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Festival in Crime -犯罪の祭典-  作者: 柿の種
Season 1 第3章 オンリー・ユー 君だけを

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Episode 5


--第二区画 第二階層ダンジョン 【決闘者の墓場】 1F

■【偽善者A】ハロウ


勢い良く、目の前の盾に当たるようにハサミを大きく横から振るう。

狙い通り当たったそれは盾を持ったスケルトンの体勢を大きく崩させ、


「ふんッ」


直後、その無防備となった頭へと新調したブーツによって踏み砕くとそのまま光へと変わっていく。

しかしながらこれだけで戦闘は終わらない。


「タンク役消滅!」

「了解!アタッカーはもう少し!後ろの支援任せたよ!」

「了ッ解!」


CNVLからの報告を聞きながら、私は一気に足を動かして今もスケルトン2体相手に危なげなく立ち回る彼女の横を通り過ぎ、その後ろにいる杖を持ち神父のような服装をしたスケルトンへと肉薄する。

……早めに処理してメアリー達の方の援護に行かなくちゃ。


現在、【決闘者の墓場】の1F……入口から少し進んだところに存在した少し広めの空間……体育館よりも少し狭い程度の広場にて、私達のパーティは戦闘を行っていた。

相手は3パーティ……大体15から14体ほどのスケルトン。

既に1パーティを壊滅させ、数もそれなりに減っているものの、それでも私とCNVLだけが直接の対処を行うには多すぎる数だったために、普段は後方から支援をしてくれているメアリーとマギも直接戦闘に関わるという形で戦闘に参加していた。


と言っても、彼女らの【犯罪者】は戦闘向きのモノではなく。

生産や支援、補助の方向へと特化したからだろうか。以前よりも戦闘への対処能力は下がっていた。

一応は2人でそれぞれを補い合うように戦闘をしているようだが、それがいつまで続くかも分からない。

そんなわけで私とCNVLは少し急ぎながら、されど雑にはならない程度にスケルトンたちを処理していった。


「甘い!」


近づいてきた私に対応しようとしたのだろう。

神父のような姿をしたスケルトンは、その手に持つ杖に暗い光を灯しながらこちらに先を向け、何かを放ってこようとしているが、それよりも早く私は近づいて。

【HL・スニッパー改】によってその杖ごとスケルトンの身体を挟み、切断する。

瞬間、暗い光を灯していた杖がその内に込められていた魔力を暴走させたのか爆発を起こしたが、強化された防具のおかげかそこまでHPの減少はなかった。


「ハロウ!?」

「こっちは大丈夫!終わったからメアリー達の援護に回るわ!」

「オーケーオーケー!こっちももうすぐ終わる!」


神父スケルトンが光へと変わるのを横目で確認しつつ。

CNVLの心配する声に返事をしながらも、その場で反転し私達の戦場に影響が出ないように離れた位置で戦っているメアリー達の方へと走り出す。

……あぁもう!これだからスケルトンとの戦闘は面倒なのよ!


内心愚痴りながらもその足は止めず。

自身のスキルによって強化された身体能力によって、数秒と掛からず仲間達の戦う場、その中心に辿り着く。

残りの数は3。元は4体居たはずなので、2人で1体は倒してくれたということだろう。


私が到着したのを見て、必死そうな顔をしていた2人は助かったと言わんばかりの安堵を見せつつも、その動きは鈍らない。

私も私で、このまま彼女らにヘイトがあっては厳しいだろうと最近練習し始めたちょっとしたテクニックをスケルトン達へと使っていく。


「待たせたわね、【虚言癖】!」


言葉は一度。しかしその効果は3体に。

私の使った【虚言癖】によって、強制的に私へとスケルトンたちのヘイトが集まり、メアリー達から視線が外れ。

自由となった2人はいつも通りの仕事……私の支援という仕事に戻るために少し距離を取り始めた。


私がやったこと。

テクニックとは言ったものの、意識すれば出来た事。

それは単純に、【虚言癖】の複数対象への使用だ。

元となった【ディア・ボス】の効果文は『指定対象にターゲティング効果』というもので、どこにもその対象が1体とは書かれていなかった。

しかしながら、今まではどちらのスキルも1体相手にしかその効果を使用していなかったために、それらが複数の対象を選択することに気が付いていなかったのだ。


私は複数の相手……現在残っているタンク役、アタッカー役、ヒーラー役のスケルトンを相手にしやすいように、手に持っているハサミを分裂させ双剣として両の手に持ち。

動かない私を隙だらけと見たのか、手に持つ剣で切りかかってきた剣士風のスケルトンに対応する。


左の手に持つ剣で上から振り下ろされる一撃を防ぎ、盾を使って私の体勢を崩そうとしてきた騎士風のスケルトンを右の手に持つ剣で防ぎ。

先程の神父スケルトンのように、暗い光を杖に灯らせたローブを着たスケルトンにはその頭に鋼色の矢が突き刺さり急速にそのHPを減らしていき、最終的には光と変わっていった。

メアリーのボウガンによる援護だろう。


ありがたいと思いながら、自分の近くに存在するスケルトンたちを一度距離をとらせるべく、腕に力を入れ。

今もなお私へと攻撃を届かせようと力を入れているそれらを押し返すようにして、強制的に自分から離れさせる。


その瞬間。

アタッカーの方へ、加速した何かがぶつかって。

弾かれたかのように、その方向にあった壁へと吹っ飛ばされていく。


「あは、ごめんね少しだけ遅れちゃった」

「いえ、いいタイミングよ。ありがとうCNVL」


何かとは言ったものの、その正体は分かりきっていて。

恐らくスキルによって強化された身体能力によって放たれた蹴りかなにかによって、相手を吹き飛ばしたのだろう。

ズザザ……と地面を滑りながらもこちらへと笑いかけてくるCNVLに、適当な返事を返しつつ。

パーティの攻撃役が揃った現状。たった2体のスケルトンに苦戦するわけもなく。

その後は順当に戦闘は終了した。



「いやぁ、ごめんねぇ。流石にあの量だと私とハロウじゃ抱えきれなくて」

『大丈夫!マギくんもいたし何とかなったよ!('ω')ノ』

「趣味で作ってた筋力強化薬とかを使う事になるとは思いませんでしたよ。在庫増やしておかないと……」


戦闘後、互いに色々と言い合いながらもこの場が安全かどうかを確認し、そのまま小休憩をとることにした。

攻略を開始して数十分ほど経ってはいるものの、進捗はどうかと言われると芳しくはない。


「やっぱり出来る限り戦闘は避けた方が良さそうよね……」

「まぁねぇ。スケルトンたちのアイテムからのスキル効果、あんまり有用でもないし」

「あー、刺突耐性が上がるとか言ってたわね」

「そうそう。確かに耐性付くのは便利なんだけど、私の戦闘スタイル的に合わなくてね。避けられるなら避けていきたいかな」


他の2人も同じようで、出来る限り避けるということで方針が固まった。

これでどこまで攻略速度が上がるかという所ではあるものの……それでも、後方支援の2人を前線で戦わせねばならない状況が複数回あるよりはいいだろう。

方針が決まったことで、休憩を終わりにし歩き出す。

目指すは2F、それに繋がる階段を。


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