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13.神話と新しい装備

果たしてセレス様はケモナーかモフラーか、はたまたただのモフモフ好きか……

事と次第によっては大問題に発展しそうである。


しかし、もしセレス様に「耳と尻尾を触らせてもらえないだろうか」などと言われたら顔面をグーで殴ってしまう気しかしないので、今後はあまり近付かないようにしようと思う。


まあそれはさておき、手に取った絵本を早速読んでみる。

絵本の割には挿絵が少ないけれど、表紙やページの片隅に装飾の施された美しい本である。


パラリとページをめくると、そこにはおそらく創世神話なのであろう物語が描かれていた。



──かつて世界は混沌の中にあった

──いつの頃かその中から太陽の神が生まれた

──太陽の神はあるときひとつの星を生みだした


──喜んだ太陽の神は星を見て廻る

──そのとき光射す場所から光の神が 射さぬ場所から闇の神が誕生した

──そして昼と夜ができた


──太陽の神は4人の神を創りだす

──土の神は大地を 火と水の神は熱と海を そして風の神はそれらの力を巡らせる


──星に力が巡ると生命が誕生した

──しかし生命は儚く すぐに大気へと散ってしまう

──それを憐れんだ光の神は 散ってしまった生命の欠片を集めて闇の神へと渡した

──生命の欠片を受けとった闇の神は 揺り篭へと寝かせる


──そうして眠らせた欠片たちを 闇の神は再び星へと還すのだ

──欠片たちがもう一度生まれてこれるように


──生命は巡り 再び生まれる

──母が見守る星に抱かれて



実際はもっと古めかしい言葉で書かれていたけれど、要約すると大体こんな感じ。

なるほどだから“巡り人”。

プレイヤーたちは、この“生命の欠片が寄り集まって生まれ直した存在”という立ち位置なのかな。

たぶんスキルを選んだり、選べる種族が色々あったりするのも、この生命の欠片を寄せ集めた結果が“巡り人”という存在なので、プレイヤーたちはその欠片の中から自分に必要な欠片を選び取っているというイメージだろうか。


でもそうするとなんで巡り人は最初から大人の姿なのか、とか住人たちは死んだらどうなるのか、なんて疑問が発生したりもするんだけれど、それらも探していればいずれ何かしらの答えが見つかるのかもしれない。今度探してみよう。


神話の話は他にもいくつかあって、ちらっと見た感じ太陽の神が創った4人の神から生まれた他の神々の話だとか、神と人間の邂逅の話なんかもあるみたいなのでそちらも是非ともまた読みに来たい。

今日はこのあと姉の店に新しい装備を取りに行く予定なので、後ろ髪を引かれつつも何とか椅子から立ち上がった。




「おい、来てやったぞ」


所変わり『Viola』である。

開口一番の不遜な態度に、奥から姉の椿が喜び勇んで飛び出してくる。

たまたま店に居た他のプレイヤーがぎょっとした顔でこちらを見るが、赤の他人にいきなり喧嘩を売りに行ったりはしないのでどうか安心して欲しい。驚かせて申し訳ない。


「ジュカくん待ってたよぉ~~!!!ささっ奥にどうぞどうぞ♪」


椿にグイグイと背中を押され、店の奥へと連れて行かれる。

椿は黙っていれば凛とした美人なのだけれど、私の前では現実でも大体こんな感じなので初めて見た人は大抵驚く。ほらその証拠にさっきのプレイヤーも思いっきり二度見している。


「チッ押すんじゃねえよ」


悪態を吐きながらも大人しく押されて行く。椿もジュカが本気で嫌がっている訳ではないと知っているので遠慮はしない。


店の奥にある作業場へと入ると、早速椿がロックをかける。


「で?どんなのが出来たんだ?」

「えへへっ限られた予算内の中で出来た渾身の作だよ!」


本当は宝石とか金とか使ってもっと色々したかったんだけどなあ……という恨み節は聞き流し、デデーン!と出された装備を確認する。



[防具]放浪者のチュニック 品質:良 レア:No

[備考]素材にはぐれコボルトの皮を使用することでスタミナの減少を抑える効果がある。


[防具]放浪者のズボン 品質:良 レア:No

[備考]素材にはぐれコボルトの皮を使用することでスタミナの減少を抑える効果がある。


[防具]褐色猪のブーツ 品質:良 レア:No

[備考] ワイルドボアの皮を使って作ったブーツ。耐久性に優れている。


[アクセサリー]牙のレザーチョーカー 品質:良 レア:No

[備考]素材にはぐれコボルトの牙を使用しており、装備時に力が少し上がる。



ほう、中々良いのではないだろうか。

はぐれコボルトの皮を使ってはいるものの、ちゃんと布装備のカテゴリーで作られているのでINTやMIDに補正が掛かる。さらにはぐれコボルトの特性なのか、スタミナ補正までついている。アクセサリーの力アップも地味に嬉しい。杖で殴るときに役立ちそうだしね。


「ふぅん、悪くねェな」

「でしょでしょ?まずはこのチュニックなんだけど、胸元は紐で編み上げる形になってるからここは大胆に寛げて着るスタイルがいいと思うんだ!でもそれでだらしない感じにならないようにこの幅広のベルトでキュッと締めることでメリハリをね!そしてその大胆に寛げた胸元にはこのレザーチョーカーってわけ!三連にしたレザーにアクセントとして牙をつけることで、ワイルドさとセクシーさが共存する。これが正に大正解だってことは有史以前から決まっていたことだったよね。それでズボンの方はスキニーって言うほどタイトじゃなけど、かといってダボついてシルエットが崩れない絶妙なラインを狙ってみたの!そしてそこでこのブーツですよ!これはねっ……」


熱量が凄いよ。

椿のマシンガントークに心を無にして聞いていると、背後からスパァンッといい音をたてて椿が叩かれた。


「もうええ加減その辺にしときや」

「ふふふ、ジュカくんが困ってますよ~?」


叩いたのはキャロさんでした。

まあ背後からとは言ってもそれは椿からするとなので、椿と対面している私からは普通に見えていましたね。


あたた…と頭を擦りつつも流石に興奮し過ぎだったと反省したのか、素直に謝っていた。


「まぁでも、うちも中々ええ出来やとは思っとるけどな」

「是非とも着てみて下さい~。きっと似合うわあ」

「うんうん、ジュカくん着てみて~!」


3人に急かされ、試着室で早速装備してみる。

別に装備画面から一瞬で変更することも出来るが、そこはね?やっぱりジュカ的にちょっと着崩したりとかの調整を色々とね?


新しい装備はブーツを除けば基本黒一色である。そこに金色の刺繍や縁取りなんかが入ることで差し色にもなっていてとてもオシャレ。そして姉の要望通り胸元の紐を緩めることで鎖骨と大胸筋をほどよく見せている。ちなみにチュニックは袖無しタイプで、手首から肘にかけてのアームカバー的なものとセットになっている。外に出るときはこの上から巡り人のフードを被ってもいいかもしれない。


きっちり締める部分とあえて緩める部分、アクセサリーやベルトの位置なんかを上手いこと調整して試着室を出る。



「あっ死……(尊死)」

「はあ~マジで天才やな。ジュカの存在自体が既に天才やけど、うちらの才能も天才。ヤバ過ぎ」

「ハァッハアッ……!鎖骨と胸元のチラ見せ具合が神……。そして脇!腰!あと足長っっっが!顔と相まって全部がエッチ過ぎるぅ……っ!」


3人とも大興奮である。

ちょっと引………いや、別のゲームでもこんな感じだったな?ただ今回は男性体なのでユリさんが特にハアハアしている。ちなみに幼女のときはキャロさんが1番ハアハアする。母性本能があふれ出すとかなんとか。

閑話休題。


このあとはSS撮影会へと移行する。姉たちはどのゲームでも大体生産職をしているので、新しい装備を作ってもらった後は大体この流れである。


「あ~~このジュカくんを全世界の人間に見せたいのに、誰にも見せたくないジレンマ~~!!」

「いや何言うてんねん、まぁわかるけども」

「うふふふふふふふ……!!」

「ユリちゃんが壊れた…」

「いつも大体こんなやろ」


会話はしつつも手は止まらない。

カシャッというシャッター音がカシャシャシャシャシャシャシャ……!と聞こえるくらいなので、最早連写の域である。


「おい、まだ撮ンのか」

「もうちょっと!もうちょっとだけ!」

「今ええとこやねん!もう少し辛抱しぃや!」

「ハァハァ……っ!ジュカくんいいわぁ!もう一度こっちに目線をちょうだいっ!」




終わりはまだ当分先になりそうである……………はぁ。

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