集会やってます。

つまり、戻って来る時にビラを渡せるってわけですよ。


「新入生まだ?」


俺が部長に質問する。


「知らないよ…。見てこいよ」


「ムリだろ…」


そんなことを話してるうちに集会終了。


一年生が一斉に下駄箱へ。


「行くぞ、バカ!」


俺が部長に指示を出す。


「誰がバカだ!」


こうして、二人でビラ配り。


化学室は他の部員と後輩に任せてある。

実験の用意をしておきなさい!と。


「科学部お願いします」


何回言っただろう…。


「おい、去年は拉致の様なことしてたけど、今年はやんないの?」


部長が聞いてきた。

確かに去年は無理やり連れ込んだな…。


「馬鹿だねぇ~。今連れ込んでどうすんの?教室戻ってHRあるっしょ。これから帰ろうとする奴を狙う!」


「あ~…。わかった」


しばらくすると、昇降口に新入生が来た。


さっきは教室に荷物を取りに行ったようなものである。

これから新入生は各部活へと向かう。


今がチャンスである。


「おい、お前、声かける人選んでない?」


部長が聞いてきた。


「当たり前だろ。明らかに運動部のやつに話しかけてどうすんの?弱そうなの見つけんと…。ああいうのとか」


そう言って俺は声をかけた。


「入る部活決めた?」


「決めました」


「どこ?科学部?じゃあこっちだ!ほら!来なさいよ!」


「え?いや…あの…。水泳部ってどこですか?」


「え?水泳部?えっとね…。外に出て左」


「ありがとうございます」


「いえいえ、科学部よろしくね」


「はい」


行っちゃった…。


「いいもんだなぁ~。人助けってのは!」


「いやいやいや!待て待て待て!」


部長が口を挟んだ。


「素直に教えてどうすんだよ!科学部入れる気あんの!?」


「え?だって、ねぇ。本人の意思と違う部活に入れるのはどうかと…」


「そうだけど。。。去年までのお前は!?」


「去年?ああ…」


「ああって何!?」


「いいじゃん、別に」


「よくないよ!」


二人目のターゲット来ました!


「科学部どう!?入らない!?」


「考えてないです」


「ですよね~」


「ねぇ、ちょっとは女子にも声かけてよ!男児だけじゃなくて!」


部長が言った。


「え~…。女子は苦手なんだがなぁ。しかも、理系の女子は珍しいぜ。難易度高いな。ってか、あんたも勧誘しなさいよ!何でいるの!?」


続けて三人目。もちろん男子。


「科学部どう?楽しいよ」


「えっと…。運動部で考えてるんですけど…」


「え?運動部?キツイよ。厳しいよ!」


「そうなんですか?どうしようかな…」


行ける!俺は確信した。


「まぁ、見学がてら科学部来てよ。見るだけ!」


「じゃあ…」


よし来た!


「部長!案内して」


「はいはい」


部長がその新入生を部室へ連れて行く。


新入生があまり来なくなったので勧誘終了。

成果は一人だけ。


俺も部室に戻る。


「谷津~。実験やってよ」


そう言ってるのは部長。

自分でやりなさいよ!とツッコミそうになってしまったが新入生がいるので我慢我慢。


「えっと。適当に座ってください」


とりあえず座らせる。


「まず、科学部についての説明をします」


適当に切りだす俺。


「科学部は、週に三日の活動です。月・火・水曜日です。なので、勉強との両立ができます。忙しいのは文化祭前だけです。と言っても、休日に部活はありません」


「普段活動は何してるんですか?」


新入生から質問。


活動…。


トランプやってるとはいえんしなぁ~…。


「えっと…。思い思いの実験を行ってます。あっちでは結晶を育ててますし、あっちではリトマス紙作ってます。その他授業でやった実験のおさらいをしたり、炎色反応や液体窒素やダイラタンシー何かをやったりしてます」


そこまで言ったら部長が口を挟んできた。


「嘘付けよ~。ダイラタンシーなんかやってないじゃんかよ~」


「うるさい!無駄口を叩くな!部長!」


「え?部長ってこっちの人なんですか?」


人乳性が驚いたように聞いてきた。


「そだよ。そいつが部長。科学部内で一番能力が低い奴。俺は名目上だけ副部長」


「そうなんですか~」


「じゃあ、なんか実験やる?科学部だし」


おれが切り出す。


「はい」


「そうな~…。時間も無いし、コーラにメントスでも入れるのが無難かな。あ、そうだ。その辺にあるリトマスゴケは食べちゃダメだよ。おいしくないから」


「食べたんですか?」


「うん。おいしくなかった。なんかさ、お茶の葉っぱみたいで渋い。おいしくない」


「そうなんですか…」


そう話してる間にコーラとメントスを用意。


「んじゃ、このコーラにメントス入れちゃって」


「危なくないですか?」


「ん~…。大丈夫、多分」


「多分ってなんですか!?」


「いや、大丈夫だから!入れて!」


「じゃあ、入れますよ」


コーラの中にメントスを入れた。


すると、コーラが噴き出てきた。


「ああ、これですか。今日前でやってましたね。めっちゃ怒られてたあれですか」


「あ、見てたの?」


「それは、まぁ。部紹介だったんで…」


「部長、見てたって!」


「止めてくれ~」


部長は顔を伏せてしまった。


「ん~…。特にやること無いんですけど…。他に考えてる部活ある?」


俺が新入生に質問した。


「そうですね…。吹奏楽部とかどうですか?」


「厳しいよ。あれは運動部だよ。ってか、運動部考えてるんじゃなかったっけ?」


「いや、厳しいのはちょっと…」


「ですよね~。まぁ、いろいろ見るといいよ。で、選択肢の一つに科学部を残しといてくれ」


「はい。では、さようなら」


新入生は行ってしまった。


「今日はこれ以上無理でしょ。解散解散。また明日頑張りましょう。今週いっぱい借り入部期間だしさ!」


こうして俺は部長と駅へ向かった。


まだ月曜日。なんとかなるさ!


しかし、一人しか来なかったのは誤算であった。

明日は何人くるだろう…。

最初は短編の予定でしたが都合により連載に。


都合というのは短編にしたら長すぎてしまうということです。

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