血味泥交差点。
「ご馳走様」
「ありがとうございましたあ」
――GARARARA――
女独りも関係無く、地元の中華屋【味ん味ん】で締めのラーメンを済ませた私は、幸福感に包まれたお腹に手をあて少し食べ過ぎた事実に罪悪感を感じて幸福感が少し減る。
減った幸福感にプラスを考え、家路までの徒歩に負荷を加えて減量を図り、罪悪感を消して幸福感の中で眠ろうと汗を流す事にした。
少し膝を高く上げての歩きに、時折胃から噴き上がるガスには焼餃子のジューシーな具材から香菜が顔を出す。
ラーメンで締めた筈なのに、先に食べた焼餃子が『お前、俺も食っただろ!』と、鼻腔に語りかけているようで満腹感に食べた記憶を再認識させられる。
前から来る人の気配に可笑しな歩きをやめるが、その風貌には違和感しかない。
洒落たバーでの二杯の帰途に一度は帰宅したものの飲み足りず、家飲みするも締めが欲しくて出て来た私に他人の服の事など言えた義理ではないが、その格好は……
街道沿いでチャイニーズドレスを着て出歩く女が本当に居るとは、国際化の波なのか? いや、漫画アニメかコスプレの波だ!
青になり、渡って来る女は背の高さからか大人びて見えるが二十歳前か?
やけにそれが似合うのは……
「スマン!」
その、とても日本人ではないだろう物言いからも伝わる中華の匂いのせいか?
唐突に話しかけられ戸惑う、いや、しどろもどろな私がアホ面で聞き返した事に、質問を始めた中華娘。
「ミンミン何処行く?」
なるほど、流石は中華娘。私も絶賛の味ん味んの味の確認に、遂には本場からやって来たか?
「ああ、味ん味んはこの道の突き当りを左に曲がったら左に看板が見えるよ。あ、もうすぐ閉店だから急いだ方が良いかも!」
身振り手振りでも伝えた筈だが、眉間にしわを寄せ何かの確認か中華娘は私を指して口を開いた。
「お前ミンミン、銃、死、ヤクザ喰らう、今夜」
「……は?」
私は南野実希。昔確かにそんなあだ名で呼ばれた事もあるけれど……
「ミンミン何処行く?」
「いや、私、もう食べたから帰ろうかと……」
記憶を巡るも思い出せない目の前の顔に、締めのラーメンで締めきれていなかったのかと、酒を疑い酔った頭が余計に酒を回す。
「銃死、ヤクザ喰らう、今夜」
何故ヤクザに銃殺に、中華娘も何者か?
今夜で最後なら、考えるのも無駄に思えて……
「はぁ、マジかぁ……」
「ミンミン、何処行く?」
中華娘の眉間のしわが更に更にと増えて行く……
私は意識が薄れてく。
読み解けず、何だコレ? で終わられてもなので一応までに解説を。
『血味泥交差点。』のタイトル通りの話なのですが……
南野実希は味ん味んの場所を聞かれるも酔った頭に身振り手振りもしどろもどろで伝わらず、中華娘の話にヤクザに殺される血みどろの銃撃事件を想像した。
相手の中華娘も日本語はあまり解らず、友人か誰かに言われたのか
「お前、味ん味んのジューシー焼餃子喰らって来いや!」
これを、中華娘は耳に聞こえたがままを言い続けたばかりのやり取りに、泥酔に勘違いを拗らせて行く南野実希。
血=血みどろの銃撃事件
味=味ん味ん
泥=泥酔
つまり……
これは南野実希が酒に溺れ、聞き間違えを拗らせ幻惑する話。
解った処で、もう一度読み直してみると南野実希が相当に泥酔していると判る筈です。
途中までは合っていたのに……
選考に読んでる頃は忘年会。
選ばれたなら読まれる頃は新年会……も佳境を迎えてるかもですが。
酒は飲んでも飲まれるな! です。




