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Festival in Crime -犯罪の祭典-  作者: 柿の種
Season 1 第2章 【食人鬼】は被食者の夢を見るか?

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Episode 21


--イベントフィールド 【決闘者の廃都】

■【食人鬼A】CNVL


試合が終わり、元居た場所へ転移した私を待っていたのは、他のイベント参加者からの畏怖の視線だった。

それはそうだろう。死体の腕を喰らったり、対戦相手の腕を喰らったりと明らかに異常な行動をしていたのだ。

畏れられはすれど、褒められることはないだろう。


……うん、デンス所属の子は普通みたいだね……しかし、あと私含めて8人か。

そんなプレイヤー達に観察されるように見られている中。特に注視するわけでもなく、至って平然としているプレイヤーも中にはいる。

普段から私の姿を確認していたり、私が1人の時にパーティを臨時で組んだことのあるプレイヤーだろう。


それ以外でも、デンス所属のプレイヤー達は比較的落ち着いているように見えた。

デンスに居れば嫌でも上の方……私の話を聞くことがあるからだろう。

実際に見るのは初めてだったのか、それでも少しだけ緊張しているようには見えたが。

あまりいい雰囲気とは言えないものの、どうせこの内の誰かとは戦う事になるのだ。仲良くする気も特にないため、丁度いいとも言えた。

そんなぼっち思想が極まったような考えを巡らせていると。またも破裂音が空中から響く。


『よし、君たちBグループも第一試合が全員終わったみたいだな。では続いて第二試合といこう。……ここのメンバー数だと、第三試合後にラストを行う形となる。』


虚空から現れたグリンゴッツはそう言うと、こちらへと会釈する。

瞬間、私の視界はまたも歪み始める。

転移が開始されたようだ。


『転移を開始した。是非とも頑張って、観客たちを楽しませてくれ【犯罪者】達よ』



その言葉を最後に、視界は暗転する。




--イベントフィールド 【決闘者の廃都市】 駅前エリア


視界が戻った私を迎えたのは、盛大に脱線して大破している電車の姿だった。

どうやら名前の通り、駅前のエリアらしく。

バスターミナルやファーストフード店など、駅前にありそうなものが近くに存在するようだった。

そんな中、私と同じように周囲を見渡している者が一人。


「……君が次の対戦者かな?」

「んっ……?あっ、これはこれはCNVLさんですね!そうなりますね、よろしく!私はバディと申します!デンス所属ですよー!」

「あぁ、なるほど。よろしく」


声をかけ、挨拶をする。

バディと名乗ったのは、ショートカットの女性プレイヤーだった。

装備はベレー帽を被り、革のジャケットを囚人服の上から羽織っている。

武器はまだ取り出していないためどんなものを使うのかわからないが、それは試合が開始するまでのお楽しみという奴だろう。


しかしながら、相手はデンスのプレイヤー。それに加え、私の事を少なからず知っているのだ。

つまりは、こちらの手の内はバレている。

対策されているかは置いておくにしても、先程のようにスキルのため相手の身体を喰らいに行くような行動はできないだろう。


少しだけ面倒かな、と思いつつ。

それならそれで、まだ見せたことのないものを使っていけばいいだけだと笑う。

幸い未だ【解体丸】は一度も戦闘では出していないし、【菜切・偽】の真価である遠距離攻撃も発動していない。

ゾンビスポーナーの肉塊もまだ使っていないし、ナイトゾンビの腕も残っている。

ある意味では第一試合では何も手の内を公開していないのと同じなのだ。


「カウントダウンが始まってるねぇ」

「そうですねっ。胸を借りるような形で行こうと思います!」

「あは、そう言う奴に限ってそんなつもりがないのはうちの後輩でよーく知ってるんだ」


いつの間にか始まっていたカウントダウンは、既に残り10秒を切っている。

見ればあちらはぴょんぴょんとその場で跳ねながら、すぐに動けるように準備をしていた。

私は特に準備するものは……いや、1つ。

腐った肉片を取り出し、いつでも食べられるように待機させておく。


瞬間、カウントダウンが終了し。

第二試合が開始した。



「あはっ!やっぱり君胸借り気サラサラないだろう!」

「これでも一応あるんですけどねっ!」


金属同士がぶつかり合う音が響き渡る。

私の振るう出刃を、彼女はペインティングナイフで器用に防ぎつつ。

たまに絵具のようなものを使って積極的に目潰しを狙ってきている。

匂いからして、血から作られた何かなのはわかっているため、喰らいそうになったら最悪口の中に入れてしまえばスキルのコストとして使用できるかもしれない。


【菜切・偽】を上から振り下ろしつつ、空いている左手に腕を出現させて喰らう。

使うのはソルジャーの腕。やはりある程度の攻撃力がある剣を召喚できるというのは中々に便利なために、よく使ってしまう。

そしてそんな私のことを分かっているのか、彼女はそれを見た瞬間に距離をとった。


力押しされたら危ないと思ったのだろう。

事実、第一試合はほぼほぼ力押しによって勝ったようなものだ。

任意で解除できる【祖の身を我に】だからこそ出来る芸当ではあったが。


「ふぅ……君、【ゲイン】かそれから派生してる何かだろう?」

「えぇ。一応【狂画家】っていうランクアップ職ですよっ!CNVLさんの【食人鬼】と違って、戦闘向けではないですけどね!」

「戦闘向けじゃない【犯罪者】でそこまで動けるほうがおかしいぜ?……まぁ、こっちのが楽しんだけどッ!」


再度距離を詰めるため、地面を蹴る。

第二試合は中々に長引きそうだった。


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