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プロローグ 人生はもうすでに詰んでいる
通勤中の電車内。高校生達が俺を見て笑っている。
「あのデブ、マジでキモいんだけど」
「あの、オッサンきっと童貞だぜ」「魔法使えるんじゃねーの?」「あんな大人、マジで終わってるんだけど。」
童貞以外だいたいあってる・・・・・・
心の中でそう呟く。当たりすぎて腹も立たない
妻は先日、子ども達を連れて出て行った。
仕事は成績も悪く上司には怒鳴られ、後輩達には馬鹿にされる毎日。
この高校生達の言うように俺は間違いなく終わってる。
「変わりたい。」「変わりたい。」「変わりたい。」
「変わろう。」
その日、俺は会社に辞表を提出した。
そして、昔から憧れていた、赤い龍の和彫を入れることにした。
「俺は生まれ変わるんだ」と自分に言い聞かせ、痛みに耐え抜き、背中に赤い龍が彫り上がったその日
俺は車に轢かれた
「俺って本当に終わってるよな」そう呟きながら目を開くと、神殿らしき建物の前の行列に並んでいた。