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娘に断罪される悪役公爵(37)に転生してました ~悪役ムーブをやめたのになぜか娘が『氷の令嬢』化する件~  作者: 次佐 駆人
第6章 悪役公爵マークスチュアート、遺跡にて古代兵器と対峙す

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12 遺跡を出て

『実験体0号』が女の子の姿になったことに関しては、本人(?)の「これが元から設定された形状です」という証言もあって、なんとか全員に納得はしてもらえた。


 問題は、結局俺が古代兵器である『実験体0号』を手に入れた形になってしまったことだ。そのせいで、遺跡の出口に戻るまでの間に、


「やはりお父様はこの大陸の覇者となるべきだと思います」


 とか、


「さすがご主人様だぜ。どこまで行くのか楽しみだなです」


 とか、


「お願いします公爵様。ロークス国王と祖父のこれ以上の暴走を止めてください」


 とか、


「いい加減自分の力を認めて、あのバカ国王をひきずり下ろす算段を考えなさい。貴方が動かないと王国の民がそれだけ苦しむのよ」


 とか、


「ラファルフィヌス教会としては、ブラウモント公爵様を支持する用意があります」


 とか、非常に危険なセリフがダンジョンにこだますことになった。


 それに対する俺の返答が「そのような大それたことはまったく考えていない」から「まだその時ではない」というギリギリセーフ寄りのアウトまで来たところで、遺跡の出口に着いた。


 遺跡に外に出て、全員の姿を確認する。入った時に比べてワンピースの幼女が一人増えてるだけで特に問題はない。いやそれはそれで重大な問題か。


 遺跡の扉はすぐに閉じてしまった。試しにクーラリアに開かせてみたが、どうやら再びロックされたようだ。これでこの後誰かが来ても扉が開けられることはないだろう。もっともゲームのマークスチュアートがやったように、力ずくなら可能ではあるが。


『転移魔法』でとりあえず俺の領地に行くか、というところで、森の方から鋭い声が上がった。


「そこにいるのは誰か!」


 それはつい最近聞いたことのある、若い女の声だった。


 続いて森から姿を現したのは、白い鎧に身を包んだ10人の騎士たち。


 その先頭に立つのは、ランスという、閉じた傘みたいな騎兵用の槍を手にした、青いショートカットに凛とした顔立ちの女騎士だった。


「あの方は……もしかして『燐光りんこうの姫騎士』リン・ラシュアル団長様でしょうか!?」


 真っ先に反応していたのはアミュエリザだ。少女騎士である彼女は、当然のように王国騎士団長であるリンを憧れの対象にしている。


「うむ。まさかこのようなところで会うとはな」


 と答えつつ、あまりに早い彼女の登場に俺は内心驚いていた。たしかに彼女はロークスから大森林の探索を頼まれていたと言っていたが、俺たちの半日遅れでこの遺跡に着くなど、『転移魔法』でもなければほぼ不可能なはずなのだ。いや、騎士団の精鋭だけで馬を飛ばしてくればギリギリ可能か……?


 森から出てきて隊伍を整えたリンたちだったが、俺たち一行の姿を認めると、微かに動揺するそぶりを見せた。


 まあそれはそうだろう。なにしろこちらは三大公2人プラス聖女、王国騎士団といえども上に立てる相手ではない。


 リンは数歩前に出てくると、驚きといぶかしさの混じった顔をしつつも頭を下げた。


「これは失礼いたしました。まさか両公爵閣下に加えて聖女様までこのようなところにいらっしゃるとは露にも思っておりませんでした」


「うむ、こちらもラシュアル団長にここで会うとは思っていなかった。随分と急がれたようだな」


「ええ、国王陛下が可及的速やかに探索せよとのおおせでしたので。それに王都を長期間空けるわけにも参りません」


「であろうな。しかして、団長の目的はこの遺跡かな?」


 俺の質問にリンは目つきを鋭くし、青い瞳で射抜くような視線を向けてきた。


「はい、そういうことになります。なぜ公爵閣下はここへ?」


「三大公として、王家がこの非常時に大森林に執着する理由を知りたかったのでな。この遺跡を見てそれを理解していたところだ」


「ローテローザ公爵閣下も同じでいらっしゃるのですか?」


「ええ、わたくしもブラウモント公の懸念に同調したのよ。聖女オルティアナはわたくしが誘ったの。回復魔法が必要と思ったから」


 話を合わせて答えたヴァミリオラは、チラッと俺を見てかすかに口の端を持ち上げた。俺の方で適当に誤魔化せということだろう。


「そういういきさつで、我々もこの遺跡にたどり着いたということになる。もっとも内部に入ることはかなわなかったがな」


「そうなのですか?」


「そこに扉があるゆえ調べてみるといい。もし開けるのであれば、我々も中を知りたいところだが」


「わかりました、それはこれから調べます。ところでブラウモント公はこの遺跡はどのようなものだとお考えになりますか?」


 探るような目を向けてくるリン。とはいえ、彼女はこういったやりとりはそこまで得意ではなかったはずだ。


「遺跡というのはすべて古代文明の残したものであるが、この遺跡はとりわけ栄えた文明のそれであるように感じられる。もし中に入ることができ、その文明の力を得ることができれば、あるいは大きな財を築けるやもしれぬな」


「なるほど……」


「国王陛下としては、先の戦で失った財をここから得ようとしたのではないか? ラシュアル団長はそういった話は聞いていると思うが」


「いえ、私もそこまでは。ただ遺跡を見つけ、その中の物を持ち帰れと命じられただけで」


「およそ国を守る騎士団長にやらせることではないな。まあ我らの目的はひとまず達したゆえ、これで引き上げる。団長も任務を終えて速やかに戻られた方がよかろう。貴殿が王都を空けるのは確かに好ましくないゆえな」


「心に留めておきます」


 ここはこんなこところか。


 リンとしては疑わしく感じるところではあろうが、相手が俺たちとあってはこれ以上の詮索はできまい。ロークスのところには俺たちが遺跡を探っていたという情報は伝わってしまうだろうが、だからといってそれ以上なにができるものでもない。


「では我らは失礼する。くれぐれも気を付けられよ」


 そう言って、俺たちは騎士たちの脇を通り、森の道へと入って行こうとした。


 その時リンはマリアンロッテ――一応顔は隠していた――を見てなにかを言いかけたが、それは途中でやめたようだ。同じく『実験体0号』を見て変な顔もしていたが、さすがに10歳の幼女が遺跡から出てきたとはごうも思わないだろう。


 と思ったら、リンはなにか汚物を見るような目を俺に向けてきたのだが……まさか俺に妙な趣味があるとか勘違いしたりはしてないよな? そんな事実は一切ないんだから頼むよ本当に。

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