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王女誘拐未遂

ーー  王子、王女ら



サハラ王国には、二人の王子と3人の王女がいた。

王子は20歳と15歳で、王女は17歳と10歳に23歳で他国に嫁いだ娘が一人。


ここ最近の神にまつわる噂話にそれぞれの王女、王女は興味を持っていた。


その中でも一際興味を持っているのが、第三王女のクリスティーナだった。


オアシスの街の二つ目のオアシスが出来たと聞いた時から、視察と言いながら現地に向かって確認したり話を聞いていたのだ。

その為、オアシスを作っているのが「ファーストと言う11・2歳の男の子」と言うことを早くから、耳にしていた。

だがファーストは空を飛んで移動する為、どこにいるのか皆目わからず、よその国に出たのではないかと心配していた。


「彼の方のお力を持ってすれば、この砂漠の王国にも緑豊かな大地が・・・早くお会いしたいわ。」

日に日に募るその想いに、朗報が届いた。

街外れの古びた教会にいるそうだ。と言う情報だ。


早速次に日、クリスティーナ王女は馬車で教会へ向かったが、途中のスラム街が邪魔で馬車が通ることができなかった。


その日は落胆のまま城に帰った王女。

そこに一人の男が話しかけて来た

「クリスティーナ王女様、何を悩んでおられます。」

と話しかけると今日の顛末を語る王女。

「それなら警護をつけて徒歩で向かってはいかがですかな。スラムではよくない者達もおりますので、王女と分からぬ格好で少ない人数で行くのが良いと思われます。」

と囁いた。

王女はすっかりその気になり、

「ありがとう存じます、ツータン男爵。」

とお礼を言うと部屋に戻っていった、残されたツータン男爵は不敵な笑いを見せると、何処かに連絡をし始めた。



ーー 王女誘拐未遂



クリスティーナ王女は、次の日早速商人の娘のような服に姿を変えて、僅かな護衛を連れて教会に向かった。


城を出る第三王女を見張る男の影に気付かぬまま。




教会にて。



ファーストは、教会の裏の空き地に畑を作ろうと思っていた。

教会で食べるならば十分な広さを確保すると、周りを丈夫で高い塀で囲んだ。

出入り口は教会側のみ。


砂地の土に手を着き「性質変換」と口ずさむ。

あっという間に黒々とした土が出来上がった。

「後は水だな」

と言いながら小高い丘に登りそこから地中に穴を掘り始めた、すると水が湧き出始めた。

近くに溜池を作り、転落防止の柵を巡らすとファーストは、昔開拓村でしたように穴の空いた筒を埋めると、溜池に繋いだ。

「コレでよし。」

と一息ついたところで、小さな声を拾った。


「助けて・・誰か。助けて・・ファースト様。」

と聞こえた声に反応するように、ファーストは空に舞い上がりそこを目指した。




クリスティーナ王女



スラムの匂いに少しばかり困惑気味の王女は、それでも教会を目指していた。

するとゴタゴタした小屋の密集したところで不意に手を引かれた。

「あ!」

直ぐに自分の身が危ないと感じた王女は、その手に噛み付いた。

「あ痛ー。」

男の声がして手が緩んだ、王女は直ぐに逃げ始めた。

しかし方向見通しもわからぬこのスラムで、逃げるのは至難の技だった。

すると子供の声が聞こえた

「こっちよ。」

と。


なぜかその声に光を感じて、声のする方に進むと小綺麗な服をきた少女が二人。

「こっちよ、早く。」

と言う言葉に女王は頷くと後をついていったのだが、その行手に別の男が

「まちな、王女様もう逃げられませんよ。」

と嫌らしい顔で笑った。


「助けて・・誰か。助けて・・ファースト様。」

女王は思わず、口にしていた。


男がさらに現れ、少女ら3人の運命は風前の灯。

と言うところで、空から男の子が舞い降りた。

「「あ!ファースト様。」」

少女二人が声を揃えて呼ぶ、彼があのファースト様。

王女はその少年をじっと見ていた、黒髪に黒の瞳それ以外は私たちと違いはない。

すると男らがガタガタと震え出した。

「お前らその子を連れて教会に戻ってろ、ここから先は18禁だ。」

と言うと、少女らは頷き王女の手を引いて教会に向かった。


「お前たち、教会のお膝元で何してるんだ。」

と凄むファーストに恐怖で動けない3人はそのまま息絶えてしまった。


その後ファーストは、他の仲間を見つけると黒幕を探った。



その頃ツータン男爵は、兵士に向かい

「第三王女様が拐われた。犯人はスラムにいる犯罪者どもだ。スラムの者たちを一人残らず捕まえて、スラムを取り壊せ。」

と言うと兵を向かわせた。


その様子を確認したファーストは、スラムに戻ると入り口で兵を待った。


2000人の兵がスラムの入り口で、立ち尽くしていた。

その前には10人ほどの男が転がされ、中には死んでいるものもいた。

「こいつらが犯人だ、スラムの住人ではない。こいつらを連れて戻れ、王女は俺が責任を持って連れてゆく。」

と兵士に命じていた。

一人の兵士が前に出て、

「お前の言うことを信じろと言うのか。そこを退け、王女は我らが救う。」

と言いながらファーストに剣を向けた。

しかしそれ以上兵士は動くことができなかった。

「くっ。コレほどの威圧。」

膝を落とす兵士に

「我はファースト。俺の声が聞けぬならば俺を倒してみよ。お前らは利用されているだけだ、それを考えて行動せよ。」

と大声で言った。


「ファースト!まさかこの子が・・」

威圧から解放された兵士はファーストを睨むと

「本当に王女を無事に戻すにであろうな。」

と確認した、それに対し

「お前たちをここに向かわせたものを疑え、まだ拐われてもいない王女が攫われたと言う事を言った者こそ、コレを計画した者であろう。」

と言うとファーストはスラムに消えた。



教会にて。



少女らに助けられた王女は、見事に作り替えられた教会にいた。

「コレが古びた教会ですか?城の教会より見事です。」

と言う王女に、シスターが

「コレはファースト様がお造りになられた神の家です。」

と説明した。

「神の家」と言う言葉に何か特別な思いを感じた王女。


そこにファーストが戻って来た。


「先程は危ないところ助けていただき、ありがとうございます。私は・・。」

名前を言おうとしたところで、ファーストに止められた。

「どこに用があったんだ?送っていこう。」

と言うのに

「お待ちください。私はファースト様にお会いしたくてここに来ました。」

と言う王女に

「それを利用されたか、お前の考えなしの行動にどれだけここの者が、危険に晒されたか分かっておらんだろう。お前はスラムに住むものを排除する餌にされたのだ。」

と言うファーストの言葉に王女は青ざめた。


「どうすれば私は償えるのでしょうか?亡くなった方はいらっしゃるのですか?」

と狼狽えていたが、ファーストは

「もう済んだことだ、誰も怪我をしておらぬ。ただこれからはわからぬ、ここを自分のものにしようと考える者がいるようだ。今日は送ってゆくので、これからは自分の行動に責任を持つように。」

と言った、すると教会の子らが

「ファースト様、この子をこれ以上責めないで、この子も怖い思いをしたのよ。温かいお風呂と美味しいご飯を食べてから送っていってください。」

とお願いの眼差しでファーストを見て言った。


「・・まあ良かろう。」

と答えると、少女二人は王女を連れてお風呂に向かった。




王城にて。



「何!王女が攫われたと、本当か。」

警護の者がスラムで見失った、その際男達が捜索の妨害をしたと報告していた。

そこにスラムから戻った兵士の隊長が

「王女が攫われたとの急報を聞き、スラムに向かいましたがファーストと名乗る少年が、犯人だと言う男ら15人を引き渡し、王女は責任を持って送り届けると言うので、戻って来た。」

と報告した。


報告を受けた宰相は、時間的な矛盾に気付いた。

「その方が我以外に王女が攫われたと誰かに申したか?」

「いえ、直ぐにここに来ましたので、誰にも。」

と答えると警護騎士の言葉に

「ファーストなる者が言うのは、誰よりも早く攫われてもいない王女のことを話した者が黒幕だと、申しておりました。」

その言葉に宰相は

「誰がその方に伝えた?」

「はい、ツータン男爵殿です。」

「そうか分かった。下がれ。」

と二人をさがらせた宰相は、別の者に何事か言いつけて国王へ話に向かった。



教会にて。



お風呂でこの世の幸せを味わった王女。

いくら王族でもこの王国では、これほどタップリのお湯を使えることはなかった。

「とても気持ちいいわ。ここでは毎日お風呂に入るの?」

と言う問いに少女らは

「そうだよ。でないとファースト様が怒るの、「ご飯食べさせないぞ。」て言うの。」

と言いながら色々なことを話して、すっかり仲良くなった3人。


お風呂から出た王女はみんなと夕食を食べた。


「ここの料理はどなたが御造りになったの?」

と驚いたように尋ねる王女

「食材や調味料は、ファースト様がくださるの。料理は最初にファースト様が作ってくださって、その後は教えてくださるの。」

とシスターが答えた。

「そうなの、とても美味しいわ。」

と素直な感想を言った。


その事を聞いていたファーストは、

「この国がここみたいになればいいと、お前は思うか?」

と聞いた。

「ええそう思うわ、そのために私はあなたに会いに来たのだから。」

と答えた。


「分かった、今日はこれから送り届けるが、3日後に迎えに行くから計画がれば教えてくれ。」

と言うと王女に教会の者と挨拶をさせてから外に出た。

「空から帰るぞ。」

と言うとファーストは、王女を抱き上げて空に舞い上がった。


「わあー。王都を空から見るとこうなんだ。周りの砂漠は・・・緑がないわね。」

と途中から声が小さくなっていった。


王城の上に着くとファーストは、テラスに王女を下ろすと音もなく空に消えていった。


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