螺旋の先
波打ち際に寄せる 白い泡立ち
引く波に 泡は潰れて消え
また寄せて泡を預け 水際を乾かすことがないように
あなたが引いて 消えたように見えても
心が乾くことはない
関わった僅かな時間が
寄せた波の先端でしかなくても
私の世界に 波の音が留まる限り
あなたは消えない
楽しかったほど 嬉しかったほど
笑った数が多いほど
あなたが消えた後は暗く陰り
消えた側から 育ち始める永遠の蔓が
私の世界の壁を這い上がる
あなたが消えることで落とした 暗闇の中でさえ
私の内側で展開する時は美しいなんて
あなたは考えもしないだろう
あなたが見せなかった暗闇の続きは
私の世界で 仄白い霊のような花を生む
思い出を絡めとり 養分にした蔓が
あなたの残像を暗闇に映し出す
最初にあなたを知った時のようだ
流れ落ちる滝に 腕を引っ張られるような
困惑と 期待と 直感の喜びを感じる
私の世界へ置かれた 闇の内側で
私の世界の中で 再び咲いたあなたの面影の花
ひんやりした白さ 清涼感ある甘い匂い
蔓はどこまでも螺旋に進み
黒に 白の花を開き続ける
来てくれないか
見せたい
私の中にどれだけ
あなたへの痛みがあったか
香りに咽るほど 咲き乱れる白い面影が
どれほどあなたを思っていたかを伝える
痛みでさえ
こんなに美しいんだよ
暗闇が分からないほど
白に埋め尽くされるここを
蔓の先は止まることなく
螺旋を描いて蕾をつけ
世界の壁を這いながら広がり
全てを白く変えて行く
あなたがまた訪れたなら
これが痛みの花だったことすら 分からないほど
美しい白い世界を見るだろう