女神も知らない過去を持つ俺、無双するの。
プロローグ
俺の目の前に土下座をする自称女神がいる。
「あのう、何方かとお間違えではないですか?俺はただのサラリーマンで初めてお会いしますよね。」
俺は頭を上げない派手なドレスを着た、女性に声をかけた。
「分かった。と言ってください、そうすれば私は直ぐにでも頭を上げます。」
と言う女性は頭を上げそうにもない。
そこで俺はそっとそこを離れる事にしたのだが、後ろを振り向いた瞬間に足元に女性が土下座の姿のままで移動している。
「何これ!怖すぎるだろ。」
と思わず声を出してしまったが、どうやら彼女は俺に「わかった。」と言わせたい様だ。
「これは新たな詐欺の手法ですか。通報しますよ。」
と言いながらスマホの画面を見ると「圏外」になっていた。
「え!どうして?」
思わず周りを見回すが、人っ子1人歩いていない。
ここはどこだ?俺はどこにいるんだ?そしてこの子は誰?
連続する、疑問にパニックになりながら俺は決断した。
「分かった」
と一言。
すると土下座の女性が突然飛び起きた。
「おっと!」
慌てて距離をとる俺に、起き上がった女性は
「初めまして「引きこもり」さん、私は女神のスベラートです。」
と自己紹介を始めたがそこで俺が
「誰が引きこもりだ。俺は小森一35歳だ。」
と言うと、首を傾け
「だから・・一(引く)、小森でしょ?」
と言うので、
「確かに昔そんなあだ名で呼ばれたことはあったが・・でもこのリーマンの大人を捕まえてそれは間違えでしょう。」
と言うと。
その女は
「昔・・たかだか20年ほどのこと、今と変わらないでしょ。もう契約は終わったので、私の世界に転生させますね。」
とまた意味のわからないことを言い出した。
「わたしの世界?転生?あんたどこかのコリン星人かい?」
と言いながら俺はダッシュでその場を離れようと試みたが、足が動かなかった。
「なんで足が動かないんだ。」
俺の言葉を聞き取った女は
「いまから転生するからですよ。下手に動くと身体バラバラになりますからね。」
と怖い話をし始めた。
◇
39分後。
「あんたの話が本当なら、俺はもう転生するしかないのか。ならいくつか条件をつけるぞ。」
と言うと
「もちろんです。一応5つまでは応じる準備があります、どうぞ。」
と言われ俺は
「そうだな・・先ずは若くしてもらおうか。次には定番のアイテムボックスと鑑定だな。魔法が使える全属性と魔力最後に・・丈夫な身体だ。」
と言うと自称女神は
「それは定番すぎますね、いいでしょうもう一つ私からプレゼントして送り出しますね。」
と言うと俺は突然、目の前が真っ暗になった。
ーー 女神スベラート side
「やっと転生することができたわ。誰にも気づかれていないし・・これで私の世界も助かったのよね・・。」
そう呟きながら女神は男に何をしてもらいたいか伝えるにを忘れていた事に気づいた。
「・・多分大丈夫よね。」
ーー 異世界に転生しました。
意識が覚醒し始めた俺は、目を開けて周りを確認した。
「また森の中か。・・どうしてアイツらは・・森に放り出すんだ。」
と愚痴をこぼしながら、俺は体と身の周りを確認し始めた。
手足を見ると「小さいな」子供だ、服は麻の貫頭衣の様なものに腰紐か。
魔力を感知しながら「鑑定」と唱える。
「女神スベラートの世界」
「センターターク王国東の森の中」
と鑑定結果が出た。
それなら「ステータス」と唱える。
ステータス
名前 ※※※ 年齢10歳 性別 男 種族 人族(?) レベル1(200)
HP 10(22000) MP50(50000) VIT20(30000) STR30(45000)
AGI15(12000) DEX8(3000) LUK5(30)
スキル
アイテムボックス 鑑定 身体異常無効 魔法全属性 魔力超回復
創造魔法
加護
女神スベラートの加護
これを見て俺は
「バカだろアイツ。HP10の子供を森の中にって・・何人生きられるのかて言うレベルだろう。」
と愚痴った。
俺はステータスを見ながら
「まだ昔のパラメータが生きてる様だ、これならなんとかなりそうだが・・どうするか?」
と呟いた、そう俺は以前別の神から異世界に飛ばされた経験があったのだ。
その時のステータスが()内の数字だ、さっきの感覚からすると使えそうだ。
◇
1時間後。
「ほんとここどこだよ。今回もLUKの数値は低いから運に任せるわけにはいかないし・・!」
とこぼしていたところで、何かの声を聞いた。
「・・助けて・・誰か・」
幼い子供の声だ。
声のする方向に走る、そして今にもオークに捕まりそうな少女を見つけた。
「ウォーリャー!」
と叫びながら俺はオークの後頭部に蹴りを喰らわせた。
普通なら10歳児の蹴りなど、蚊に刺された程度の威力だが。俺の隠されたステータスなら当然。
「パーン」
頭が破裂した。
「ドサッ」
朽木の様に倒れるオーク、その向こうに意識を無くした少女が1人。
◇
30分後。
河原でかまどの準備をしていると、少女が目を覚ました様だ。
俺は知らないふりをしながら、かまどに火をつけて肉を焼く準備を続ける。
肉はオークだ、意外と美味いのがオーク肉。
「ジューッ」
いい音と匂いに誘われたように少女が近づいてきて
「あのう。私を助けてくれたの?」
と尋ねてきた、俺は振り向きながら
「ああそうだよ。腹減っただろ、肉食うか?」
と言いながら焼き上がった肉を串に刺して、少女に差し出した。
「あ、ありがとう・・美味しいわ。」
少女はそう言いながら、オーク肉を食べ始めた。
腹が膨れたところで俺が少女に
「君の名は?ここから人のいるところに帰れる?」
と聞いたら。周囲を見ながら
「多分帰れる。・・わたしはアリスよ。貴方は?」
と聞かれたところで、『名前かどうするかな。』と思いながら
「俺は・・ファースト、10歳だ。」
と答えた。
アリスの案内で川沿いを歩くこと2時間、森の切れ目が見えてきた。
「あの先に開拓村があるの。」
と言うアリス。
どうやらここは開拓村がある辺境の様だ。
『あの女神め本当に子供をどこに放り出すんだよ。』と思いながらついて行くと。
木の柵で囲まれた集落が見えてきた。
『この程度の柵では大型の魔物は防げないな、広さもあまりないとこを見ると狩りなどが主な仕事か。』と感想を持ちながら出入り口に向かうと。
「待て。ん!アリスかそれと・・誰だその坊主は。」
と門を警備している男が俺を見ながらアリスに尋ねる。
「彼はファーストよ、私がオークに襲われていたのを助けてくれたの。」
と答えるアリスを見ながら男は
「コイツがオークを・・信じられんが、まあいいだろう。入んな。」
と門を開けてくれた。