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短編:澤田さんは、いつも分かった顔をする

作者: 008

「君は英語の授業で習った、例の文を覚えているかい?」

唐突な質問は、英語とは全く関係ないタイミングで行われた。

正直、英語に興味はなかったので、最初に習うであろう


私はマイケルです


という、自己紹介の文かな?と適当に返すと

「惜しい、答えは


〈これは、ペンです〉だ。


いつ使うんだよ!?、って侮った記憶はないかい?」


正直に言えばある

しかし、文法学習の観点から考えれば

〈こそあど言葉〉の初歩として最適な文であったと感じる


マイペースに話は続く

「私は、あの例文をそのまま使ったことがあってね。

当時、教科書を執筆した人の思慮深さに圧倒されたよ。」


人生楽しそうである


「特に難しい話じゃない、書道で使う〈筆〉を思い出して欲しい。私は筆について英語で話す機会があったんだ、いわゆる、異文化交流会ってやつだ。その時に、辞書で筆について調べたんだ、すると書道の筆は、英語で表すと


〈writing brush〉と言うそうだ。」


ブラシ、そう言われると納得である。

絵画で使用されるイメージと合い、心地よい気分だ


一方で話は謎に深まる

「当時、私は違和感を感じたんだ。書道における筆の役割は、文字を書くこと、つまり〈Pen〉と同じなんだよ。決して絵を描くためじゃない。この結論に至った私の口からは


〈This is a pen.〉


この一言が必要不可欠だったんだ!」



力説ありがとう、個人的には芸術性を含んだ

〈writing brush〉

の方が好みだ。


「さて、筆ひいては、ペンの素晴らしさについて話した手前アレなんだが…ペン貸してくれない…?忘れちゃいまして……」


……断る理由もないので、大人しく貸すことに

ただし、〈筆ペン〉を


渡した直後、真剣な顔で


「〈This is a pen pen…?〉」


と呟いた姿を見て、思わず吹き出した


澤田さんの見えている世界は楽しそうである


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