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Festival in Crime -犯罪の祭典-  作者: 柿の種
Season 1 第3章 オンリー・ユー 君だけを

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Episode 13


--第二区画 第二階層ダンジョン 【決闘者の墓場】4F

■【偽善者A】ハロウ


階段を降りた先。

そこは、今までのカタコンベのような場所とは世界が違っていた。

煉瓦で組まれた壁や、しっかりとした木製の扉。

何やらアイテムが入っていそうな木箱まで置かれていて、突然違うダンジョンや建物の中に飛ばされたのではないか?と思うくらいには雰囲気が違う。


私達が降りてきたこの部屋……小部屋のようになっている部屋には敵は居らず。

少しだけ張っていた肩から力を抜いた。


これまでは薄暗かったダンジョン内も、この4Fからは壁に吊るされたランタンによって昼間のように明るく。

視界の隅にフェードインした階数表示がなかったら、同じダンジョン内だとは思えなかっただろう。


「やけに雰囲気がガラっと変わったわね……?」

「何かありそうだねぇ。スケルトンが出てくるかも怪しいかな?」

「一応こっちで感覚系強化しておくんで、索敵は任せてください」


初見の階層であるために、いつも以上に慎重に、罠などが仕掛けられていないかを確かめながら。

私とCNVLが先頭に、小部屋から出て進んでいく。

部屋から出るとちょっとした通路になっているのか、部屋の中と同じように煉瓦造りの壁などが嫌でも目に入る。


「敵はいない……わね」

「そうだねぇ。とりあえず行こうか。……マギくんどうだい?何か居そう?」


自身の薬によって、聴覚を強化しているマギに広域の索敵を任せつつ私達は何が来てもいいように警戒だけはしっかりとしておく。

酔鴉に聞いた話だが、オリエンスの方では壁の中からプレイヤーへと攻撃を行ってくるモブもいるそうで。

オリエンスのダンジョンにいて、デンスのダンジョンに居ないとは言えないためいつでも動けるように待機しているのだ。


「……いますね、この先曲がった所に何かでかいのがいます。スケルトンとかと違って呼吸のような事をしてる音も聞こえますね」

「生物系かな、どうする?」

「とりあえずで倒しましょう。ただメアリーとマギは温存、私とCNVLだけでやってみるわ」

『大丈夫?(´・ω・)』

「私は兎も角、CNVLが居るから大丈夫よ。生物系ならある意味特攻みたいな子だしね」


例外があるにせよ、CNVLと生物系のモブの相性はかなり良い。

なんせ、一度でもその身を喰らう事ができれば、回復するわ強化もするわ、突然大量の武器を取り出すわと、どこかのなろう系主人公かと言いたくなるくらいにはハッスルするのがCNVLなのだ。

そんな彼女をサポートするように動けば、その分早く戦闘は終わる。

当然だ、こちらは動かしたい駒が縦横無尽に動き回り、相手は動かせないのだから。


私とCNVLはそのままマギに言われた方向へとゆっくりゆっくりと進んでいく。

私達は感覚強化系の薬を使えないし、そもそもバフを乗せたとしても詳細な敵の位置など分からないため、出来る限り慎重に進んでいるのだ。

そして、マギの指定したポイントまで到着し何が居るのかと確認してみれば、


「わぉ」

「……でかぁ」


そこには巨大なゾンビが1体存在していた。


--グレーターゾンビ--


今まで私達が相手にしてきたゾンビは、一部を除けば基本的には人型の……それこそ大きくても成人男性くらいの大きさだった。

しかしながら、このグレーターゾンビはそれよりも一回りは大きく。

異常に大きく発達した右腕が目を惹いた。

その腕が上へと上げられ、


「散開ッ!」


私達が立っていた位置へと振り下ろされる。

咄嗟に声を出し、CNVLとそれぞれ左右に飛ぶ事で紙一重で避けたものの、床の砕けた衝撃によって私達は自分で飛んだ以上に吹き飛ばされてしまう。


何とか身体を起こしながらグレーターゾンビの方を見てみれば、のっしのっしとこちらへと向かって歩いてきていた。

走らないのには何かしらの理由がありそうだが、今はそれを考えている暇はなく。


インベントリからハサミを取り出し、杖のようにして立ち上がりながらグレーターゾンビをしっかりと観察する。

異常に発達した右腕以外は、単純に大きくしただけのアクターゾンビのように見えるその姿は、言ってしまえば対策さえ何とか出来れば簡単に倒せそうには思えた。

しかし、その対策すべき内容が問題で。


「あはッ、これは流石に面倒だなぁ!」

「メアリーには手伝ってもらった方がよかったかもしれないわねッ!」


体勢を立て直し、攻撃を仕掛けた私達の事を右腕の一振りだけで牽制、そのまま床に叩きつけることで距離を強制的に離させるという巨大な敵モブがやりそうなモーションを全部やってくれる。

基本的に近接系の武器しかもっていない私達はそれをやられるだけで近づくことが出来ず、どうしたものかと考えながらパーティチャットを音声入力で開きながら、


『あー、状況は分かってるわよね?』

『えぇ、分かってますよ。どうします?メアリーさんだけじゃなくて僕も行った方が良さそうですか?』

『いえ、マギは何かあった時用に待機で。メアリーはこっちに来て戦闘に参加、悔しいけど流石に純粋な暴力で近づけないのはどうにもできないわ』

『りょ!('ω')ノ』


そんな指示を出しながら。

私はどうやったらこの強大なゾンビをソロで倒せるか考え始めていた。


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― 新着の感想 ―
[一言] ゾンビなのに呼吸音が聞こえたのか
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