卒業式と入学式
この物語は、中学生になった僕の話をメインとして進めていこうと思う。
生きたりだけど、僕はデュシェンヌ筋ジストロフィーを患っている。この病気は筋肉を上手く作れず、筋肉が壊れる速度に回復する速度が間に合わずにだんだんと身体能力が下がっていく。それは僕が2歳の時に判明し、16になった今は完全に車椅子生活をしている。
車椅子に乗り始めたのは小学5年生だっただろうか?
当時は車椅子に乗るのが恥ずかしくて乗りたくなった覚えがある。しかし、思い返せばいじめが嫌で目立ちたくないという気持ちの延長線上で恥ずかしいと思うようになったのだと思う。
そして、そんなことを誰にも言えないまま1年が過ぎ卒業式を迎えた。やっといじめから抜け出せると素直にそう思ったのは、ちょうどこの日だった。
だけど、その日は泣いた。
というのも、5、6年生の時に上下の移動(階段の昇り降り)をずっと手伝ってくれたり、学校での生活が楽になるようにと色々なことを考えてくれていた担任の先生が僕の目の前で号泣し始めたからだ。ただ、つられて泣いたのか感謝の気持ちが溢れてきたのか分からない。
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そして、遂に中学校に入学した。
思えば、入学式の時からたくさんの奇跡が起きていた。
入学式の日の何日か前に両親と一緒に一度中学校に来た。あとから知ることになるのだが、僕の担任の先生になる人がメインとなって僕の移動の補助をしてくれることになり、車椅子の勝手とトイレでの補助の仕方の確認などをする為の日だったらしい。
そして、入学式。
僕の行く場所、つまり、みんなで言う入学式で座る席へは自分で車椅子を操作していく予定だった。
しかし、まさかの僕が思っていたよりみんなの歩く速度が速いという事態に直面した。その事態に気づいたのは幸いにも体育館への入場準備で体育館入り口前に並んでいるときだった。ただ、気づいたのは良かったが超絶人見知りだった僕は誰にも言えず前の2人が行ったら次は僕が入場するという場面になった。ここまで来ると周りには先生はいない。しかも出席番号的には男子の最後から2番目という位置。
そして、文字通り直前に後ろの男子に聞こえるか聞こえないかぐらいのちいさな声で「席まで教えもらってもいいですか?」とお願いしたところ、驚いた様子で了承してくれてとりあえず一件落着した。
この時の僕は顔が真っ赤になるくらい一杯一杯になっていて、さらに超絶人見知りの状態で初めてあった人にお願いするという当時の僕としては信じられない状況だった為、とても恥ずかしい思い出となっている。