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Festival in Crime -犯罪の祭典-  作者: 柿の種
Season 1 第3章 オンリー・ユー 君だけを

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Episode 3


--浮遊監獄都市 カテナ 第二区画 デンス 第二階層

■【偽善者A】ハロウ


製作者(CNVL)へのフィードバックがある程度終わった頃。

その間ずっと撫で続けていたメアリーが唐突に顔をあげ、辺りを見渡し始めた。

今もローブを頭から被っているために見づらいものの、その顔は驚きに染まっている。


『あれ?ここは?(´・ω・)』

「あら、やっと周囲に気が付いたのねメアリー」

「あは、決闘もしてたし結構な音もなってたはずなんだけどねぇ」

『え?あれハロウ?('ω')??』


少し混乱している様子のある彼女へ、私とCNVLがある程度の説明を行い。

CNVLが工房から連れ出した理由を話し出した。


「まぁ、悩みすぎても仕方ないからね。気分転換にー……って思ったんだけど」

『あー……ごめん(´・ω・)全く気が付いてなかった(;´Д`)』

「だろうなぁとは思ってたよ。一応了承は取ったんだけどね?」


CNVLが言うには、外に出る際に声を掛け、メアリーがそれを了承したため連れてきたとのこと。

恐らく空返事していたのだろうが、少し集中しすぎだろう。

彼女はそれから私の方を見て、ここ1ヵ月の間に少しずつ見せてくれるようになってきた笑顔を向けながら、


『あぁ、でも安心して!('ω')!防具の新調の目途立ったよ!』

「本当?それは嬉しいけれど、しっかり休むのよ?無茶だけはダメ」

『分かった!(*‘∀‘)』

「それならいいわ、頑張ってね。私の事は気にせずに遅くなっても構わないから」


メアリーはそう言った。

だが、精神だけとは言え疲れはするこの世界で、無茶だけはいけないときちんと釘は刺しておく。

しっかりと返事をしてくれたため、もう一度だけ頭を撫でた後に私はベンチから立ち上がる。


CNVLと話し合っている時に、この後に【決闘者の墓場】に運動がてら行かないかという話題も出ていたのだ。

私は酔鴉との決闘で掴みかけていた双剣の感覚を、CNVLは単純に座りながらの作業がここ最近多かったために。

そんなわけで二人してメアリーに別れを告げ、決闘場の方へと向かって足を進め始める。


「あ、そういえば今日マギは?」

「マギくんは今日は居残りだね。今日提出する課題を出すの忘れてたとか何とか言ってたよ」

「大変ね、学生も」

「あは、半ばニートみたいな生活をしてるお姉さんから言われると煽れてるみたいだぜ」


適当な事を話しつつ。

既に慣れた手順で決闘場の中へと入り、ダンジョンの入り口がある方向へと歩いていく。

一応は昔からあるはずの決闘場は手入れがきちんとされているのか、石造りの建物内部を見ても汚い部分はパっと見た程度では汚い所は見当たらない。


そうやって奥に進んでいけば。

下へと続く階段が存在し。その周囲にはデンス所属であろうプレイヤーが数人集まってミーティングのような事をしていた。

近づくとこちらに気が付いたのか、皆が皆何かしらの挨拶を返してくれる。

その中にはやはり私の事を『リーダー』と呼ぶ声も当然あって。


「私はリーダーじゃないって言ってるのに……」

「もう結構広まっちゃったし諦めた方が早いと思うよ?特に掲示板じゃハロウがまとめ役って認識の人のが多いみたいだし」

「私がやったのだって割と誰でも出来るような事なんだけど……はぁ、まぁ言ってても仕方ないわね。とりあえず行きましょうか」


そう言って、久々の2人パーティでダンジョンの入り口である階段の目の前へと立ち。

それぞれの得物を持ってその階段を下りていく。

私は【HL・スニッパー改】を、CNVLは【菜切・偽】を。

……思えば、最初に【劇場作家の洋館】に挑んだのもCNVLとのペアだったわね。なんだか懐かしいわ。

そんな事を考えながら、暗闇の中を下りていけば。


--第二区画 第二階層ダンジョン【決闘者の墓場】1F


視界の隅にそんな文字が出現し、私達は明るい広場のような場所へと出る。

周囲は石造りの迷路のようになっていて。所々石が剥がれ、土の壁がむき出しとなっている場所も存在する。

海外に存在する、集団埋葬場所であるカタコンベ。

それがこのダンジョンを説明するのに適した言葉だろうか。


入口である現在地点から少し離れればここの住人……いや、埋葬されたであろう元人のスケルトンが出現し、こちらへと襲い掛かってくるこのダンジョンは、今だ私達のパーティも3F以降にたどり着けていないデンスの攻略最前線だ。


「今日もやりますかーっと。どうやって進んでく?」

「そうねぇ……とりあえず動きの確認とかが目的だから、スケルトンを見かけたら喧嘩を売るってスタイルで行きましょう」

「いいね、そっちのほうが私達向きだ」


簡単に作戦会議を終了し。

私達は奥へと進んでいく。

きちんとした攻略自体は他のパーティメンバーの2人がきちんと揃った時に。

今回はあくまでも確認を目的に。




「ハロウ!そっち行った!」

「了ッ解!」


右に持つ剣を振るい、左に持つ剣で近くのスケルトンから振るわれた剣を受け止める。

そしてCNVLの方へと顔を向ければ、確かにこちらへと走ってくるスケルトンが2体ほど。

……あぁ!もう!単純に数が多い!

近くにいたスケルトンたちを押し返し、近づいてきたスケルトンへと対応する。

これが(・・・)このダンジョンの厄介な所だ。


正直な話、私達のパーティの練度ならばこのダンジョンの敵……スケルトン程度ならばあまり苦戦はしない。

では何故攻略が進んでいないか?答えは簡単だ。


「本当に厄介ね……パーティ組んで(・・・・・・・)襲ってくる(・・・・・)のは!!」


そう、スケルトンたちはプレイヤーを真似してか、それとも生前の記憶でも残っているのかそれぞれ役割分担をし、大体4~5体ほどの集団で襲い掛かってくるのだ。

前衛であるタンク役、遊撃のアタッカー役、後方支援のバッファー、ヒーラー役とその割り振りはその時々で変わるものの、大体はそんなふうに分かれていて。

それぞれの役割に沿って装備もしているために、単純に相手にするのが大変なのだ。


第一階層と第二階層の違いということだろうか。

【劇場作家の洋館】で行っていた私刑のような戦闘ではなく、パーティ単位での戦闘。

ある程度連携は取れているものの、相手が3~4パーティになってくると話が変わってくるというもの。


「あはッ!でもこれでここのスケルトンはラストッ!」

「そう、ねッ!」


CNVLの声に合わせるように、右の剣を振るい。

それを盾で受けたスケルトンがよろけるのを確認しながら蹴りを入れ、完全に体勢を崩させ。

その無防備となった頭蓋骨へと左の剣を突き刺し破壊する。

一瞬、神経も血も通っていないはずの身体がびくんと跳ね、そのまま光と変わっていく姿を見て何とも言えない気持ちになる。


「ふぅー……お疲れ。もう割と双剣の扱いは大丈夫みたいだねぇ」

「えぇ、無駄に戦闘できるからやっぱりこのダンジョンは『経験を積む』って意味では良いわね。それ以外は今の所嫌な要素しかないのだけれど」

「まるで何かを守ってるみたいだもんね、巡回兵みたいな」

「そうそう、それなのよ。いっちょ前にスポーンしてから警備みたいな事してるからまた面倒なのよね……」


そんな事を話しつつ。

私とCNVLはある程度自分の目標を達成したため、今日はこの辺りで解散することにした。

デスペナルティになっても仕方ないし、偉い人も言っていた。

『まだ行けるは、もう行けない』と。誰かは覚えていないが。


そんなこんなで入り口へと戻ってきた私達は、そのまま外に出てログアウトを行った。

次全員時間が合うときにダンジョンの攻略を進めよう、そんな話をしながら。


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