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娘に断罪される悪役公爵(37)に転生してました ~悪役ムーブをやめたのになぜか娘が『氷の令嬢』化する件~  作者: 次佐 駆人
第11章 国王マークスチュアート、国を防衛す

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07 合戦の朝

 翌朝は夜明け前に朝食を取った。


 日が昇るころには俺を含めた全員が『モバイルフォートレス』内で軍装を整え終わる。


 するとそれに合わせたようにツクヨミが動いた。彼女の長い黒髪が一部変形し、羽根型アンテナ付きヘッドセットが現れる。詳細情報を古代遺跡から受信するモードである。


「マスター、Aランク2体が移動を開始しました。一体のAランクが100体を超えるCランクを従えて先行しています。現在の速度だと後半刻ほどで視界に入ってきます」


「後続の到着予定時間は?」


「もう一体のAランクはそれよりさらに四半刻後になります」


「半刻」は一時間、「四半刻」は30分である。魔族軍はやはり四至将エルゴジーラ率いるワイバーン部隊に空中から攻撃させ、その後四至将ドブルザラク率いる地上部隊で蹂躙するという作戦で来るようだ。


 もっともそれが間違いなく正攻法であるし、こちらとしても普通であれば質、量ともに揃ったこの攻撃を防ぐことは不可能であったろう。


 しかし幸いなことに、こちらには強力な対空部隊がいる。俺はその場でゼファラに声をかけた。


「聞いての通り、ワイバーン部隊が半刻後に姿を現すようだ。エルフ軍は急ぎ全軍の前面に展開して欲しい」


「うむ、空飛ぶトカゲどもは我らがすべて射貫いてくれよう。その後は指示がありしだい後方に退く」


「私も全軍に指示をしたらすぐにエルフ軍に同行する。四至将エルゴジーラだけは貴殿らだけでは手に余ろうからな」


「遠くからかなりの強者の気配を感じる。確かにこれは私やアルファラでは相手はできぬかもしれん。マークスチュアートの腕を頼らせてもらうぞ。では先に行く」


 ゼファラとアルファラは、そのまま『モバイルフォートレス』を出ていった。


 俺もすぐに、フォルシーナたちを連れて本部天幕へと向かう。


 大型の天幕には、すでに将軍のドルトンとリンを始め、軍団の幹部が顔を揃えていた。


 すでに斥候からの報告が届いているらしく、全員が緊張の面持ちである。故国の存亡がかかった大戦おおいくさの前であるから当然だが、100匹を超えるワイバーンや無数の地上部隊の報告を受けての緊張でもあるだろう。


 俺たちが天幕に入って行くと、全員が姿勢を正して敬礼をしてきた。


「陛下、どうやら陛下の読み通りの隊列で進んできているみたいですわ」


 ドルトンの言葉に俺はうなずいてみせる。


「ツクヨミもそう感知している。向こうが予想通り正攻法で来るなら、こちらも予定通りの作戦で迎え撃つのみだ」


「エルフ軍が前に出て行ったのは確認しておりまさ。彼らがどれだけワイバーンを落としてくれるかが勝敗を分けるかもしれませんな」


「彼らは弓と魔法の達人だ。ワイバーンなどすべて射落とすであろう。問題はその後の地上戦だ。こちらは誤魔化しがきかぬ正面からの殴り合いになる。特に注意すべきは四至将ドブルザラク、こちらは両将軍と我が娘フォルシーナらに任せる」


「わかっておりやす。最優先で片をつけまさ」


「この槍に誓い、必ずやドブルザラクを討ち取ってみせます!」


 将軍リンは一度戦っていることもあって、ドブルザラクにはこだわりがあるようだ。凛々しい顔を険しくして宣言する。


「もちろんそれ以外にも、強敵となる魔族幹部が多数いるだろう。中隊長以上の者は率先してそちらに当たってもらいたい。各自危険を感じたら『エクストラポーション』は躊躇なく使用するように」


「はっ!」


 幹部たちの士気も高いようで、返事をする顔には気合がみなぎっている。中隊長以上はいわゆる高レベルの者の中でも力に優れている者たちだ。非常に貴重な人材なので、全員『エクストラポーション』を持たせている。全兵士にもポーションは複数携帯させているが、これほど兵士に優しい軍は他にないだろうとはドルトンとリンの言葉である。


「私からの指示は以上だ。私はこの後すぐにエルフとともに四至将エルゴジーラとの戦いに臨む。そちらが終われば遊撃につくので、以後の指揮は両将軍に任せる」


「任せてくだせえ」


「全身全霊をもって事に当たります!」


 生真面目なリンはいつもの通りだが、小心者のドルトンもこういう時は将軍の顔になる。


 俺はさらにフォルシーナたちに向き直った。フォルシーナとマリアンロッテ、アミュエリザ、ミアール、クーラリアの5人はいつもの冒険者姿で控えている。


 ちなみに冒険者姿というのは、順に学校の制服っぽい魔導師服、聖女的白ドレス、赤を基調とした軽装鎧、メイド服、巫女服(すべてミニスカート仕様)である。うむ、ここだけ完全にゲームの世界だな。


「フォルシーナたちはこの後はリン将軍と行動を共にせよ。ドブルザラク討伐は必ず成し遂げねばならぬ。皆の武運を祈っているぞ」


「はいお父様、必ずや四至将を倒してごらんにいれます。お父様もご武運を」


「うむ。では私は出る」


 俺はそのまま天幕を出て、エルフたちの方へと向かった。


 かつてない大きな戦いだが、ドルトン、リンが率いる王都軍の主力についてはゴーレム50体も配備されており、戦力で劣ることはないだろう。秘書のラエルザが連れてきたサキュバス魔導師部隊もかなり強力らしいので、むしろ地上部隊だけならこちらの方が優位にある。


 後はエルゴジーラ戦がどうなるかだ。


 原作ゲーム通りだとちょっとイレギュラーな戦闘になるはずで、もしそうなら少し楽しみではある。

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