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Festival in Crime -犯罪の祭典-  作者: 柿の種
Season 1 第3章 オンリー・ユー 君だけを

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Episode 12


--第二区画 第二階層ダンジョン 【決闘者の墓場】 3F

■【偽善者A】ハロウ


カーンという小気味良い音が連続して響く。

その音の中心、そこで私は踊るように……舞うように双剣を振るう。

所々で使ってはいたものの、きちんと使うのは酔鴉との決闘の後ではこれが初だ。


あの時の身体の動かし方を薄っすらと思い返しながら、周囲のスケルトンやドッグ達に対して攻撃を仕掛けていく。


このモブ達にはフェイントは要らない。

どうせ引っかからないから。

PvPではなくPvEであるが故の動きの違い。それをアドリブで修正していく。


ほぼ同時に3方向からこちらへ攻撃を仕掛けてくるスケルトン達に対し、少し後ろへと跳ぶことによって直撃を避け。

着地の瞬間を狙ったのか、駆け寄ってきていたドッグに対して右の剣を盾のように扱い、その鋭いかぎ爪を防御する。


私の方に来ているのは現状この4体のみで、残りはCNVLの方か戦場の後方……つまりは遠距離攻撃メインや支援メインの前に出ないタイプのスケルトンしかいない。

CNVLに関しては、蹴散らしながら前へ……つまりは相手の後衛の方へと進んでいっている為に、スケルトン達が殺到しているのだろうが。


ちら、と私よりも前の方で戦っているCNVLの方を見てみれば。


「あはッ!あはははッ!!」


高笑いを上げながら、周囲に散らばった武器を使いスケルトン達と戦っている。

CNVLがスキルによって強化された身体能力を無駄に使い、インベントリから取り出した骨をそのまま砕けば。

何もない虚空から噛み砕いた骨の本数と同じ量の様々な武器が出現した。


剣に始まり、こん棒やハンマー、更には弓や杖などと言った武器が音を立てながら落ちていく中、スキルの効果時間が切れたのか光となって消えていく武器も存在し。

薄暗いこのダンジョンの中でも一際目立つ戦闘風景を作り出していた。


そのおかげか、はたまた自身の【犯罪者】の所為かは分からないものの、ある程度相手をする数が減っているのは有難い。

CNVL自体がこの状況を狙ってやっているのかは怪しいものの、私がある程度自由に動けそうな環境になっている現状、それを何とか利用しない手はない。

……じゃあまずはこいつらを倒さないとね。


しかしやるならやるで、今現在も攻撃を仕掛けようとこちらへと近づいてきていた、先ほどから相手にしている骨達をどうにかしなければならない。

ふぅ、と少しだけ息を吐き。

戦いが始まった時とは違い、随分と分かりやすくなったものだと笑う。


「じゃあこっちも攻勢に出ましょうか!」


私へ近づいてきていたスケルトンによって振るわれた剣を最低限の身体の動きだけで避け、その細く白い腕を力強く斬りつける。

スケルトンの身体は、その見た目から受ける印象よりもかなり頑丈なためこの程度では折ることも、斬ることもできないものの。

その手に持つ剣を落とさせることは出来た。


次いで。

私の後ろから仲間ごと圧し潰そうと、ハンマーを振り下ろしているスケルトンの攻撃を横に飛ぶ事で避けつつ。

回し蹴りをその胴体に当てることで、バランスを崩させ。瞬間、無防備となった頭蓋骨へと両手の剣を刺し破壊する。

……私がやらなくて済んだわね。


ハンマー持ちのスケルトンと、先ほど相手にしていた剣持ちのスケルトンが光へと変わっていくのを横目で見つつ。

こちらを観察しているのか、警戒はしているものの突っ込んでは来ないこん棒持ちのスケルトンとスケルトンドッグへと向き直る。

私が攻撃を仕掛けようとすれば、こん棒持ちがこちらを抑えつつドッグが私を攻撃するという流れになるのだろう。実際、私を抑えられるほどの技量をこん棒持ちが持っているかという問題はあるものの、私1人を仕留めるならばそこまで問題にはならない程度のものだ。


しかし、彼らは確実に忘れている……というよりは見えていないのだろう。

私は1人でここに居ても、1人で戦っているわけではないという事を。


『行くよー!即席聖なる爆発ボルトの試射会だ!(゜д゜)!』


私の左右の耳に風切り音が連続して聞こえたかと思えば。

隙を伺っていた2体の身体が連続して爆発を起こす。

メアリーによる射撃だろう。援護射撃とは言えないほどに威力の高いそれは、マギが何か手伝ったのか白い光を伴いながら爆発を起こし、2体へ少なくはない量のダメージを与えていく。

爆発による煙によって2体が見えなくなる中、ログにスケルトンのドロップ品が追記され。


それと同時、煙の中からスケルトンドッグがこちらへと向かって飛びかかってきた。

……いや、違う。狙いはメアリーかしら!


恐らく今の攻撃でヘイトがメアリーの方へと傾いたのだろう。

目の前にいた私をスルーし後方……メアリー達のほうへと向かっていくスケルトンドッグに対し慌てずに、


「【虚言癖】」


私へと強制的にヘイトを向かせるスキルを使用した。

瞬間、スケルトンドッグの動きは止まる。

私とメアリー達の間という最悪のポジションで止まった骨の犬の末路は言うまでもないだろう。




暫くして。

私達の戦闘は終了した。

最初想定していた程の被害は出ず、マギの薬の在庫も私のHP回復と途中メアリーが使った『即席聖なる爆発ボルト』なるもの以外では使わなかったようで、そこまでの消費はなかった。


「メアリー、アレってどう作ったの?聖なる爆発ボルトっていう奴」

『あれは、元々作ってあった爆発ボルトに、マギくんの持ってた聖水を合成したら出来たんだよ('ω')なんでマギくんが聖水なんて持ってたのかは知らないけど(;^ω^)……』

「単純に回復薬とかで使うからです。変な意味とかはないです。誤解です。……ほら、先輩!口元にやにやしながら小声で『うわぁ……』とか言わない!」

「成程ねぇ。まぁマギの趣味はこの際良い「良くない!」――良いとして。とりあえずアレ、次の階層への階段よね?」


かなりの距離を逃げながら移動していたため、現在私達がいる場所が割とあやふやなのだが……運が良いのか悪いのか、私の指さした方向には次の階層である4Fに繋がる階段が存在した。

ここまで長かった、と思いつつ。

急がば回れ、休憩大事に、まだ行けるは死神の甘言という言葉に従って、私達は一度休憩を挟んだ後に4Fへと移動することにした。


「そういえば良くハロウが言ってるその言葉って誰の言葉なんだい?恥ずかしながら浅学でね、良かったら教えてもらえると嬉しいな」

「ん?あぁ、『まだ行けるは死神の甘言』とか?」

「そうそう、それ」

「私の言葉よ。私が聞いたことある言葉を勝手にアレンジしてるだけ」


その話をした時のCNVLの『何言ってんだお前……』という顔は当分忘れられそうにない。


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