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Festival in Crime -犯罪の祭典-  作者: 柿の種
Season 2 第5章 月を壊したかぐや姫
163/194

Episode 9

2本目です。


「待たせたな。賛成多数でお前達と協力することになった」

「あら、本当?」

「あぁ。……まぁそっちも予想しているだろうが、最前線で暴れてもらう事になるだろうな」

「確かにそれは予想済みね。ちなみにその決定は神酒の方に伝わってるの?」

「伝わっていないからあのカニバリストを止めてくれ」


彼の後ろにあるモニターの1つに、今もCNVLが神酒の身体を貪っている姿が映し出されているのを見て、隣でマギが深い溜息を吐いた。

メアリーに視線を移しチャットしてもらうと、モニターの方で手を止め口元を拭いながら不満そうな顔をしているCNVLの様子が見ることが出来た。

神酒の方はといえば、すぐさま安堵したような顔をしながらモニターの方へと軽く手を振っているため、カメラの位置くらいは把握しているのだろう。


「……うちのも止まったことだし、とりあえず合流しましょうか」

「……そうしよう」


こうして、ある程度私達の考え通りにソーマ……というよりはネースとの一時的な協力関係をパーティ単位ではあるものの結ぶことが出来た。

十中八九途中で裏切られることにはなりそうだが、こちらも出来る限り利用してやろう。



そんな話をしてから少し。

無事、うちの暴食担当を回収した後、私達はソーマと神酒に連れられてネースの中心周辺にある広場のような場所へと訪れていた。

私達としてはソーマや神酒から作戦を伝えられ、そのまま他のプレイヤーと関わる事なく動く事になると思っていたために……少しだけ周りに対する警戒を強めていた。

下手すれば今この瞬間にネース所属のプレイヤーに攻撃され、殺される可能性もあるのだから。


「で、そろそろなんでこんなところに連れてきてるのか教えて欲しいのだけど?」

「こちらとしては、一応同じ最前線で動くことになりそうなメンバーと顔合わせだけはしておきたいんだ。それこそ、こちらは分かっていてもそっちは誰がネース所属のプレイヤーかパッと見で分からないだろう?」

「それは……まぁ、当然ね。味方だと思ってた人から後ろから刺されるようなものだもの。理解はしたわ」


だが、やはり警戒しないというのは無理だろう。

誰もがソーマや、ネースをまとめているであろうプレイヤー達に従うわけではないのだ。

今も色々な所から視線を感じるし……その中には良くない雰囲気を纏ったものも存在しているのは確かなのだから。

……思ったよりも顔が知られてるってことかしらね。決闘イベントの影響かしら。


ネース所属のプレイヤーからすれば、決勝戦でソーマを倒したプレイヤーが自分達の区画の中心辺りに居るのだ。

注目しないわけがないし、あわよくば……と考えている者も少なからずいるだろう。

まぁ近くでそういう視線を向けてきた者に対しては、漏れなくウチのCNVL(食いしん坊)が目を輝かせながら笑みを浮かべるのだが。


「おっ、来たか来たか。待ってたぞ」

「……ハァイ。逢えて光栄だよ『決闘狂い』さんに『屍肉喰い』さん。それにメアリーさんとマギさんだよね?」


そうして連れていかれた先には、2人の見知らぬプレイヤーが私達を待っていた。

1人はサバゲーにでも参加するのかと思うような格好をした赤い長髪の女性プレイヤー。

もう1人はピエロの様な姿をした男性?プレイヤーだ。

ソーマに紹介する様に視線で促すと、彼はひとつ頷き口を開いた。


「ディエスとの戦闘で前線に立っている2人だ。女性の方が柚子饅頭」

「よろしく頼む」

「そっちのピエロの方がジョンドゥだ」

「ヨロシィク」


ソーマの紹介に、それぞれがこちらに対して手を差し出してきたが、笑顔だけ返すことにしておいた。

その様子を見て、どちらも露骨に機嫌を悪くするようなことはなく。寧ろ楽しそうに顔を歪ませた。


「私達のことは……知ってるみたいだし紹介する必要はないわね?」

「あぁ、そうなる。ある程度使うスキルや戦闘スタイルなんかも知っているぞ」

「……まぁある程度目立つ行動してる自覚はあるわ。所で、他には居ないのかしら?前線で戦うのは2人だけ?」


周りを見渡すものの、見つかるのは遠巻きに私達を観察しているプレイヤーばかりで、顔合わせ目的でないプレイヤーの方が多い。

そんな私の問いに対し、ソーマは額に手を当てながら息を吐いた。


「はぁ……まぁな。他のは自由に行動しているから、どうやってもこういう個人でも進めることが出来るイベントでは集まらん。その代わりと言っては何だが、この2人以外はデスペナ送りにしてもこちらは何も言わん」

「あー……まぁ分かるわ。こっちも似たようなものだもの。とりあえず了解したわ、よろしく柚子饅頭さんとジョンドゥさん?」


改めて挨拶を交わし、主に攻撃に巻き込まれないために各自の大まかな戦闘スタイルを教え合った後。

私達はそのままディエスとの境界へと向かうことにした。

ネース側としても、私達側としても、何をしているのか分からないディエスを長くそのままにしておくのは嫌だったからだ。


と言っても、既に何人かはディエスへと攻め込んでいる者も居る。

普段から徒労を組んでいないソロプレイヤーだったり、そもそも私達やソーマ達と協力関係にないプレイヤーだったりとその内訳は様々ではあるものの、それでも少しずつ掲示板などを介して情報自体は集まってきていた。


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