珈琲
処女作です。至らぬ点も多いと思いますが、読んでいただければ幸い。
朝。珈琲を淹れ、パソコンを起動し、ゆっくりと椅子に腰かける。
ゆったりと珈琲を飲みながら、いつも通りの仕事が始まる。
ポットで淹れた珈琲がすっかり冷めたころ、仕事が終わる。
何事もない、素晴らしい日々。かけがえのない日常の一ページ。
しかし、その素晴らしい日々に私は飽きてしまったのだ。
だからその日は、いつもと違う電車に乗り、見知らぬ街へと降り立った。
暫くの間当てもなくぶらぶらと歩きまわり、何だか虚しくなって駅へと向かう。
その道すがら、一軒の珈琲屋を見つけた。普段ならば気にもしないであろう店。
しかしその日は、見えない何かに魅せられて、ふらりとその店へ入って行ったのだ。
こぢんまりとした店の中には、珈琲豆の香りが漂い、穏やかな空気が流れていた。
店主の愛が伝わるような豆の配置。美しく並べられた豆たちの中に、一つだけ輝いて見えるものがあった。なぜだか目が離せない、魅惑的な珈琲豆。
迷うことなくその珈琲豆を買って、帰路につく。
「・・・明日は、素晴らしい日になりそうだな」
読んでいただきありがとうございました。