僕は君の瞳を見れば、君の“すべて”が見えるんだよ。
僕には、特殊能力が備わっている。
普段の生活では支障ないが、、、。
意識した人や特別な感情を持っている人など。
相手の眼を見れば、何でもその人のすべてが見えてしまう。
その人の、過去や今現在、苦労していた事や嬉しかったこと。
過去のトラウマまで何でも見えてしまう。
人には、“隠しておきたい秘密もある”それが僕には見えてしまうのだ。
勿論! 相手の人には何も言わない。
それが、いいんだと僕なりに経験して感じたからだ。
僕は、物心つく頃からこの能力を持っていた。
母親には、僕が話ができるようになった頃から無意識に話して
いたらしい。
『ンマンマ、アブナイ! イタイ、イタイ!』
『えぇ!? どうしたの? 眠いの武蔵?』
【ドスーン、ボンッ、】
『イタタタタッ、誰よ! こんなところに花瓶置いたの?』
『ンマンマ、ンマンマ、』
僕は、母親の身に危険が迫っている事を伝えていたのだ。
でも、それが分からない母親は既に危険な目に遭っていた。
まあ、大したケガでもないのでここまではよかったのだろう。
・・・でも? 僕が小学校5年生の時。
父親が夜11時過ぎに、仕事から帰って来た。
僕は二階の自分の部屋から喉が渇いてキッチンに行く途中
家に帰って来た父親と眼が合った。
父親は、僕の顔を見るなりこう言った。
『こんな時間まで起きてないで、早く寝なさい!』
『・・・・・・』
僕には、父親が家に帰って来るまで何をしていたのか
見えていたのだ。
仕事は、定時の夕方17時に終わりその後、若い女性と
父親は嬉しそうに○○ホテルに向かっていた。
母からその頃、携帯に電話があったが【残業で遅くなる】と
言って電話を切る。
その後は、、、。
父親は、若い女性と○○ホテルに4時間ほど一緒に居て。
○○ホテルから二人で出てくると? 今度は二人で晩ごはんを食べ
に割烹料理に消えて行く。
その後、家に帰って来た父親と僕が玄関先で出くわす。
僕はその日、見た事を母親に正直に話してしまった。
・・・その数日後。
二人は、【離婚】してしまう。
父親は僕の顔を見て、こう言った。
『なんて、出来の悪い息子だ! 俺の行動を盗み見るバケモノめッ!
お前なんか、俺の息子でもなんでもないわ! アイツに着いて面倒で
も何でも見てもらえばいい! 俺は、一生! お前とは会わん!
こんなバケモノ、俺の息子でもなんでもない!』
『・・・と、父さん、』
『二度と、俺を父さんと呼ぶな!』
『・・・・・・』
僕はあの時、“大事なモノ”を失ってしまった。
僕が、この能力で見たモノを母親に教えたせいで家族が壊れてしまった。
父親は僕を、“バケモノ”と思っている。
この能力を使って、幸せになる事はできないのか?
僕は、今も模索している。
僕は、母親に引き取られて10年の月日が流れた。
僕も20歳になり、母親の元から離れ一人暮らしを始める事にした。
その頃の僕は、例え相手のすべてが見えても何も見なかった事として
黙ってる方がいいと思っていた。
『・・・武蔵! 貴方も分かってる事だと思うけど? 貴方のその
能力は誰にも知られてはダメよ! いいわね、約束してちょうだい!』
『分かってるよ、母さん! 僕もちゃんと学習したからさ!』
『そう、それなら大丈夫ね!』
『あぁ!』
*
・・・僕はこうして、一人暮らしを始める。
最初は、バイト先を決めて! 家賃だけでも稼げる仕事に就いた。
僕のバイト先は、夜中のコンビニ、昼はレストランで料理を作り
朝は新聞配達を始めた。
毎日、慌ただしい時間だけが流れる。
僕の特殊能力のせいで、僕は女性と付き合った事がない!
だから、僕と同年代の女の子を見ても、恋愛対象として見る事は
なかった。
でも、夜中のコンビニに必ず同じ時間に来る女性の
お客さんがいた。
彼女は、どうやら? 水商売の仕事をしているのだろう。
少し派手な服を着ている。
それに、彼女の体のあちこちにアザのようなモノが見えた。
僕は、次第にその女性の事が気になり。
彼女の眼を見て、彼女のすべてを見てしまう。
彼女には、まだ幼い子供が一人いて、旦那に毎日のように殴られていた。
寝る事も許されないほど、殴られ蹴られる生活。
そのうち、女性の旦那は、幼い我が子にまで手を出すように
なっていく。
明らかに彼女は、【SOS】のサインを出しているのだが...。
ただ、誰も助けてくれない為、ひたすら耐えているのだろう。
僕は、今まで言わないようにしていた言葉を彼女に話しかけてしまう。
『そんなに辛いなら、僕が助けてあげようか?』
『えぇ!?』
『旦那に、DVされてるんでしょ?』
『・・・・・・』
『まだ、子供だって小さいのに、』
『・・・な、何故? そんな事が分かるの?』
『・・・あぁ、アザだよ! それ? 怪我じゃないでしょ!』
『・・・・・・』
『どうするの? 助けてほしいの?』
『・・・・・・』
『まあ、僕はずっとここに居るし! よく考えるといいよ。』
『・・・ううん、ありがとう。』
『あぁ、別にいいよ。』
彼女は、今も僕が居る夜中のコンビニに一人で来るけど...。
まだ、結論が出せないでいるみたいだ。
僕も、根気よく待とうと思う。
彼女の意志が、はっきりしていないのに僕が勝手に彼女や子供を
救うことなんかできないよ!
・・・それに、彼女が僕に言ってくれたんだ。
旦那と離れる事ができたら? 僕と彼女と彼女の娘と3人で一緒に
暮らしたいって!
僕は彼女の、“助けて”という言葉をずっと待ち続けている。
3人で、幸せな生活が出来るように。
この僕の能力が役立つ日がくるまで、ずっと君を待ってるよ!
最後までお読みいただきありがとうございます。




