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Festival in Crime -犯罪の祭典-  作者: 柿の種
Season 2 第5章 月を壊したかぐや姫
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Episode 14


「一応聞くけれど、【式紙】を操って襲い掛かってきてるのはあなたで合ってるかしら?」

『えぇ、そうですね。……して、それを知った上でどうされるつもりでしょう?』

「んんー。まぁ正直邪魔だから止めてほしいって言っても聞いてくれないだろうし……あなたとしても止める気なんてサラサラないんでしょう?」

『愚問ですね』


私と共に前へと出ようとしたCNVLを手で制しつつ。

私は何処にいるか分からないプレイヤーに対して話しかけた。

内容としては答えの分かりきっている問答ではあるものの……相手が明確にこちらに対して敵意を抱いている。それがはっきりと分かっただけで十分だ。


「そう。じゃあ無理矢理……いや、そうね。CNVL」

「なんだい?」

「在庫全放出で。後で手伝ってあげるから、ここで使い切っちゃいなさい」

「……おいおい、私が言うのもなんだけど良いのかい?マジ?」

「マジ」


振り向かずそう言うと、彼女は軽く息を吐いたような音を出した後に笑いだす。


「あはッ!分かった、分かったよ!ボスとかの所為で在庫は既に心もとないけれど!やろうじゃあないか!」

「任せるわ。さて、じゃあ皆は別の所行きましょうか。マギ、ディエスのダンジョンの位置ってわかる?」

「知ってますよ。案内出来ます」

『見えたら遠距離攻撃するかなぁ('ω')』

「それいいわね、やりましょう」

『ちょ、ちょっと待ってください!は?え?1人でこちらに挑むと?彼女が?』


CNVLがやる気を出し、そして私達の前へと意気揚々と出てきたのを確認すると。

少しだけ混乱している柚子饅頭とジョンドゥを連れ、マギの案内に従い移動しようとした時。

何故か慌てたような声を出しながら、【式紙】達を操っているであろうプレイヤーが声をかけてきた。


「何よ。CNVLの相手が不満?」

『そういうわけじゃなく!1人で【式紙】達と僕を相手にすると!?……見殺しにするようなものですよ?』

「……ハロウ、もしかして私嘗められてる?」


少しだけ心外そうな声と表情を出しながらこちらを見るCNVLに、私は縦に頷いて肯定だけしておく。

それを確認した彼女はいつも以上に良い笑顔を浮かべ、インベントリ内から巨大な骨の腕を取り出した。


「良いぜ、久々にカチンと来たよ。マギくんに約束すっぽかされた時くらいにはカチンときちゃったよ。ハロウ、ここは私がやるから先に行って!」

「勿論端からそのつもりよ。後から追いついて来なさい。マギ、行きましょう」

「はい、じゃあこっちでーす」

『あっ、ちょっ!本当に――』


何やら後ろで喚いているものの。

ここはCNVLに任せた方が良いと判断したために、私達はそのまま移動を開始した。

今はここに時間をかけている場合ではないのだ。



移動を開始して、少し。

今もなお襲い掛かってくる【式紙】やプレイヤー達をあしらいつつ、マギの案内に従って走っていると、柚子饅頭から話しかけられた。


「少し良いだろうか?」

「何かしら?」

「その、本当にCNVLさんを1人残して良かったのだろうか?私かジョンドゥのどちらかは残ってもよかったのでは?」

「あー……」


私達のパーティ、というよりはCNVLの事を詳しく知らないとあの場に彼女だけ残した理由が思いつかないだろう。

というか、私も私で普段ならば(・・・・・)あの場でCNVLだけを残したりはしない。


「問題ない、というよりはあのままCNVLが戦場に出てる方が問題だから置いてきたってのが正解かしらねぇ」

「戦場に出てる方が問題……?」

「ふぅん?CNVLさんのは確かコスト消費型の【食人鬼】……あぁ、成程。彼女、もう手持ちがないのかい?」


私の言葉だけでジョンドゥは理解したようで。

何やらフンフンと頷いているのが視界の隅で見えたものの、にっこりと微笑むだけにしておいた。

事実、CNVLのコスト用の素材の在庫は既に底を尽きかけている。

枯渇理由としては単純に、天使と【式紙】の戦闘に使いすぎただけではあるものの。

彼女はこの後の戦闘全てに参加できるわけじゃない。


それこそ、デンスの重要拠点でデンスプレイヤーに腕か何かを提供してもらえればその限りじゃないだろう。

だが、この場にそんなことが出来るプレイヤーは居ないために……どうせならと彼女1人で戦わせることにしたのだ。


「成る程……だが、それでも戦力不足では?多勢に無勢という奴だと思うのだが」

「あー、いや。それについては問題ないわ。寧ろあの手の輩に対しては、この場の誰よりもCNVLが前に出たほうが結果的には良いでしょうね」

「それはどういう……?」

「ふふ、教える訳ないじゃない。一応こうやって協力してるけど、私達は敵よ?普段なら兎も角、今教えるわけないでしょう?」

「あっ……申し訳ない」


大丈夫よ、と言っておく。

正直な話、調べればCNVLの情報くらいは掲示板で出てくる程度の話だし……秘匿する気が全くないCNVL側にも問題はある。

……まぁ私もそこまで隠してないけど、CNVLはそこらへん私よりも適当よねぇ。


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